今日は母の誕生日

よくわかってくれていないようですが、今日は母の誕生日。
○十年前のこの日から約1ヵ月後に私が生まれたわけで、
それよりも更に約1年前の3月31日は両親の結婚記念日。
父や私の誕生日は4月なので、我が家の春は母の誕生日を皮切りに、
記念日が目白押し・・・なのだが、わかってくれていないまま、
本日を迎えた。幸い折れた骨は順調に付いてくれているようで、
安心している次第。何しろ骨折が治るのとリハビリは、
自分の年齢分の日数がかかると言われているし、
ただでさえ高齢だから、ね。

さて、母の誕生日ですが盛大に祝う事も出来ず、というのは
父がばてててしまい、微熱と痰が絡んだ咳、風邪気味。
プレゼントといっても、何でも隠すように仕舞ってしまって、
そのうち誰のものかわからなくなる母なので、
好物のお寿司で夕食を･･･。といっても作る事も出来ず、
出来合いですけれどね。仕出しを取るのさえ嫌がる母、
私が働いているせいもあるけれど、ちょっと侘しい
出来合いお寿司の夕食。

ケーキも食べてくれなくなってきたこの頃、
そういうお菓子を買って来るのも食べるのも私と娘だけ。
以前は老父もマロンケーキやチョコケーキを食べていたけれど、
最近はそういうものも受け付けない。
なかなか同じようなものばかり食べたがって、困る。
食事もおやつも食が細くなるばかりの両親。
寂しいなあ･･･。せっかくのお誕生日なのに。

ところが少しばかり華やかさが欠ける食卓の隅に、茶封筒。
帰宅した私の席に置いてある。？　ジンベエザメの切手？
これは･･･もしかすると･･･。
そう、こちらのページをご覧下さい。
こういうものが見られるはずの宝の山。
金銀砂子。ちょっと『おじゃる丸』のカズマのような石好きの娘の為に、
情報を頂き、お裾分けにあずかる事に。
えーと、これはですね、種明かしをすると、
こちらの映像をご覧下さい。この砂粒で娘と宝探しするの！
http://d.hatena.ne.jp/doublet/20090315

宝石・鉱物おもしろガイド

鉱物コレクション入門

母の誕生日に私と娘の方が、プレゼントを頂いた今日。
絶対忘れないでしょう。このドキドキ感。
実は砂と一緒に、淡い茶色がかった水晶も頂いたの。
接写が上手く出来ないので、写真は載せられませんが。
水晶は濃淡色合い、結晶の大きさ、様々なものがあるので、
小さくても一つ一つが味わいのある。
その憧れの水晶が、封筒の中の包みからころりと。

この数年何をプレゼントしても余り反応の無い母。
そんな私たちに思いがけないプレゼントが、よそ様から。
こういう偶然の星回りが、仕事に疲れた心をほぐしてくれる。
残り3名様で間に合った人、私たち以外にもいるのでしょうね。
そして、広い空の下、今日も明日も砂粒たちとにらめっこして、
金銀砂子の小宇宙と向かい合いながら、ロマンを感じているに違いない。

長女の長女の母、そしてその長女の長女の娘。
直系のX染色体は、Y染色体ほどに元の形を留めている訳ではないけれど、
娘の面差しを観ていると、記憶の彼方の曾祖母の顔をぼんやりと思い出す。
私の血に繋がる存在を垣間見る。
もう顔も思い出せない人の面差しを、記憶の底から掬い上げ、
煌かせるようにちらつかせる。

地球がウィンクして、長い長い時間を掛けて砂粒を作る。
心の奥に秘密にしておいた結晶が、幾星霜、風化して砕けても、
心の棘であり続けるように。そしてその心の棘さえも砕ければ、
記憶を風化させて、痛みすら感じないほど呆けていくのか。
日々状態の定まらない母と、目の前の金銀砂子の小さな粒々を
共に眺める夕べを過ごす私と娘。

曾祖母は祖母に、祖母は母に、母は私に命を授けた。
私は娘に命を預けた。好奇心やわくわくドキドキも一緒に。
そして、母の記憶はあやふやだけれど、私は娘と、
透き通った石英を、鮮やかなサファイアを、血の色のざくろを、
何とも言えない砂の感触を娘と味わいながら、
静かに更けていく夜。

母よ、あなたは私の小学生の日々、
何を思いながら過ごしていた？
今となっては訊く事も出来ないけれど。
金銀砂子の空や大地を共に見つめた思い出が、
指の間から零れ落ちていったのか、
私の心は虚ろで哀しい。
そんな今日。母の誕生日。

眠っている時が一番幸せ？　食べている時が？
会話が噛みあったり噛み合わなかったり、そんな日々。
時々見せてくれる老母の笑顔が、一日の潤い、一瞬の綺羅。
娘よ、君は毎日どんなふうに過ごしている。
明日は3年生最後の日。3学期終業式。
今日は母の誕生日。時間が止まったような進んでいるような、
交錯する中で、眩暈を覚える私。

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