餌付け?
再び月曜日。あっという間に日常生活の独楽の上。
動いているのか動かされているのかわからぬ盤上にて、
ドン・キホーテのような思いで「あるべき理想」を求める日々。
されどされど、ルーティンワークの中で押し流されていく。
それどころか、余計な会議が二つも入って・・・。
必要だとはわかっていても、うんざりしながら。
「一を聞いて十を知る」ことができないから寄り合いは必要。
書類を回しておしまいということにはならない。
根回しも表立った批判や指摘も、当たり前のように必要。
ちょっとした潤滑油代わりの雑談、つまむお菓子。
先輩は「何事も餌付けだな」と笑う。
そうか、私たちは餌付けされてここまでやって来たのか。
そうか、私たちは次の世代も餌付けして育てないといけないのか。
世間では政治に絡む「山吹色で彩られたお菓子」の話でかまびすしい。
それも一つの餌付けの最高峰なのだろう。
私たちの世界とは隔絶した、別世界での餌付けの形だが。
煙草を吸わなくても、仕事の合間口寂しくなる時、
ほんの少し何か無いかとポケットを探ったり、
到来物に手を付けたり、お土産やお裾分け、差し入れで気分転換。
ガムやのど飴よりもカロリーの高いものに癒され、
ほっと人心地付くのが情けない。疲れているでは済まない。
本当に精神的にも乳幼児期。口からの刺激で落ち着くとはね。
終業時間をとっくに過ぎて部屋に戻れば、既にみんなは帰宅。
誰も居ない部屋に、電気もストーブも付けっぱなし、
薬缶掛けっぱなし。・・・おいおい、それは無い。
疲れがどっと倍増した気分で、帰り支度をしていると、
何故か気心知れた同僚がやって来て、家で焼いてきたから
娘さんと食べてと、チョコブラウニー、一箱。
彼女、笑いながら曰く「おからで作っているからダイエット向きよ」と。
男の子二人の母親だが、お菓子作りが趣味。
クッキーだの、手作り味噌だの、毎日のように何がしか作っている。
家事の合間に? 夜、寝る前に焼く?
仕事も忙しいのに手先も器用に、差し入れ。
本人曰く、苛々している時ほど作りたくなるんだとか。
気分転換にお菓子作り。食べるのも料理も好きだけれど、真似できない。
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事務所に行く。15日まで提出の書類をすっかり忘れていて、
慌ててパソコンを覗きながら、手続きを済まし判子を押して。
この所、ボーっとしていて忘れることが増えてきた。
書類を見ても張り紙を見ても、手帳を見ても目がスルー。
こんなに忘れていては「ど忘れ」では済まされない。
こんな状態では、仕事に差し支える。
そう思っていても、ポカミスは続く。
むろん、原因はうすうす気づいているのだが。
ようやっと提出書類を仕上げ、事務所を後にすると声が追いかけてくる。
? 「京都土産なの、おうちで食べて。いつも色々貰っているから」
「・・・それはどうもありがとう」京菓子を頂いた。
今日はお菓子を良く貰う日だ。偶然。それとも私はエネルギー不足?
大部屋の上司に退社の挨拶をすると、到来物の最中を一つ頂く。
どうしたんだ? 今日は一体貰い物の日、頂き物の日?
偶然が重なっているにしても、今日はまた甘いものばかり重なること。
しかし、昼間先輩から聞かされた「餌付け」という言葉が耳に残り、
何となく気になって仕方が無い。せっかく疲れを癒す甘いもの、
いつもなら何も考えず大喜びに素直に頂くものなのに、
どこか心に引っ掛かりができてしまっている、今日。
誰かに何かを差し入れたり、お裾分けしたり、そんなささやかなやり取りが、
世間的なの付き合いの潤滑剤、仕事の活性剤になっていると思っていたのに、
むげにあっさりと「餌付けだね」といわれた言葉が、ずっしりと重い。
その会話の文脈、話の前後の流れに関わらず、
「餌付け」という言葉に自分の心弱さ、卑しさ、人恋しさ、
頼りなくふがいない不安定な自分を、
精神的体力に乏しい自分を、見透かされたような気持ちになって、
素直になれないとはどういうことか。
ああ、こんな日もあるのだと受け流していくしかないか。
そんな月曜日。「餌付け」の一言に年甲斐も無く打ちのめされた今日。
娘を水泳教室からピックアップして帰る道、
西の空に輝く三日月は空に横たわり、お供の星が一つ瞬く。
弓張り月も疲れて体を横たえるのか、その横できらりと輝く小さな星。
娘よ、潰れているかーちゃんと君のようだね。
少しばかり心癒される夜空を見つめつつ、
親子関係は「餌付け」じゃないよね。
そんな風に受け止めたくはないよねと、胸のうち。
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