Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

美の宮殿の子どもたち

我が家は美の宮殿には程遠い「しもたや」である。
私の本の重みで少々根太が緩み、とんでもないことになったので、
物置に蔵書の大半を移したのだが、(その中には漫画も沢山)
それでも日常生活が、本の少ない所に起居するの図。
そこで生活する娘、本と雑魚寝をして入るようなもの。


娘は我が家の唯一の子ども。このしもたやを宮殿代わりに生活。
住めば都と思ってもらうしかない。
我が家の生活レポートの対象は娘。
さあ、出かけましょう。フランスはパリ、
まだ一緒にいくには遠いけれど、
国立国際美術館「美の宮殿の子どもたち」に会いに。


実は子供用のイベント企画に応募していたけれど、
毎回外れている。というわけで家族で鑑賞。
どこから手を付けていいのかわからないくらい、広大なルーブル
実際今まで何回か見に行ったものの、疲れる疲れる。
欲張って何もかも見たいと思っても、丸一日滞在することに。
今回のように、わかりやすいテーマで紹介されているならば、
きっと鑑賞しやすいはず・・・?


古代エジプトから、ヨーロッパの絵画やゴブラン織りのタペストリー。
古代ギリシアの壺や彫刻、デッサン、墓碑やボンボニエールの模様。
様々な意匠の中に現れる子どもを、テーマ別に見る事ができる。
第1章 誕生と幼い日々。
第2章 子どもの日常生活。
第3章 死をめぐって
第4章 子どもの肖像と家族の生活
第5章 古代の宗教と神話の中の子ども
第6章 キリスト教美術の中の子ども
第7章 空想の子ども


この分け方に関してはともかく、観点を絞って鑑賞。
わかりやすいと言えばわかりやすいし、
起伏に欠けると感じるのは、贅沢なのかもしれない。
ルーブル側にとっても冒険だったようで、
社会・文明史研究の成果を取り入れた展示、
一つのテーマの下に、異なる文明、時代と対話する面白さと強調。


朝日新聞社の公式HPはhttp://www.asahi.com/louvre09/
豪華な顔ぶれのイベント目白押し、
8月31日などはゴンチチのコンサートまで。
(残念ながらチケットは売り切れ)
作品はそれぞれ好みもあるでしょうから、実際に目にして下さい。
お土産物は、予想に反して意外に少なくあれ?って感じでした。
絵葉書やポスター、関連本、雑貨、それよりも出張っていたのが、
お菓子・・・。子どもの展示だからって、お菓子を積まれても、なあ・・・。

NHK夢の美術館 世界の名建築100選

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ルーヴル美術館 (別冊太陽)

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気を取り直して、何が画期的かというと、
ルーブルの各部門から選りすぐりの作品が見られること。
ルーブルを訪れたことのある人ならば知っているはず。
見所が各部門別に分かれているので、欲張ると大変。 
古代エジプト部門、古代オリエント部門、
古代ギリシャエトルリア・ローマ美術部門、
絵画部門、彫刻部門、美術工芸品部門、素描・版画部門。


ちょっとびっくりしたのは、子どものミイラの展示。
ルーブルといえどもたった一体しか所蔵していない子どものミイラ、
少女のミイラ。思わず何歳ぐらいだったのかと考えてしまう。
ちょっと見て入るのが辛い、色々想像してしまって辛い。
娘はペルーの少女のミイラを見たことを思い出したよう。
そう、あっちは座った姿。こちらは横たわった姿。
リアルなものほど、あれこれ具体的に考えてしまう。


子どもというテーマの下に様々な作品展示。
自分の琴線に触れないものもあり、???
子どもだから何でもありか? と思わないではないものも。
藤村俊二が語りというのも面白いと期待して、音声ガイド借りる。
娘・家人・私、三人三様の鑑賞タイム。
難を言えば、子供用ガイドブックは娘に手渡されたものの、
子供用の音声ガイドは無かったこと。


娘は以前見たルーブル美術館展の子供用音声ガイドが良かったらしく、
期待していたのにそれほどでもなかったようで、がっかりしていた。
私達もとある俳優の声で案内ということで、
ユニークでアカデミックな内容を期待していたが、
これもしっかり外されてしまった。
それに、音声ガイドマークが小さくて見逃しやすく、
展示品を見ながら見逃す事があまりにも多かったから。


展示の見易さ、動線という点から考えると、少々難あり。
大物展示ではなく、小さな作品も多かったからだろうか。
そこそこ混んでいたものの、どうしてここはこんなにくるくる
タツムリの底に降りていくような道のりなんだろう?
すっきり気持ちよく鑑賞できないんだろうと、少し苛々。
土曜の午後の鑑賞日は少々人出に酔ったかも。


そう、子どもを見に来ている大人の多さ。
愛らしい美しさ、か弱さ・ひ弱さ・小ささと裏腹に与えられた
子どもの側面ばかりが強調されていて、少々違和感。
子どもがどのように捉えられていたか、
子どもに対する見方、眼差しがどのように変遷したか、
もう少し解説が欲しかった気がする。


一番目を弾いたのは、子どものために作られたおもちゃ。
神田から見つかったらしいが、紀元前12世紀の玩具、
台車に乗ったライオン、台車に乗ったハリネズミ
その作品の小さな愛らしさに心惹かれた。
子どもの姿が現れない、子どもの姿が垣間見える作品に心惹かれた。


そして、男の子が女の子の服装で育てられいたこと。
エジプトの定型化された子どもの現し方の一つに、
「指をくわえる姿」があって思わず笑えた。
ペストで子どもの姿が失われた欧州では、天使像や子供の姿が珍重され
あちこちに描かれたり造られたりしたことなど、
もう少し説明を添えていてもいいんじゃないかな・・・。


久しぶりに3人で美術館。フランスに行きたしと思えども、
フランスは余りにも遠し。せめて親子で寛ぐ午後を過ごさん。
美術館に行かずとも、我が家の姫が我が家の子ども。
生きて動き、泣き笑い、食べて学んで日々成長する娘。
親ばかな私達の生きた美術品、宝物。
そう実感しながら、巨大な建物を後にした。

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