Festina Lente2

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人間になりたがった猫

蚋(ぶよ)に刺された指の腫れはやや引いてきたものの、
痒さよりも痺れるような痛みに変わってきた。
変色はややあるものの、痺れが気になる。
12時15分前に抜け出し、職場近くで探り当てた
HPも無い昔からの外科皮膚科の診療所へ。
先生曰く、痺れは気になるが痒みが治まって来ているならば、
塗り薬は必要ない。とりあえずビタミン12剤で様子見。
それでも軽快しないようならば、再度診せに来ること。


なるほどね、ビタミン12ならば毎日飲んでいる。
名前は違えど、メコバラミンメチコバールと同じ奴か。
耳鼻科の嗅覚治療も、内科や整形外科の肩凝り治療も、
更年期の痺れや疲れにも万能薬なのか、ビタミン12。
これ以外、薬が無いのかと大活躍、末梢神経系症状に投与。


やれやれ。大急ぎで仕事と研修を兼ね、堺市立文化館。
ここに地方にしては!?なアルフォンス・ミュシャ館と、
与謝野晶子文芸館がある。
じっくり時間を掛けて観たかったが、2時間弱で切り上げ、
娘へのお土産に与謝野晶子の短歌カルタを購入。
百人一首が好きなのだから、これで遊ぶ事も可能だろう。

夢想 (アートルピナス)

夢想 (アートルピナス)

みだれ髪 (新潮文庫)

みだれ髪 (新潮文庫)


本日のメイン。1ヶ月以上も前に申し込んでおいた劇団四季
1年に1度は娘に本物の舞台をと思って計画していた観劇。
『人間になりたかった猫』説明はこちら→
ミュージカルの楽しさは何といっても歌って踊る舞台の躍動感、
観客をエンロールする、そう、興奮の渦に巻き込む臨場感。
今回はどういうわけか、前から7列目のいい席。
猫の主人公が歌舞伎のように早代わりで人間に。
歌いながら跳んで踊って舞台瀬ましと駆け回るその迫力。
娘と二人で釘付けに。

人間になりたがった猫 (てのり文庫 (566B003))

人間になりたがった猫 (てのり文庫 (566B003))

人間になりたかった猫 (5分で読める41のメルヘン)

人間になりたかった猫 (5分で読める41のメルヘン)



人間嫌いの魔法使いの飼い猫が、人間になりたいと憧れる。
ある意味、人の世を離れた魔法使いの人恋しさが外在化した形の飼い猫。
だから、人間の言葉を話せる猫として飼い主に仕え、
飼い主に背いた罰として人間にさせられ、(当人は喜んで人間になり)
人間世界で1泊2日様々な経験をして、人の世の醜さ素晴らしさを知る。
友情・恋・妬み嫉み・権力・財力、子どもにわかりやすい形で、
生きて信じて繋がる素晴らしさを教えるミュージカル。


その主人公は人間ではなくて、猫。人間に憧れている猫。
でも、憧れの存在ばかりではない人間の醜さ、
愚かしさ意地悪さ陰湿さに驚き呆れ哀しく思いながらも、
ヒーローはヒロインを助ける単純なストーリーがいい。
何かと憎まれ口を叩き人間不信の強い魔法使いが、
飼い猫かわいさにあちこちに神出鬼没で見守りながらおせっかい、
それもまた理想を追い求める子供への親心のあり方。
親子・友人・恋人の擬似関係が猫を通じて描かれる。


さてさて娘はどんなふうに受け止めたか。
「おかあさん、踊っている人、みんなバレエができるんだね」
ふむ、そういう見方をするようになってきたか。
男性舞踊手として軽やかにグラン・ジュテで舞台を跳ね回る、
もしくはパ・ド・ドゥで男女二人で踊る。
そういうダンスが小学校のフォークダンスではなく、
はっきりと「バレエ」が基本と意識できるようになったのね。


「おかあさん、回っていると汗が観客席まで飛び散ってくる」
本当に役者の飛び散る汗がわかる舞台。
猫は猫らしい振り付けだったのに、だんだん人間らしくなると、
そういう振り付けが減ってきて、他の人々との絡みが増える。
コミカルな悪役の歌と演技が子供達の笑いを誘い、
悪の権化を怖がらせすぎないように工夫し、
後々のハッピーエンドに繋がるようにしてある。


そう、悪役もまた脇役ではなく重要な主役。
対立する概念を子供に教える為には際立つ存在でなくてはならない。
そして、その悪役が好きな娘に意地悪をする構図は、
日常生活でよくあるマイナスのストロークの最たるもの。
プラスが得られなければ、かかわりを保つ為にマイナスを求める。
この間違った行動が誤った脚本を増幅させるパターン。


詳しい心理学の講義よりも、具体的なお芝居の方が、
いじめや嫉妬、愚痴の具体例と効用をわかりやすく伝えてくれる。
人がどんな生き方をしているか、どんな時に困るか、
どんなことで喜び悲しみ、笑い泣き、落ち込み、支えられるか。
小さい子供でもわかる、そのお話の素晴らしさ。
大人もその演技とダンス、歌と迫力に魅了され、
あっという間に時間が過ぎる。
 

会場は駐車場システムが今一つで非常に不便だったが、
大阪市内まで出て見る事を思えば、我慢我慢か。
「人間になりたい」ということがどういうことなのか、
人間とは何なのか、動物とどう違うのか、
人間には何が必要なのか、動物ではいけないのか、
子供達は、『人間になりたがった猫』の生き方から、
周囲の人間から、魔法使いから何を学び感じたか。


舞台が跳ね、夕闇が近づいてくる。
子供中心の舞台は、16時から18時まで、
よい子はお家で晩御飯、お風呂、すぐに寝るスケジュール。
私たちは、1日早く南から北へキャラバンだ。
仕事を兼ねて北上し、職場を離れて研修に。
娘の為の刺激とはいえ、久しぶりの本格的な舞台に、
かーちゃんは気持ちよく帰路に着く。
行ったり来たりも何のその。
読めない書けないまとめられない苦悩に比べれば。
それでは皆様、御機嫌よう。お休みなさい。

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