Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

縮む服、伸びるからだ

「お気に入り」の服が縮んでいくと娘が悩んでいる。
何しろ、「お気に入り」だからしょっちゅう着ていたい。
勢い、学校に来ていく。洗濯する。すぐにまた来ていく。
小学校は私服だから何を着ようと自由だけれど、
毎日とは言わないけれど、着れば着るほど洗濯するので、
生地は傷むし、どうしても縮む。
「お気に入り」の服を着て、気持ちよく格好よく着こなしたいのに、
おへそが見えてくるようになってしまい、悩まざるを得ない。


沢山あるTシャツ。頂き物のお下がりが底を突いてきた。
それでも沢山あるTシャツ。毎日違う柄を着ても1週間以上持つ。
帰宅して毎日シャワーを浴びて着替えても困らない。
私が子どもの頃とは雲泥の差。私服なんて、記憶の彼方だが、
枚数なんて持っていなかったし、そもそも私は制服育ち。
幼稚園から小中高と、毎日何を来て行こうかと悩んだ記憶も無ければ、
へそが出てきたと悩んだことも無い。
制服は毎日選択なんぞしない。ブラウスや下着はともかく・・・。


よく考えて見れば、学期の終わりクリーニングに出すまで、
替えの上着・スカートなど無い生活。不潔だったなぁ。
着たきりスズメもいいところ。でも、みんなそんな生活だった。
放課後だって学校で制服のまま遊んでいるのが当たり前、
寄り道して替えれば制服のまま、帰宅してもすぐに着替えなければ、
制服のままウロウロすることになる。

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沢山着替えがあるというのは贅沢なこと。
選択肢が多いということは。
ある意味、着甲斐があって楽しいのではないかと思うのだが、
「お気に入り」の数着の着回しのみ、おまけに成長期。
どんどん縦横に伸びて、「お気に入り」がぴっちぴち。
ボタンが止まりにくい、とめにくい、
二の腕周りがキツキツ、おなかがぽっこり。
背中もおなかもどうにかすると見えちゃうよ。
へそ出しファッションの真似をする気が無いのに。


気に入れば入るほど、自分から離れていくようにTシャツは縮む。
成長すればするほど、古い小さい服は入らないようになっていく。
不思議だね、着物であれば袖上げを取って普通のたけに戻し、
肩も胸元も伸ばして着る事ができるのに、
最初からぴったりの洋服は、何度も着るともう後が無い。


気に入れば入るほど、早くお別れしなくてはならない運命。
お気に入りの繰り返しが多ければ多いほど、さよならが近づく。
大きめに買っていた服ではなく、ぴったりであれば尚更、
まだまだ大きくなり続ける君の成長に追いつく服は無い。
そんな、いつでもお気に入りがそのままの状態で、
自分をすっぽり包んでくれる、なんてことは続かない。


傍に居れば居るほど、鬱陶しくなったり気になったり、
程よい距離を保つのがだんだん難しくなるお年頃。
傍にいるのは気持ちはいいけれど、逆に離れたくなる。
自分の時間を自分の部屋で過ごす事が心地よく、
自分にぴったりの世界を探して、それなりにこだわって生活したい
そんなふうに、何かにこだわり、自分の好みで見つけ、
大切に扱って入るというのに、意に沿わない事が出てくる。


そうなんだ、世の中そんなものなんだ。
君はびっくりしている。服は洗えば生地が縮むと知って。
ぴったりとゆとりの無いデザインが増えた最近の流行。
子どもの成長に合わせたゆとりが無い分買い替えが早いことを、
予め狙って入るのか、最初から大き目を買えということか。
夏を境に秋の誕生日に向けて、ぐんと一回り大きくなる娘。
この季節、春に着られたものが入らなくなる。


古い皮を脱ぎ捨てて、そう、脱皮するように、
「お気に入り」に執着するのをやめて、ほかの服も着てみよう。
食わず嫌いにならないように、ほかの服の組み合わせも考えてみよう。
服だけじゃなくて、これから自分の好きなものから離れて、
お気に入りばかりdじゃなく組み合わせを考えて考えて、
工夫してやっていかなければならないことばかりが増えてくる。


身の丈にあった生活と言うけれど、言われるけれど、
最初から身長・体重は決められない。
君は今成長途中、発展途上国状態。
色んなものが必要だろうから、最初から見切りをつけるのではなく、
自分を「限る」のではなく
あれもこれもチャレンジしてみて、自分の中で境界線を創ろう。


君はこれから伸びていく。どんどん伸びていく。
そしてかーちゃんはそれを見守るばかり。
古い洋服だと脱ぎ捨てられて見捨てられないように、
距離を置きながら眺める側に立って、
かーちゃんは見守るばかり。


願わくば背の高さよりも、へそばかり出すことに血道をあげ、
お洒落だファッションだと浮つかずに、
自分に似合う素敵な服を、様々な服を、
TPOに合わせて着こなす事ができる、
素敵な女性になってくれることを祈るばかり。
かーちゃんができなかったことを一杯やって、
かーちゃんが着る事が無かった服を他見して、
自分の中に歴史を作っていってくれることを。


気に入れば気に入るほど、何が起きるか。
ちゃんと乗り越えていってほしい。
かーちゃんは今だって、苦戦している。
だからこそ、君は乗り越えていってほしい。
服は縮む、君は大きくなれ。どんどん大きくなれ。
今はどんどん、明日に向かって大きくなれ。

お気に入りと暮らす―リビングキッチンの道具と器

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