トリノ・エジプト展
仕事で神戸へ。滅多に無いことだ。
哀しいことに久しぶりの神戸だというのに、土砂降りの雨。
自由時間がそれほどあるわけでもない。
ランチタイムを削って時間を作り、雨宿りも兼ねて
トリノ・エジプト展を見ていくことに。
せっかくの催しの機会だが、駆け足でトリノ・エジプト展。
今までイタリアには4回ほど行き、あちこち旅行したというのに、
何故かトリノにはただの一度も行っていない。というわけで、
このトリノ・エジプト博物館のコレクションを是非見たかった。
かのシャンポリオンも一目置いていたほどの収蔵物を誇る博物館。
しかし冷静に考えてみると、どれだけエジプトから様々な文物が、
貴重な歴史的遺産が流失(当時先進国と言われていた欧米列強が、
こぞって文化的遺産を勝手に持ち帰って)していたかという、
経緯があるわけだが。
学者のパトロンとして裕福な貴族がその見返りに欲しがった、
エジプトの古代遺産。
現在様々な国が欧米の美術館博物館に収蔵されている文物に対し、
自国への返還を求めている事を思うと、少々複雑な思いで
展示品を見てしまうことになる私。
いつもに比べて点数は少なく、天候のせいか人出も少なく
思いのほかゆっくりと見ることができた。
トリノでは非常に工夫した展示方法が為されているという、
その演出を真似て工夫された室内。照明や鏡などうまく使って、
なかなか面白い展示の仕方だったように思う。
この辺の融通、京都や大阪の市立美術館では無理だったかも。
というわけで、門外不出のツタンカーメンとやらを拝ませて貰う。
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−−「アメン神とツタンカーメン王の像」が初めて館外出品、
大型彫像やミイラ、彩色木棺、死者の書、パピルス文書、
ステラ(石碑)など、1824年の博物館設立以来、
館内ですら動かされたことがない作品を含む、
選りすぐりの名品約120点が日本初公開。−−
この謳い文句に違わず、「見た事のない、初めて見る」オンパレード。
何よりも新王朝に焦点が当たって、宗教改革以後、
歴史上から抹殺された王たちがいたこと、
その中にツタンカーメンも含まれていたことなど、
思っていたより丁寧に説明があった。
最近はツタンカーメンを、きちんと、トート・アンク・アメン
(アメン神に帰依するもの)と併記するようになって来ている。
昔々の大学時代の西洋史、何故か地中海世界、それもエジプト中心。
この新王朝での宗教改革時期、太陽賛歌などを詳しく習った事を思い出す。
初公開の彫像、彩色木棺、石碑など確かに興味深かった。
様々な展示品を見ていると、心は時空を越えて別世界。
博物館から一歩出ると、土砂降りの現実。
市内を走るバスは遅れ、予定通りに動けず難儀。
観光用のバスは今週一杯連休ダイヤ。
雨だし本数は少ないし、それほど土地勘があるわけでもないし、
参った。ビルの谷間に出ているお弁当屋さんも雨の中大変。
買ってあげたいけれど、食べる時間が(場所も)無いのよ・・・。
仕事で空腹のまま歩き回る現実。
雨に降り込められ寒い中を歩き回る一日。
歴史ロマンと引き換えに。
せめてもと、娘に古代エジプト文様のトランプ。
おそろいのロータス文様のTシャツを色違いで。
かーちゃんは重い荷物を持ちながら歩き回った。
さすがに山岸涼子のイラストファイルは買わなかったけれど、
往年のファンは漫画は勿論、初版本で持っている。
その辺の所は抜かりはないかーちゃんなのだった。
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