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実写版『図書館戦争』

10日ほど前の日曜日、12日のことだが昨年話題になったアニメ映画、
図書館戦争』が実写化された作品を娘と二人で観に行った。
有川浩の原作はもちろん、漫画化されたモノも読んで内容が分かって上での鑑賞。
図書館が「読む自由」のために武装して戦わなければならない、近未来の日本。
つまり検閲、統制のある時代の話。


作家も、作品もそのその自由・生命を保障されない。
作家生命は作品と共にある。
更に、物語の背景には良書らしからぬと烙印を押された本を所蔵する図書館への
無差別攻撃、襲撃が行われ一般市民も巻き添えになっている。
そんな恐ろしい近未来が描かれる。
実写版では余り見たくない派の私なのだが・・・。


その犠牲となった図書館長として、カメオ出演と言っていいのか、
読書家で知られたロマンスグレーのかの人、児玉清氏が、
そしてその意志を受け継いで関東の図書館を束ねるという立場に、
元祖インテリ俳優とも言うべき石坂浩二氏が出ている。
(実際はこの役柄は映画用に新しく作られているもの)
原作がどのように映画化されているのか興味津々で出向くことに。


原作者が児玉氏と対談したこともあって実現した企画のようだが、
本当に惜しい方が無くなった。
ブックレビューは深夜だったので、リアルタイムで見ることは少なかったが、
人が本をどのように読むか、等ということを見聞きすることの無かった昔、
今のようにネットで検索、読書メーターなので感想を拾う、
そういう今の時代だからこそ、長生きして欲しい人だったのだが。


アニメ映画の方はTVでは出来なかった
(それこそ不的確として放映できなかった)内容を盛り込んで昨年公開された。
が、残念なことに、大阪府下でも3館しか上映されて居らず、
娘とわざわざ市内まで出て見に行くことになった曰く付きの作品。
図書館で戦争が起こる、読む(見る・聞く)ことの自由に対して制限が掛かる、
それを映画館がどう判断したのか分からなかったが、戦隊ヒーローや幼児番組、
ディズニーでもないので、上映ネットワークから外された感があった昨年。


どうやら実写版の方は若手の人気俳優?(私は知らない)が出ていることもあって、
地元のシネコンでも上映の運びとなった。
書店、公共施設に乗り込んで「不良」と見なすモノを容赦なく没収、
焼却処分にする側も、個人の財産として守られてきた私設図書館の資料には
手が付けられない。その貴重な資料が、個人の死去と共に公立図書館に寄贈された。
それを奪いに来る側と、図書館との戦闘シーンがこの物語の見せ場。


驚くほど戦闘シーンは長かった。色んな形で戦闘シーンは展開。
権力、思惑、作戦、上下関係、そして忘れてならない恋愛絡み。
色んな要素を鑑みても、一番無骨な戦闘シーンが要になっていて、
守るために戦う、それは死と隣り合わせの任務という、
我々が一般的に思っている「図書」と、読書、言論の自由が、
「守らなければ享受できない世界」の緊迫感を感じさせていた。


親子共々結構ウルウル来てしまい、話の流れも落ちも知っていながら、
しっかり映画の世界に浸ったのだった。
思想統制言論の自由が奪われた世界であれば作ることはもちろん、
見ることも叶わない映画を見ながら、しみじみ。
そして、普段は日本映画を余り見ない私ではあるが、
原作を損なわずに実写化したことに関して、感動のため息。


若手俳優の「動ける」ことをアピールしたアクションシーンが多かったものの、
現実に戦闘が行われたら、もっともっと苛烈に長く続くであろうと思うと、
そして、図書閲覧中に襲撃があり、防空壕ならぬ地下書庫に待避する場面など、
図書館が砦化、城塞化していることを目の当たりにすると、
平和ボケしている日本は、守らなければならない色んなものを、
意識せずないがしろにしているのを、改めて意識させられる。
政府の干渉の凄まじい国が、身近にいるはずなのに、
「平和」「仲良く」を意識しすぎて、言うべきことも言わずに来ている、
そんなことを意識させられる。


http://d.hatena.ne.jp/neimu/20120530
http://d.hatena.ne.jp/neimu/20120702


あれこれ思いながら、娘と帰宅。
読書メーターのナイスが1日で100を越えていた。
転勤後、更新出来ずにいるけれど、何とか頑張ろう。

図書館戦争 LOVE&WAR コミック 1-11巻セット (花とゆめCOMICS)

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