Festina Lente2

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WOWOW 目覚めればYES LIVE ’89

白い衣装、長髪をなびかせて天使のように微笑みながら、
三日月形のタンバリンを片手に歌うジョン・アンダーソン。
あの、誰も真似することができない高音で響き渡るヴォーカル。
どれほど彼のヴォーカルに心惹かれたことだろう。
私のプログレ人生の中で、一番最初に飛び込んできたYES。


縦じまの白いジャケットスーツに苦みばしった苦しげな表情で、
恍惚とギターを弾くスティーブ・ハウ、超絶技巧の風情。
何だか修行僧のように淡々と弾いているようで、その実、
熱くギターを唸らせて、或いは静かに語らせて、
どんどん高みに上昇するように弾き込んでいく彼。


短くなってしまったトレードマークの金髪、
一体いつ頃の彼だろう、この雰囲気は。やや肉がついたものの、
指だけはキーボードの魔術師の異名をとっただけのことはある、
青い南国風のシャツを着たリック・ウェイクマン。
相変わらず多くのキーボードに囲まれている。


少年のような表情で、飄々と正面に陣取って、
6角形ドラムを叩き続けるビル・ブラッフォード。
なぜ漢字の入ったシャツを? 背中には寿、胸には福。 
呆然として画面に見入っている間に、あっという間に時間が過ぎていく。
どうやら、洋楽ライブ伝説という番組だったのか。


嘘だろう、青春時代に夢見たイエスの面々がライブ。一体いつの?
みんな若い、そう今の私から見たら遥かに若い。
今かかっている曲は「危機」YESで最も最初に手に入れた一枚。
あの夢見るような色彩のジャケットを忘れることができない。


「ロックが聴きたいか」と聴衆に呼びかけて始まる、ラウンドアバウト
アンコールで演奏されたスターシップ・トゥールーパー。
どうしてこんな世界が、今、目の前で繰り広げられているのか、
真夜中に放り投げた仕事から転寝して目覚めれば、
時計が巻き戻されたかのよう、四半世紀も前に。
懐かしい曲ばかり。誰か一人欠けている、オリジナルメンバーが。
ああ、クリス・スクワィアがいない。

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実は今日から、TVが新しくなった。デジタル放送が来年から始まる、
そのぎりぎりまで今のTVで過ごそうと思っていたのに、
どういうわけか、我が家のTVが映らなくなってしまった。
音声だけ、画面は真っ暗。巨大なラジオと化してしまった。
おまけに期を同じくして、家人の14インチの経済的長持ちTVも、
某企業のリコールに見事に引っかかり、来年を待たずして買い換えなくてはならない。


どうして家電というのは、一気にあっちもこっちも悪くなってしまうのか。
何もなけなしのボーナスを前にして、当然のように倒れこまなくてもいいではないか。
賃金もボーナスもカットされて、上からの評価のままならず、
仕事の面白みは、遣り甲斐は自分に跳ね返ってくるとはいえ、
ミッションを、モチベーションを保つのは難しく、
若い頃のように柔軟に考えることも、一途に進むことも出来ず、
経験が鍛えた直感と判断力だけでスィングバイ、適当にやり過ごすことばかり。


その生活にカンフル注射とまでは行かなくても、家にガタが来て、
家族が怪我や病気、挙句に長期入院だのとひと悶着あって、
落ち着いたと思ったら仕事に色んな山あり谷ありが待っていて、
ほっとする間もなく、あっちが壊れこっちが壊れ、
車も然り、家電も然り。
そんな中で、デジタル受信はまだなのに、
お試しBS放送で見ることの出来た夜中の音楽番組は、
私の若い頃を見透かしたかのようなプログレの御大、
YESの全盛期のライブ。これは僥倖、それとも慰め。


ちなみにこの年のライブは途中からしか見ていないので、
多分、1989年のライブのはず。An Evening of Yes Music Plus。
うーん、全盛期というにはちときつい。かなり盛りを過ぎているかな。
同志 ユア・ムーヴ〜オール・グッド・ピープル
危機 テーマ ブラザー・オブ・マイン
ミーティング 燃える朝焼け オーダー・オブ・ザ・ユニヴァース
ラウンドアバウト スターシップ・トゥルーパー

だったように思う。真夜中ぼーっとしながら見ていたけれど。
たまの、滅多にない偶然の、ご褒美のような真夜中過ぎの出来事。

Close to the Edge

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Fragile

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