父の隠し事

父の入院６日目。職場に午後電話が入る。
！？　何があった？　急変じゃあるまいな。
どきどきしながら電話を取ると、どうやら別の病院で撮った
MRIの画像がいるらしい。それってどういうことよ？
どうやら父は、体調不良を感じながらも私たちに黙って、
肩の痛みから整形外科関係をあちこちドクターショッピングをし、
複数の医療機関の痛み止めを飲みまくって、潰瘍を作った可能性大。
また、それを巧妙に隠した挙句、そのフィルムってどこ？

ナースステーションからの連絡で、心当たりの病院に電話し、
お互い時間を浪費し、足を運んでもどこにも保管されていない。
疲労困憊して事情説明しなければと入院先に向かえば、
父は私に黙って親戚の人に持って来て貰ったよう。
また、それを入院先に連絡せず。
父の言い分。ほかの病院で撮って貰った画像だから、
ここの病院の撮った内容と異なるかもしれないから、
最初から見せるわけにはいかない。
この画像は俺のもの・・・だそう。

全くもって疲労困憊。他科受診の依頼も同じ病院内でも、
なかなか敷居が高いというのに、余計な医療費を使わず、
検査内容が重複しないように取り計らってくれたにもかかわらず、
いつの時代の常識が老父の頭を占領しているのか・・・。
まあ、医療機関の連携等がなかなかできてない所もあるけれど、
この救急病院は、良心的に接してくれている方なのに。
普通どこの病院でも画像の貸し出しぐらいする時代。
セカンドオピニョンを必要とするかどうか、
予め申し出てくれるところもあるというのに・・・。
父は、俺に黙って娘（の職場）に連絡したとオオムクレ。
個人情報の侵害だとおおむくれ。やれやれ。
隠さなければ、私の所に連絡は来なかったんだよ。

それを言うなら、子どもに黙ってあちこち受診し、
下血吐血の兆候が9月からあったにもかかわらず
「たいしたことないと思っていた」と老人特有のボケをかまし、
誰にも言わず内緒にした挙句、放って置いてこの有様。
「こんなことになるとは思ってもいなかった」と言ってのけ、
「正月には酒が飲めるかどうか」それしか頭にない・・・。
父よ、あんたは・・・。
救急の先生にも「何か変わったことがあったら、
すぐに受診してくれないと・・・」と言われていても、
内科に行かなかったばっかりに、
痛みを焼酎で紛らわして寝ていたばっかりに、
こうなったんでしょ！

飲酒/禁酒の物語学 (大阪大学新世紀レクチャー)

論集 酒と飲酒の文化

いつからこんなに頑迷になったのか、画像病室隠匿、
秘密連絡（子どもに心配掛けたくないからと言って、
親戚に連絡するのはどうかと思う）、
大いに迷惑。隠し酒、隠し飲み、隠し事。
きちんと「ホウ・レン・ソウ」しなくても、
親だから子どもよりも何もかもわかっていると、
自分の体のことはよくわかっていると、大言壮語。
その結果がこれでしょ！

何でもある程度できる人というのは、人を頼らない。
頼るべき時に頼らず、頼るべき人に頼らない。
それで亀裂が入ったり、物事がこじれたりするというのに。
子どもが動かず他人が動いたら、周囲の目、人の目、
色んな意味でも迷惑だというのに。
自分のことは自分で、というのは時によりけり。

幾つになっても親子だから、親風を吹かせているけれど、
世間で逆風が吹くのは当たり前。
少々子どものいうこともまともに聞いてくれないと、
今までできていたことが、健康も判断も揺らぐ苦さを、
失礼だが噛み締めていただかないと。
ぼけてもいないのに、先生が3ヶ月の節制というのを
正月まで我慢したらいいですねと勝手に1ヵ月半の節制に、
交渉して言いくるめて言い負かそうとするその姑息さ、
今日という今日は許せません！

口が利けるようになり、経口食を許された途端、
単なる我侭で偉そうな一老人となってしまった父、
早期離床のためには独立精神旺盛で宜しいかと思うけれど、
反省はないのか。ああ、娘は情けなか・・・・。
大体、吐血下血の兆候があったのに肩が痛いから整形外科って、
それは内科の疾病の関連痛じゃなかったのか？
こんな大事にならなかったはずなのにと思うと、
安心よりも腹立たしさが先にたつ本日、入院6日目。

助かった運の良さを含めて、感謝もあれど、
情けなさも募りに募った、脱力の一日。
あちこち駆けずり回り、綿のように疲れた。
主治医にも担当看護師にも申し訳なく。
子どもに迷惑・心配を掛けたくないからと、
隠密で行動されるのがもっとも結果的に悪い。
頭隠して尻隠さずで、情けない。
そう思って哀しくなった、父の入院6日目。

飲酒問題とその解決―ソリューション・フォーカスト・アプローチ

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