Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

今日から噛める?

深く息を吸い込むと冷たい空気が心地よい朝。
凍えるほどの寒さも、胸の奥深くまで清めてくれるよう。
ああ、自分はまだまだ息が出来る。深く深く吸うことが出来る。
そんなささやかな感動が、体中に染み渡る、雪のちらつく朝。
北国とは異なり、ちらほら雪の影を見ただけで嬉しくなる。


今年初めて歯科大に通院する日。年末からの1ヶ月余りを、
噛む力で痛むのを克服、ほんのわずかの隙間に入り込む食べかす、
歯間ブラシで手入れをしても、仮歯の隙間は埋まるはずもなく、
食べ辛い1ヶ月を経ての、久しぶりの通院、受診。
例年に比べ苛立つことが多かった年末年始は、食事の度に痛みを感じるから。
片方だけの歯で噛むのは疲れるし、かといって、仮歯で噛むと詰まる。
この繰り返しにうんざりしながら、この1ヶ月余り。


その間、この右下奥の仮歯の上の仮歯も外れ、近医で付け直す羽目に。
歯の痛みと偏頭痛を抱えながら、正月休みを例年よりも不機嫌に過ごし、
「いや、これではいかん」と気を取り直し、
意志の力でどうにもならない、口腔内環境に気分を左右されっぱなし。
この年明けの診察予約日をどれほど待っていたことか。
周囲に頭を下げ、仕事時間を空け、歯磨き歯間ブラシ準備万端歯を磨き上げ、
いよいよ、今年初の受診日。


主治医に状況を話すと、「ああ、下の仮歯が少し高かったせいで
上が外れたのかもしれませんね」と、あっさりした受け答え。
仮歯を嵌める時の噛みあわせ調整ではわからなかったのだろうか。
私が噛む度にまだ響く気がしますと訴えても、聞き流され
「これでしばらく様子を見て下さい」だったのだ・・・。


今回は調整し直して、再び新しい仮歯に。
「これでもう隙間に詰まらないと思います」だそうだが、
前回に比べてかなり低くなったような。
どうも調整が極端なような気がする。大丈夫か。
仮歯の型を作る間、ずっと電子カルテを打ち込んでいる様子。
「しばらく噛んでいて下さい」の時間を掛け過ぎたのか、
外れにくくなった作りかけの仮歯を無理やり引っ張った挙句、
器具を使って、てこの応用でぐいっと・・・。
大人でも涙が出るほど痛い。理性が無ければ痛くて叫んでいる。
まるで歯が引っこ抜かれる感触なんだから。


おまけに調整する間、ちっともうがいをさせてくれない。
2分も3分も口を大きく開けっ放し、どれほど辛いか。
適度に嗽をしたり口をゆすいだり、
そうやって大きく開けた口の緊張をほぐさないと
どれほど辛いか、先生はわかっていないんじゃないかと思う。
「時々大きく口を開けて下さい」と言われるけれど、
開け続けているのは、腕立て伏せや腹筋と同じで、
口の筋肉がぴくぴくしてくるのがわかるだけに、辛い。
開けていたくても疲れて自然に口が閉じてくるのが分からない?
閉めたら舌や頬を削られそうで更に怖い。

フレッチャーさんの噛む健康法

フレッチャーさんの噛む健康法



奥歯を治療する先生も大変だろうが、口を開け続けるのも大変。
喉のポリープを手術をする際、歯の型を取ってマウスピースを作り、
歯に被せてから、全身麻酔で顎を外して・・・。
昔、母が受けた手術を思い出す。
口を大きく開けるって大変だよ。
バキュームで唾液を吸い続けているから、治療後喉が渇く。
職人芸で作業し続ける、その集中力はさすがだと思う。
でも、先生、嗽させて・・・・。


何かあったら左手を上げて下さいって・・・
何度も何度も上げるわけにも行かない。
結局何も言えないまま、我慢し続けることになる。
作業を中断させれば、それだけ診察時間がかかり、
自分が帰る時間も遅くなり、次の診療予約の人に迷惑がかかりそうで
ついつい我慢してしまうけれど・・・、辛い。


鼻で息をしているから大丈夫ではなくて、
バキュームで空気の流れが喉の奥から逆流して、苦しい。
みんな、歯の治療を受けている人は我慢しているんだろうな。
でも、今日は今日は、今日こそは・・・・。
結局何も言えないまま、治療は終わる。
新しい右下の奥、仮歯が入った。
「今度は隙間を埋めたので、噛んでも詰まらないと思います」
調子がよければ型取りになるらしい。


気分転換に315円ショップで新年福袋を買う。
315円で靴下4足手袋1足、これだけで幾分心和む私って・・・。
食べ物に走らなかっただけましか。
音楽教室の娘をピックアップ。今日は夕食を作る気力無し。
二人でジョリパ、イタリアン。販促チケットでイチゴケーキ追加!
急いで帰宅、BSウェルかめを5分だけ見る。
ああ、夕食は、噛める噛める噛める、痛みなしで噛める。
本当にこれが毎日続くなら・・・!
こういうことが、ささやかな日常生活を支えている。


鼻から吸う空気が肺に深く入り、新鮮な息吹を堪能できるように、
痛みを感じずに噛める歯。
そして、今欲しいのは、かかとに痛みを感じずにに歩ける左足。
ずきずきせずに物をつかんだり捻ったりできる左手。
左右のバランスが取れて痛みが走らないからだ。
痛みと付き合いながら、生活。
騙し騙し、メンテナンスの日々が続く。

噛めば噛むほど子どもは伸びる! ―『噛むこと』を考える本

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歯から始まる健康と医療―COME・噛む・エブリバディー

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