Festina Lente2

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「アニメの革命児 金田伊功」を見て

残念ながら熱烈なアニメ信者ではないから、ボーっと見ていた。
そして、ああこの人だったのかと改めて知った。
アニメに対してマニアになるには、もうTV離れし始めた年齢だったが、
当時、「ど根性ガエル」は当たり前に見ていたし、
宇宙戦艦ヤマト」は高校時代の卒業アルバムにも入り込み、
風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」は社会人になっても、
楽しめる作品があるのだなと実感させられた頃だったから・・・。
しかし、その後は余り見ていない作品も多々ある。
ちょっと調べてみると・・・。


1979 宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち(原画)
   劇場版 銀河鉄道999(原画)
   円卓の騎士物語 燃えろアーサー(原画)
1980 地球へ…(原画)  ムーの白鯨(メカ修正)
   ずっこけナイトドンデラマンチャ(絵コンテ・作監・原画)
   がんばれゴンベ(原画) ヤマトよ永遠に(原画)
   太陽の使者 鉄人28号(原画) 宇宙戦艦ヤマトIII(原画)


1981 サイボーグ009 超銀河伝説(原画手伝い)
   タイガーマスク二世(原画手伝い)
   劇場版 さよなら銀河鉄道999(原画)
   銀河旋風ブライガー(オープニング・エンディング原画)
   1000年女王(原画)
1982 魔境伝説アクロバンチ(オープニング・エンディング絵コンテ、原画)
   わが青春のアルカディア(原画)
1983 機甲創世記モスピーダ(オープニングアニメーション)
   プラレス3四郎(絵コンテ、原画) 幻魔大戦(原画)
   宇宙戦艦ヤマト 完結編(作画監督


1984 バース(アニメーションディレクター、その他)
      風の谷のナウシカ(原画)
1985 THE CHOCOLATE PANIC PICTURE SHOW(絵コンテ、アニメーション)
   ビデオ戦士レザリオン(最終話原画)
1986 天空の城ラピュタ(原画頭) 火の鳥 鳳凰編(原画)
1987 ミスター味っ子(原画)

この人に話を聞きたい アニメプロフェッショナルの仕事 1998-2001 (ANIMESTYLE ARCHIVE)

この人に話を聞きたい アニメプロフェッショナルの仕事 1998-2001 (ANIMESTYLE ARCHIVE)


とにかく手がけた作品が多い、多過ぎる。
なのに、自分の頭の中にはそれほど印象が無い。
ジブリが台頭してきた前後は、殆どTVを見ない生活。
残念ながら、ロボットものアニメは好きではなかったし、
バタンキュー生活の中では、当時の何もかもが曖昧。


アニメーターというものが注目され始めた頃から、
社会人になった私は、一時期漫画の世界から本当に遠ざかった。
仕事を覚えて慣れていく過程で、音楽さえも聴かなくなった。
日本の漫画が多彩になって行く時期、アニメが金田伊功を始め、
世界をリードして注目を浴びる時期に。


その時代を引っ張った人は、もう既にいないのだ。
そして、追悼として作られた番組の再放送。
自分の空白の時代を身を削って生きていた人を惜しむ声、
懐かしむ人々、敬愛してやまぬコメント、画像を垣間見る。
何ともいえぬ落ち着かぬ不思議な気分。
その頃自分は何をしていただろうか。


それまでの自分の好みや何やかや。あらゆるものから遠ざかり、
子供ではなくて「大人の自分」にふさわしいものは何なのか、
連続した何かを見つめるのではなく、過去と切り離して作ろうと、
そんな風に考えていた頃。
正直、手塚治虫が思いもよらない早い死を迎え、
昭和と共に去っていってしまうまで、
私は文学の世界からも遠ざかっていた。


社会人になってみれば、夏炉冬扇の如き世界は
自分を助けてくれる何ものでもなく、
就職してからの10年間は人生にとっては空白に等しい、
毎日に押し流されていくだけ、付いて行くだけが必死の、
余裕の無い10年間だったと思う。
人間らしい時間の少ない滅私奉公の日々、
アニメを含めて読書や音楽の趣味の時間は、
楽しい時間ではなく、「大人の自分」から逃れる時間、
そんな風にさえ思えて、自分の未熟さが嫌だった頃。
ただただ、独りでしかなかった頃。


ジブリで原画頭を勤めた人が、思いもよらない早死に。
心筋梗塞だったんだって。
ああ、そんなニュースをどこかでちらりと頭の片隅に。
あれから1年以上が経ったんだね。
良くも悪くも考えてみると、片手程しか年が離れていない。
心身ともにアニメに捧げ尽くして生き急いだ人は、
ほんの少しばかりにーさんの人だった。
物凄く年上だと思っていたのに。


TVを見ながら、様々な作品が流された。
でも、やっぱり遠い世界の人だった。
(翌日の、タツノコプロの世界を垣間見ながら思った。)
あまたの漫画の原画を描き続けて逝った人、
必死に生きた人と流されていた自分と、余りにも差があり過ぎて。
ああ、そうだ。アニメの黄金期からずっと。
社会人になるということは、仕事をするということは、
私にとってはプライベートを失い空っぽになり、
閉じていくだけの毎日だったと改めて思い起こした、
そんな夜。再放送の番組を見ながら。

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