Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

今日はどんな日

今日は戦争が始まった日なのに、ちっとも新聞にそんなことは出ない。
当時様々なな事情があったにしろ、どう見ても日本が勝手に始めた戦争。
それを伝えるどころか、普天間基地の移転の話。
移転の話をする前に、アメリカと日本の関係がどうこう言う前に、
何故そうなったのか、その大もとの話は話題にならない。
アメリカの基地が何故沖縄にあるのか若い世代は知らない。
日本が戦争に負けたってことも知らないのでは?
私だって戦後生まれだけれど、本当に今の若い子は、
第2次世界大戦がいつ始まっていつ終わったかなんて、知らないんだから。


何故か今日のグーグルは、ほうれん草を持ったポパイが。
そういえば、最近の若い子はポパイもオリーブも知らない。
ほうれん草の栄養価は昔よりも落ちているらしいし、
ほうれん草の缶詰なんて、想像もできないだろう。
私も、トマトの缶詰はわかるけれどほうれん草はちょっと・・・。
いや、そういう話ではなくて。


実は積読書になっている1冊の本。岡部伊都子のエッセイ集。
今日この日までには読んでおきたかったのだが。
私は「戦争を知らない子供たち」の世代だけれど、
伯父や伯母は戦争で亡くなっているし、祖父も伯父も出征した。
大叔父に至っては南アメリカに移民として渡り、戦争中に行方不明。
自分の血に繋がる人は誰かが必ず戦争で亡くなっているはずの日本人。
なのに、自分たちの国が始めた戦争のことについて語らない。
新聞にも余り載らない世の中になった。

遺言のつもりで―伊都子一生語り下ろし

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岡部伊都子は許婚を戦争で失った。
戦争に行きたくなかった彼を、愛国の徒、
軍国少女は「私が男なら行く」と送り出した。
そして、愛する人を失って後、死ぬほど後悔した。
その思いの強さは、彼女を死ぬまで独りで生きる事を強いた。
後悔の深さと強さが生きていくばね、気力となったわけだが。


あの時代は、戦争反対と声を大にして言えなかった。
母も小学校時代「戦場で働く看護婦になりたい」と答えていたそう。
模範解答を求められるわけだから、優等生になりたければ当然。
男は級長になれても、女は副級長にしかなれなかった時代。
戦争では率先してリーダーシップを求められた優秀な人材が
真っ先に犠牲になり、(ある意味粛清され)国力は一気に傾いた。
一般庶民は本当に神風が吹くと信じ込まされていた。
でも、わかっている人間は無謀だと知っていた戦争。


そして残された人間は、生き残った責任を感じ、
「逝き遅れた申し訳なさ」を生きる喜び・明日への活力にし、
がむしゃらになりふり構わず戦後の日本の発展を支えてきた。
その世代も生き残り僅か。その時代の心意気を知る者は少なくなった。
私に戦争中の事を語っても、孫には語らない両親。
もう話しても無駄だと思っているのか、話すきっかけが見つからないのか。
それならば、今日こそ、いかに自分たちの青春が浪費されたか、
多くの命が無駄遣いされたか、
私の娘に語って欲しい。


ゲートルを巻いて教練ばかり、召集を覚悟していた父。
勉強よりも奉仕活動が殆どだった母の女学生の日々。
石油も石炭も鉄鉱石も持たない国が、世界中に喧嘩を売った日。
そう仕向けられたからと、勝算なく買った喧嘩。
それが、どんな結果になって帰ってくるか予想だにせず。
時差も考えず、かの地に攻撃を行ったという。
安易な会議を開き、安易に攻撃時間を決め。


そんな話をすることもなく、歴史を紐解くこともなく、
原爆だけ、終戦(敗戦)の日だけを、かろうじてクローズアップ。
でも、今日は、今日こそは、大々的に世界に喧嘩を売り、
華々しく舞台デビューした日(と思っている日)。
全くの外交の世界の大根役者として、愚かで恥ずかしい事にもめげず、
無知と無鉄砲と横槍を、信念や正義にカモフラージュして。


私はまだハワイに行った事がない。
アメリカはニューヨークしか知らない。
でもいつか、真珠湾に行ってみようと思う。
娘に普天間基地問題で揺れる沖縄、
どうして沖縄にアメリカの基地があるのか、
もっとちゃんと話したいと思う。
今日が何の日だったのか、戦争を知らない世代でも伝えられる。
事実は伝えることはできる。


12月8日。
真夏の終戦(敗戦)記念日だけではなく、
いつ何ががきっかけで戦争が始まったのか、
この日何があったのか、
私は知りたい、伝えたい。