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タツノコプロの話

NHKハイビジョン。これも再放送だが、昨夜に引き続き、
チャンネルをひねれば、期せずしてタツノコプロの話。
この方が昨日の話よりも私にはしっくり来る。
リアルタイムで見た作品群、思い出が走馬灯のように駆け巡る。
宇宙エース」「マッハGoGoGo」「みなしごハッチ
科学忍者隊ガッチャマン」「タイムボカン」シリーズなどなど。
白黒時代からカラーまで、盛りだくさんの作品群。


でも、どんどん話が暗くなっていく。世界観がどんどん。
思春期前期から後期に掛けて、だんだん日本はスローダウン。
バブルで弾けて、沈んでいくのだけれど。
特にガッチャマンは痺れた、今でも見ると痺れる。
けれど、キャシャーンに至っては駄目。
もしくはワンパターンの連続で類型化された幼い子向け、
タイムボカンシリーズ。これも苛々して駄目。
もう、年齢的に見ていることができなくなってしまった。


そうそうたるメンバーがタツノコプロから巣立っていったとあるが、
彼らをどう評価していいのか、私にはわからない。
タツノコプロがかつて目指した誰もが楽しめるアニメというよりも、
わかってくれる人だけがわかってくれればいいという、
唯我独尊を個性だと言い切った、灰汁の強いアニメの世界に
突っ走って行ったというか、埋没していったとしか思えない。

UNDER COVER ~タツノコソングス~

UNDER COVER ~タツノコソングス~

タツノコプロ大全集

タツノコプロ大全集


吉田辰夫の生い立ちから親子・兄弟関係、師弟関係、
様々な人の証言から蘇る、黎明期のアニメ界の壮絶さ。
意欲的に取り組むといえば聞こえはいいが、命を削る真剣勝負に疲れ、
寿命を燃やし尽くして、45歳で逝ってしまった。


その軌跡を辿って、振り返る。
その後タツノコプロプロから巣立っていった人々に焦点を当て、
インタビュー形式でコメントが為されていた。
でも、何だかしっくりこない。
ただ、わかるのは、余りにも影響力の大きかった人が、
余りにも早く言ってしまったこと。


その世界を全力で切り開いた人たちは、何もかも引き受けて、
壁になり、矢面に立ち、精力を注ぎ込み、後進に道を開き、
周囲が気付いた時は、存在して当たり前の空気のように、
軽くなって、透き通って、逝ってしまった。
その猛烈な一生とは対照的に、燃え尽きて逝ってしまった時のあっけなさ。
そればかりが心に沁みた。


アメリカで映画になった『マッハGoGoGo』を家族で見たっけ。
あれは、去年。いまだにリメイクされる影響力。
あの、わくわくする躍動感。漫画の世界から消えてしまった、感覚。
今のアニメの一部受けを単発花火のように打ち上げる、
「萌え」という言葉で何もかも表現してしまう、軽佻浮薄さについていけない。


あの昔、漫画やアニメが目指した世界は、「萌え」ではなくて、
もっと熱いものだったろうと思うのだが、
そこに身を置いて生活していたわけではない者が何を言っても、ね。
それでも、ただただ懐かしい。未来を信じさせた科学的なデザイン、
勧善懲悪もハイテク化していった時代のアニメが持つ、
痺れるようなあの感覚。一体感。


そういうものが失われてしまったから、特集になるのだろう。
人は失くしたものを執拗に悼む。
悼む自分を感じ取って更に、愛おしむ。
自分が生きてきた時代を、リアルに思い出させてくれるものに執着する。
執着していることがエネルギーだと、影響力の為せる業だと感動する。
その、暑苦しいほどの情熱を、人々の思い入れを、
映像に見出して、今夜、あの頃子供だった自分を思い出す。

マッハGoGoGo 1

マッハGoGoGo 1

ヒーロー&ヒロインの描き方 基本動作篇

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