Festina Lente2

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シロ持ち直す

老父が退院してから10日が過ぎた。一度下血で慌てて通院。
その後は小康状態。マーライオンの吐血状態が嘘のような日々。
帰宅した父が、「自分の犬」とかわいがるシロを
動物病院で診て貰って「子宮蓄膿症」と言われ、
14歳の老犬ゆえ、手術も駄目、年内持てばいい方と言われ、
出血続く痛ましい状態まで飼い主に似たのかと心痛める日々。


みんなの愛情と世話の賜物か、幸い薬が効いてシロは持ち直した。
出血が続き、異臭がし、誰もが駄目かもしれないと思っていたのに、
食欲だけあるので、いかにも私たち飼い主に似た食い気のおばば様。
そう思っていたら、餌に混ぜられた薬を嫌がらずペロリ。
ちゃんと食べ続けて、とうとう出血は止まった。
異臭もしなくなり、犬小屋の周囲に敷かれた敷物は、
新しい物に取り替えてこざっぱりと、
シロは定位置に寝そべるようになった。


やや雨の多い11月、いつもより冷え込んだかと思うと、
嘘のように温かくなったりする11月。
家族全員に囲まれて安心しているのか、余り見えなくなってきた目、
だんだん利かなくなってきた鼻、「お迎え」に飛び跳ねることもなくなり、
帰宅しても、横を通っても、ぐっすり寝入っているのか、
体力が無い為、疲れて眠りこけているのか、
起きてくる事も無いけれど・・・。


それでもシロは元気になった。
朝になると、まだ門まで「いってらっしゃい」をしに来る。
朝のお見送りをしてくれる。相変わらずの忠義ものだ。
用をたしたいのか、ちゃんと起きてきて散歩をせがむ。
綺麗好きなので、庭のその辺で・・・は嫌らしい。
お外の散歩の時に気持ちよく「出したい」のだろうか。

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それにしても、老父の回復力といい並行してというか、
連動してというか、シロの回復力も凄い。
昭和一桁生まれ、スポーツ大好き少年だった元ガキ大将の入院は、
竹馬の友の古い付き合いの方々に少なからず衝撃を与えたようで、
皆さんの年齢が年齢なものだから、こちらも余計な動揺を与えたくなく、
こういう時の電話攻勢にどう対応すればと一時思ったくらい。


幸い周囲が思い悩んでいる間に、先生をせっつき検査を済ませ、
特に何も見つからなければ帰る帰ると我儘を言って、
せっかくの養生先の病院を出てきた父。
その「退院して家で過ごしたい」という健全さ、強さが羨ましい。
私なんか憩室炎の激痛は、絶飲食と点滴で散らした後も、
早々簡単に取れるものではなかったが、胃の内壁の動脈は、
出血を止める為に焼き切っても痛みを生じないものなんだなあ・・・。


飼い主に似て、深く悩まず追求せず、あるがまま、
薬を少々飲めば、何とか持ち直して元の日常に近い生活。
弱った足腰のせいで後ろ足はしっかり立たないまでも、
それは自然に年老いた姿。朝夕の散歩、庭をうろうろ、
お水を舐め舐め、みんなに撫で撫でしてもらい、
自分から小屋に入ってお昼寝。シロのいつもの日常。


似たもの飼い主と飼い犬。
二人とも、いや一人と一匹は周囲の予想を上回る回復力で、
私たちの日常のほつれを継ぎ合わせ、引っ張ってくれる。
いつになっても、我が家のお年寄りの力の方が大きく元気。
幾つになっても雨傘を広げてくれるのは親の世代。
そしてその忠実な老犬。
老父とシロの絆は固い。


いつもいつも守られている子供世代の私たち。
親を守っているつもりで、実はまだまだ守られている私たち。
ああ、シロよ。君はそうやって、じーちゃんも守っていてくれるんだね。
かーちゃんは、ありがたくて嬉しくて哀しくて、
君がじっと見上げる白く濁ってきた瞳に、
何も言えなくなってしまうよ。
湿った柔らかい鼻に、柔らかい毛に触れる時、
生きている温かさにほっとしながら、涙が滲んでくるよ。

かんたん! 手づくり犬ごはん

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あなたの犬は幸せですか

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