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関西人は黴菌か

東京大阪間では企業は出張を控えるように、ですと。
関西は悪魔の巣窟、病魔が蔓延する危険区域。
関西人はウィルス保菌者、歩く黴菌か。
まあ、そんな感じで世間から注目されているようですが、
ごくごく当たり前に家庭生活を営んでいます。
娘はいつものように起き、宿題を忘れていたと朝から机に向かい、
かーちゃんに叱られ、どたばた学校に出かけ。
小学生がいる家庭の当たり前の風景。


幸い電車に乗らずに勤務している、つまり車で通勤、
個室なので公共交通機関で通勤しているよりも安全?
でも、以前から騒がれている水際で防ぐは失敗しているし、
すり抜けた人は既に国内を移動しているだろうし、
発症者の周囲の濃厚接触者の行動範囲までを把握して云々って、
実際無理。江戸時代の昔ならともかく、長距離移動あってこその
現代社会でしょうっていうこの時代、魔女狩りにも似た犯人探し。
その渦中で通常勤務をするようにって言われている私たちって、何?


つまり、病気になるのを前提に働き続けろってこと。
今後の勤務計画は社会の現状に照らし合わせて変更されるわけだけれど、
勤務し続けることによって、みんながばたばた倒れることは想定されない。
私たちって、鉄人28号じゃないんだよ。
あちらこちらで自嘲的な会話が漏れ聞こえる。
関西ばっかりが悪いみたいに言われているけれど、
関空から入ってくるのは承知のうえで関西に住んでいるんだしね。


エ? そうなの? 俺は東京の簡易検疫をすり抜けてきた奴が、
伊丹経由か神戸空港経由で大阪北部と神戸に侵入して来たんだと思った。
そんな会話で盛り上がる。商売上がったりなのに、休みも取れない。
会議や打ち合わせの合間、いつもよりも静かな時間が流れる。
どうせ、年寄りは掛かり難いみたいだし、若者が危ないみたいだよ。
平均年齢の高いこの職場じゃ、まあ、どうってこと無いよ。
それって自分の子どもから伝染る確立の方が高いってこと?
延々と雑談が盛り上がる。やれやれ・・・。

健康格差と正義―公衆衛生に挑むロールズ哲学

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マスクを手に入れたくても入らない。
家人の会社では東京からマスクを送って来たそうだ。
1人4枚の配給。その後はどうしろと?
こちらは元よりそんな配給はありはしない。
公私、様々な会合や宴会がキャンセルされ穏やかな週の予定。
なるべく集まるな、群れるな、街中へ行くな。
会社が一番危ない。通勤が一番危険。
お勤めも休校って言えればいいのに。


そんな感覚で、何もかもやり過ごしている。
実際に発病した人が、身近にいない地域のありのままの生活。
普通の風邪かなと思っても、受診できない。
発熱センターに問い合わせるのが前提だから。
だから、静かな大混乱が続いている世間と、
熱く混乱している医療現場との温度差が凄い。


一瞬阪神大震災の時の心境が蘇る。
木造で釘を使わない自分の実家は、激しく揺れたにもかかわらず、
揺れて物も落ちることなく、被害は殆ど無かった。
しかし、手抜き工事された土台が割れて家が傾いた。
コンクリートの方が弱かった。
職場に行くと惨憺たる光景が待っていた。
難波の駅に行くと天井からひびが入り、母校の大学近辺に至っては。
それから10年、娘と共に歩くまで母校近辺には近寄らなかった。


電車で30分も離れていない都市の崩壊の度合いの違い。
自身の影響力の差、人々の感覚の差。
自身の後の、堺市O-157の騒ぎの時。あの温度差。
周囲と当事者とのあの時の温度差。
今、この新型インフルエンザ騒ぎで、再びあの温度差が蘇った。
病気を防ぐ、対策を立てる。予防策を模索する。
それ以前に予め差別化されている。当事者とそれ以外。


犯人探しはもはや無意味になってきている今、
高校生が悪い、渡航させた学校がどうこうと言うならば、
冬に学級閉鎖した学校はみんな病原菌の巣窟。
健康保菌者としてウィルスを直輸入しているに違いない、
大型連休中の海外渡航者は非常識の非国民と非難されないのに、
大阪から修学旅行に行く小中学生、高校生は、
出張する勤め人は黴菌扱いか? やれやれ。


ダビンチ・コード』じゃないけれど、映画には確か、
ニュートンの持つ玉は地球じゃない、リンゴだとあったっけ。
リンゴを落っことして、いや、落ちるリンゴから重力を見出した。
でも、我々は「地球」を落っことすためにリンゴを食ったようだ。
神様から禁じられた知恵の木の実、リンゴを。
楽園から追放される羽目になったリンゴを。


ろくな知恵じゃなかったらしい。
わざと大騒ぎ? マスコミは書きたて、パニックになる人々。
慌てふためく医療機関地方公共団体、本格的パンデミック対策用
シミュレーション・ゲームのボタンでも押しているよう。
結局それほど怖がらなくても大丈夫ですと、
そ知らぬ顔でリセットボタンを押すつもり?
人々をを安心させる前に巻き込み、混乱、不安にさせるだけでは、
情報化時代の「情報の在り方」が泣く。


いずれにせよ、冬の季節性のインフルエンザによる学級閉鎖より、
遥かにましな現状、もっと落ち着いて冷静に報道してもいいのでは。
患者が出たと把握するのと、出た出たと煽るのとでは違う。
関西人は黴菌ではないし、いずれもっとあちこちに広がる。
新型インフルエンザでも何でも、広がっていく。
パニックになるよりも、軽くて済んだ人からワクチンなり薬なり、
治る手段を見出す方がいい。


それこそ萩尾望都の『11人いる!』のテストではないけれど、
密室に発生した熱病に対して、蔓延する前にどうするか。
試されている試されている、地球上の日本号
私たちは腐ったリンゴでもミカンでもない。
他に病気を伝染す存在じゃない。
せっかくの知識をよりよき知恵に、智慧に高めていかなくてはね。

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