Festina Lente2

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足し算と引き算

苦手なものが沢山ある。昔から算数はともかく、数学は苦手。
根っからの文系、文学少女だったけれど、理科は得意。
計算さえしなければ。そう、生物や化学、地学だって。
世間で話題になっている「日食を見るぞ」ツアーだって、
仕事が無ければ絶対娘と一緒に行っていたかもしれない。
残念ながらこの時期休めない仕事だから、国内に留まっているけれど、
実験・観察・分析、何だって好きさ、計算以外は。


計算、そう、算数が出来ないというコンプレックスが、
私から理系科目を遠ざけた。中学までわかっていたことが、
高校以後、わからなくなったというか、興味が失せたというか、
とにかく覚えられないことが増えた。理解できないことが。
数学そのものも、覚え切れなくなってきた。
世界史の細かい年表は物語のように覚えられても、
山ほどある公式を覚えることが出来ない。無理やり暗記すると、
連続、同じ悪夢にうなされるような感覚が続く。


数に弱い・・・。数は苦手。そういう自己イメージを自ら育てて○十年。
小・中の時できていた事が、あっという間に出来なくなったのは何故だろうと
今でも不思議に思う。今更考えても遅いかもしれないけれど、ね。
でもって、何気なく御釣りの計算の話になった。
外国では引き算をせずに足し算をするという。


引き算が苦手なんじゃなくて、足し算で計算するという文化なんだよ。
文化の違い、ものの考え方の違いであって、苦手だから出来ないじゃない。
引き算で考える習慣が無いだけさ、と先輩がのたまう。
そうなのか、日本人が特別に「算数が得意」なのじゃなくて、
引き算に対する考え方の違いか。


色んな欠点があっても、「うちの子はこんなことが出来るんだ」と自慢する親。
日本人にはなかなか出来ない子ども自慢。
(最近の若い親は結構素直にできるらしいけれど、謙遜するのが御約束)
子どもを見る時、人を見る時、マイナスで見るかプラスで見るか。
物事を判断していく時、欠けている・できていない・不十分と見るか、
これさえあれば大丈夫・できるようになるためには何をするか、
どこまでが十分で、どこをどう取って不十分とみなすか。
要は物事の切り口が違うのだと。

足し算思考&かけ算思考であなたの人生は変わる!

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人生は「引き算」でうまくいく

人生は「引き算」でうまくいく

日本人は差異に敏感。異なることは悪いこと。横並び主義。
出る杭は打たれる。だからその差異はプラスの方向性よりも、
マイナスの方向性を持って先入観に組み込まれていることが多い。
でもこれって・・・偏見だ。
日本人は多くを持っている事を恥じる。多才である事を器用貧乏をくさす。
より多くの才能を愛で、努力の甲斐あって為されたことよりも、
唯一、専心、一つのことに狭く深く打ち込無事をよしとするような風潮。
多くを望むと、贅沢だ我が侭だと言われてたしなめられるような、
そういう雰囲気が強い。


出来ることよりも、出来ない事に多大なスポットライトが当てられて、
欠点・短所を引き伸ばし拡大して、重大視する傾向、強い。
日本人も、親としての私も。自分もそのような目で見られて、
比較・評価されて育ってきたので、「自分は自分」となかなか思い至れない。
誰かと比べて、何かと比較してどうだこうだとひねくり回した挙句、
どうせと落ち込んだり、拗ねたり、理不尽だと怒る前に、
エネルギーを消耗してしまっていた。


足していけばその額になる、足し算をする御釣りの出し方。
一気に引き算、いくばくの物が残っているか現認する御釣りの出し方。
ちょっとしたものの考え方で、自信を付けるように育てる西洋流、
気配り目配り拾遺の和を乱さずに、引かれることは多々あれど、
足されることは滅多にない日本の切磋琢磨社会、
針の穴ほどの正誤を重大視する文化。


自己主張を、個性を育てようとすると、単なる我が侭だけが悪目立ち。
自己の確立以前に横並びで牽制しあう人間関係は、
学校教育の時代から社会に出てから以降も染み付いている。
足し算で見てもらえる人は、贔屓目に認められた、特別な人。
特別枠だけが足し算で、囲いの枠を踏み外すのではなく、
踏み台にして別の次元・世界に駆け上がる。


ふと、そんなことが頭をよぎった。
数学が得意科目であれば人生が変わっただろうと、
どれだけ思ったかわからない学生時代の苦い思い出が、
御釣り一つの話題で蘇った今日。
考えても「せんない」話。
攻めて親としての自分は子どもを引き算でばかり見ないようにと思うけれど、
どうだか。染み付いたものの見方の枠組みは無意識に自分を縛り、
娘も縛る。情け無いことに、辛いことに。


そんな事を考えながら・・・。体にまとわり付く湿気が重い。
梅雨明けは、まだか。今年の関西の梅雨明けは遅い。
昨夜見た映画の主人公のじーちゃんのように、信念でもって
ぶっ飛ばす、突っ切る、やり切ってしまう、
そんなファイト、元気が欲しい。
ちょっと湿気ている、そんな気分の私。

数学的思考法―説明力を鍛えるヒント  講談社現代新書

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1+2=3―足し算に潜む迷宮

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