Festina Lente2

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新型インフルエンザ情報に振り回されるな

後藤新平日清戦争からの凱旋兵を瀬戸内海の小島3つに振り分けて、
反発が出ないように宮様に手本を示してもらって検疫を受けて頂いた、
そのお陰で国内に病気が蔓延するのを未然に防いで、
内外から高く評価された話を思い出した。
星新一の『明治の人物誌』で読んだのは10年以上も前の話だが。


関空島で怪しいもの出すべからずの検疫が出来る時代でもなし、
のっけから母数になる人口そのものが違うし、
ゴールデンウィーク以外にもあちこちに海外渡航、往く日と来る人、
数の把握が出来ない時代に、感染源を突き止めるのも大切だけれど、
大騒ぎしないように、犯人探しのバッシングは止めるようにと、
通達、良識で判断することも出来ない「今の在り方」が哀しい。


母の大学病院の診察のために朝の7時半から病院へ。
9時を過ぎても院内の人出はいつもより少なく感じる。
緊急か予約でも無ければ、この時期来るのはリスクが高い。
マスクを忘れてしまい、無いよりましだろうと売店で購入。
お一人様1枚でお願いしますの布マスク。
早く順番を取ったお陰で、2時間遅れの出勤。
町は時間遅れの出勤のせいか、外出を控えた人が増えているせいか、
通りが静かで人通りが無い。


ブラック・ジャック』の漫画を思い出す。確か人間も動物も縮む話。
みんなみんな小さくなって止めようが無い。手を尽くしてもどうしようもない。
アフリカの村や動物達がどんどん縮小、消滅していく。
地球という限られた環境の中で増えすぎたから粛清されるか、
サイズを小さくするしか存続するための手段は無いという神の意思?
ああ、そういえば地球にはびこっている一番のウィルスは人間。
地球を取り戻すには人間を真っ先に駆除するしかない。
そういう話もあったっけ。映画『地球が静止する日』だったけ。
人類がいる限り、地球は健康になれないんだよ・・・。

明治の人物誌 (新潮文庫)

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あたらしい自画像―「知の護身術」としての社会学

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そんなこんなで会議が、連絡が、色んなやり取りが終わって帰宅すれば、
音楽教室のレッスンの休校で羽を伸ばしている娘、
「修学旅行が延期じゃなくて中止になった学校の人がかわいそう」と
ニュースを見ながら思案げな顔。
学校関係者ばかりではなくて、旅行関係、宿舎その他、
経済的な損失は計り知れない。大変だと思う。
そんな中で、神戸まつりが中止になった神戸の人へのインタビュー。
とある人は淡々の答えていた。「阪神大震災で、緊急事態や非常時には慣れているから、
大したことはありません。死傷者が出ている話ではないので」みたいな応答。


慣れなくてもいい事に慣れなければならないこと自体、哀しいことなのだけれど。
夕食の準備をしながら、耳だけTVニュースを聞き続ける。
あれ? 物凄く聞きなれた声。優しいおっとりした、この声は・・・。
母の主治医の声。この冬までの主治医の声。交替前の・・・。
街中のクリニックでの応対etc.の、インタビューを受けている。
うわあ、画面でお会いできるとは思いませんでした。
御父上の跡を継ぎ、大学病院から去って行かれた先生・・・。
よもやこんな所で・・・。


職場でも、通常のインフルエンザの対応に移行していくだろうという、
話が出ていた矢先、東京でも見つかったらしい云々の話。
娘が不思議そうに訊いてくる。
「どうして、京都や静岡を飛ばして東京なの?」
まあ、順番に見つかることは無くても、静かに水面下で広がっていることは確実。
バッシングが怖くて名乗り出られないか、医療機関に掛かれないか、
元より少々の症状でも医療機関なんぞに掛からない人も大勢いる。
普段からの姿勢の問題もあれば、経済的な問題も絡んで。
入院してその費用はどうするんだって事になるからね。
自助努力自己責任なんだし。
御医者さんに行くのが嫌という人も、
・・・病気を見つけて貰いたくてたまらない人も。


ちなみに、HIVやガンでもそうだけれど、
病気恐怖でドクターショッピングする人も増えてくるかも。
「もしからしたら新型インフルエンザ」と怯えて気になって、
いてもたってもいられずに、とにかく診て貰わなくちゃって。
そうなったら、ますます医療機関混乱。
ただの風邪だと思っていたのにインフルエンザだった、がいけないのか。
インフルエンザが怖いので、とにもかくにも医者に来ましたをどうするか。


欧米では予め予防薬的にタミフルリレンザを配布しているとか。
症状が軽ければ、それで対処して自宅療養するようにと。
とにかく落ち着いて落ち着いて。
若い人にしか掛からないらしい、若者は免疫が無いらしい。
そういう噂もあるくらい、若い人中心に広がっている新型インフルエンザ。
娘の小学校ではクラス誰一人休んでいない。
かーちゃんが不安に煽られる必要も無く、じたばたする必要も無い。


頭の中では無数の林檎のみ実が落ち続ける。
重力にしたがって落ち続ける林檎。それが当たり前な林檎。
その落ちる林檎から何を知り、何を感じ、どう対処していくのか。
腐るまで放っておくのか。熟れているからそのまま食べるのか、
みんなで分けるのか、料理するのか。保存するのか。
知恵の木の実を、目の前に与えられている現象を、
何に結び付けていくか・・・。
試されているのだろうなあ、この新型インフルエンザ騒動。


掛かってしまった人が一日も早く治りますように。
不要無用なバッシングや個人情報を暴くような報道、過激なマスコミ論争、
そういうものにみんなが巻き込まれませんように。
最前線で治療に当たっている方々が、過労で倒れるようなことがないように。
一日も早く、冷静に対処する中で事態が収束していきますように。
そう心から願わずにいられない。

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