Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

ブルーマンデー・ランチ

偶然入った店が『ゴルゴ13』の作者が、同窓会に使うというすし屋。
そういえば色紙がある。そんな店で周囲の会話を聞きながらランチ。
久しぶりに時間ができたのだが、あいにく一緒に食べる連れは無し。
気分転換を兼ねて、止まり木ならぬカウンターでランチ。
あっさりしたものが食べたくて、和食の店へ。
どうやら月曜日は混む日だったようで、活気のある店内。
いつものようにカウンターに陣取る。


どうやら今日はサービスデー。それも還暦を過ぎた方々への。
何とこのご時世にありがたい、ワンコイン・ランチ・サービス。
むろん私は普通の定職のお値段だが、お年を召した方々は500円でご提供。
そのために店内、お馴染み、常連さんが詰め掛けておられたよう。
「後回しでええで」と大将に声を掛け、悠々と煙草を吸うおじいさん。
「楽さしてもろて」とご夫婦で止まり木。
どうやらかの「さいとうたかを」氏の同級生であられるよう。
話題が超ローカルだ。


止まり木は、握るネタも盛り付けもよく見える。
いつの頃からか(畑違いであろうとも)人の仕事ぶりを見るのが好きに。
昔読んだ『美味しんぼ』で仕入れた知識、たかが知れている料理の知識、
器や食材の薀蓄、数少ないネタを拾い出しながら店内を観察。
耳をダンボにする。


大将は最近大忙しらしい。不況の昨今、お客の入りは悪い。
あれこれしないとやっていけないと、お隣さんと会話中。
近場のスーパーで惣菜を仕込んだ後、
自分の店でランチを用意、丸一日働いて夜10時まで。
月曜日のランチは60歳以上500円の大盤振る舞い。
全く持ってボランティアの領域だとぼやくことしきり。


親御さんに連れられ、調理師学校卒の新人が入ったとか。
昨今の就職事情、板前修業について歓談しながらも、
やはりというかさすがというか、寿司を握る手は休めない。
そんな中で、ボーっとランチの定食を頬張る。
ここは仕事の緊張を忘れて、胃に優しいものを食べておこう。

100日弁当。-四季をたのしむ、シンプルレシピ。

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書類仕事の疲れ、目にも肩にも腕にも堪える。
職場の人間と顔を合わせているのも、
大勢の人間を見ているのも、
機械的に作業するのも、何もかもから距離を置きたくなる、
そんなブルーマンデーの昼休み。
束の間の自由。


ゴルゴ13』のような苦み走った、粋なバイオレンスロマンも何もなく、
不況に喘ぐ中、どうにかこうにか地域に必要とされながら地道に商売。
そんな当たり前の生き方・仕事人を目にし、耳にし、今しばし、
その作品を美味しく味わい、この場を後に。


誰のどんな仕事も、必要とされるからこと遣り甲斐があり、
その仕事の価値によって稼ぎを得、新しい世代に技術を仕込み・・・、
新しい世代とは何処に? 自問自答しながら消えていく、
自分の中の自分に問いかける。
人の作ったものを美味しいと感じる私。
味わうことのできる私。
その私は何を作り出す? 何を実績として残す?


ちらりとそんなことを考えながら、そそくさと平らげ、
職場に即効戻る昼休み。
やらなくてはならないことは山積。
見習いたい『ゴルゴ13』の迅速な依頼処理。
愚痴らずサボらず的確に正確に。
そんなことを思いながら昼休みを終える、
ブルーマンデーのランチ・タイム。

ゴルゴ13 156 (SPコミックス)

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各界著名人セレクション BEST13 of ゴルゴ13

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