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駄作『ガッチャマン』

レイトショー、ガッチャマン
あり得ないション弁臭い映画。
桃李君は悪くないと贔屓目にいっておこう。
しかし、強力アヤメは良くない。
役者というよりも、彼女の個性、素で演技している感じが出ていて良くない。
リアルタイムガッチャマン世代からすると、とんでもないリメイク。
ちっとも旧作へのオマージュ、リスペクトになっていないじゃないか。
小出しのネタさえ忌々しい。そう、ヤッターマンのアイテムが出てくる所など。


昨夜のレイトショー、リアルタイム『ガッチャマン』世代のおばさんは
役者の桃李君見たさに。作品本体は酷かった。
猫山君を途中で女とばらすお粗末さ。
丁寧に演奏できない見栄っ張りがアップテンポで駆け抜け誤魔化したような特撮。
ギーガー化キングギドラ。続編匂わすラスト。いじましく浅ましいい。
(2013 8/30)

タツノコプロ原作のアニメ作品『科学忍者隊ガッチャマン』の実写版映画作品。
いい年をして、よくもまあ「こんなもの」を見に行くなと言われそう。
梅ちゃん先生で一世を風靡?した、人気者、注目若手俳優、松阪桃李君を見たい。
そんなふうに言ってしまうと、おばちゃんおばちゃんしているなあと呆れられそう。
それも一理あるにはあるが、『ガッチャマン』のオリジナルアニメそのものは、
タツノコプロの画風の中でも厳つい系のタッチ、劇画調のアニメで、
ヤッターマン』シリーズのようなお子様向けとは一線を画する。


おまけに公開当時のシリアスで重苦しい雰囲気に満ち満ちたストーリー展開は、
ハッピーエンドにならないヒーローものであり、リーダー格よりも、
サブのコンドルのジョー / G-2号(声:佐々木功)が格好良すぎて、
5人のメンバーのそれぞれのアンバランスな能力と魅力が、
時にはコミカルにシニカルにシリアスに物語を支えていた。
それが実写版になるというのだ。どう料理するつもりなんだと、ちょっと興味が。



普通ファンは、アニメが実写版になるのは嬉しくない。
自分の頭の中に描いている理想郷が、土足で汚されるようなものだからだ。
小説の映画化(アニメ化)で、一番がっかりするのは、想定外の許せない映像化、
これは幾ら何でも無いだろうというビジュアル化にある。
それをどこで線を引けばいいのか、微妙なのだが…。


今回はどうやら、5人の人物設定をアニメとはかけ離れた生育歴で
未来SFになってしまっているし、人間関係もコミュニケーションも、
場所の設定、背景、小道具大道具、何一つ取っても未熟な脚本と、
原作への配慮がない杜撰な制作がうんざりするほどで、
世界制覇と恋愛と裏切りをミックスすれば物語がどうにかなると思っていたよう。
人気役者を頭数投入すれば、どうにか私みたいなのほほんとした観客が
集まるんじゃないかと安易な集客を見込んだ作品になっていて、駄作度は限りなく高い。
この馬鹿馬鹿しさ加減を確かめに来ただけか、有料で…と思ったが、
これが日本の映画界の実情なんだろう。


若手役者は仕事筋から貰った役どころを「好き嫌い」で決めるほど、
実力や発言権があるわけではあるまいし、できるだけ頑張って、
「それらしく」作品を仕上げるしかない。
その過程で、どうにか自分のスキルになるものを得ていく。
後々、業界で生きて行くためのコネやきっかけになるものが得られるのなら、
何らかの形で自分の演技に磨きが掛かるなら、
それはそれで勉強だと思ってガンバロウで体当たりできる。
しかし、視聴者の側としてはそこまで配慮して甘めに大目に観ることはできない。


ここまで原作を滅多切りにして、人寄せパンダのために
ガッチャマン」の名前を使うか…。
でも仕事場もそういうところはある。名前だけが歩いていて、
実情が伴わない何で今に始まったことではないけれど、
それにしてもなあ…。(2016 1/29)