Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

先撮りマンモ

先週末辺りから、実家の庭を飛び回っている赤い蝶、
タテハ。赤タテハか黄タテハか、今年は随分多い。
というか、実家の庭がジャングル状態なので飛び回りやすいのか。
背の高いオクラに、まだまだ実を付けそうなニガウリ。
青紫蘇、冥加、三つ葉、様々なつまみ菜があちらこちらに。
ちょっとした家庭菜園にたむろする蝶が舞う庭。


虫たちも短い、いや今年の夏は長いが、子孫を設けようと、
ランデブーしている。その景色が何故か頭から離れない。
そんな景色を思い出しながら、あたふた通勤、そこから直行。
ガン検診を含む婦人科検診を受けている。まあ、一般的な検診の部類。
近所だの同僚だのが亡くなっている現実を間近に見ていると、
検診をサボろうという気にはなれない更年期。
まあ、仕事の息抜きを兼ねて街中に出かける。
待ちくたびれなくてもいい予約制の検診は、時間の節約にもなる。


ここは、周囲に美味しそうな店も無く、味気の無い場所。
だんだん飽きてきて、検診場所を変えようかなあと思ってしまうくらい。
お役所仕事だったこの検診施設の医療関係者は、どう見ても暇そう。
いつ来ても閑古鳥が鳴いているのではないかと思うくらい、空いている。
というか、予約制の検診施設で普通の診療は行っていないにしても、
空き過ぎ。もっと詰め込んで検診を行わないと、採算が取れないのでは?
(お向かいにも府の施設があるが、いつ行っても空き空きで、
これで仕事をしていると言ったら、通常の病院勤務の人間は、
倍給料を貰わないといけないだろうと思ってしまう。


それくらい、静かなんだよね、検診施設の病院。
でも、どこの病院もそうだけれど、ここも客商売に目覚めたのか、
お客様本意のコミュニケーションを心掛けているのか、
言葉遣いも柔らかくて優しくなった。
どこぞの「評価」が気になります、気をつけていますという雰囲気が
ひしひしと伝わってくる。なのに、残念ながら、
受付と会計窓口が一番愛想が悪い。
ただの予約の検診で悪うござんしたといいたくなるくらい。
だから、入館した途端気分が暗くなる。


「人の振り見て輪が振り直せ」
自分も仕事中にあんなに不機嫌な顔はいかんわなあと、
肝に銘じながら着替える。本の少し腰掛けて辺りを見回す。
あっという間に問診、内診、骨密度(いつもほめられる)、
しばらく待ってマンモグラフィーが終わる。
マンモの撮影も、以前に比べて撮影手順がてきぱき早い上、
あまり痛くなくなってきたような感じがして嬉しい。
検診施設によって機械も違うし、その操作性と指示とは異なるが、
撮影時の指示方法も向上している感じ。


採血の時も検診施設は丁寧だ。アルコールで荒れませんか、
絆創膏でひりひりしませんかと丁寧に尋ねてくるのも、ここ最近の傾向。
昔はそんなこと訊かれた事も無かっただけに、検診のたびに新鮮。
最後は、いよいよ触診です。一日何人診察するのか、先生、大変・・・。
昔、野球の優勝チームが勝利記念パレードで投手が握手し過ぎて、
手の感覚がおかしくなって、試合の時に上手く投げられなくなった、
なんて話を聞いたことがあるけれど、毎日毎日素手で触診、
それはそれでなかなか大変・・・。
ん?

マンモグラフィによる乳がん検診の手引き―精度管理マニュアル

マンモグラフィによる乳がん検診の手引き―精度管理マニュアル

マンモグラフィのあすなろ教室 (画像診断別冊)

マンモグラフィのあすなろ教室 (画像診断別冊)


先生の姿は無く、部屋でほんのしばらく待つみたい。
どうしてかな? 「次、先撮りマンモの人です。」
あ、これ私の乳房レントゲン写真か。
マンモグラフィーで撮った画像が目の前の大きなパソコンに
左右対称に並べられている。あれ、ちょっと大きさ違うね。
入室して来た先生、おもむろに画像を拡大し、
左右の高さを合わせ、微調整、凝視。
・・・大丈夫のはずだよね。


そして、ベッドの上に仰向け。触診。
なんだか私の胸は、つきたての餅・・・にされた感じ。
こういう触り方で、わかるものなのだろうか。
よくわからない。触診の度に医師の触れ方は違うから。
「先撮りマンモ」の役割は、フィルム上問題があれば、
念入りに診るということなのだろう。
撮影して30分もしないうちに、画像を見ながら、
別の部屋で診察と触診、スピィーディ・・・。


ちなみに、この便利な機械。非常にお高いらしい。
撮ったレントゲン写真はきっとどの部屋からでも、患者のIDさえわかれば
見られるに違いない・・・。それにしても綺麗な画像だな。
1年に1度見るか見ないかの、自分の胸のレントゲン。
「先撮りマンモ」という言い方、表現で現れたのが新鮮。
この縦長の画像モニターの鮮明さにしばし、見入る。
シャーカステンの前で見るフィルムとは、一味違うような気がする。


思わず、「この画像いいですね、便利になりましたね」と
看護師さんに声を掛けると、半分嬉しそうに、
「そうでしょ、でも高いのよ、ポルシェよポルシェ」と嘆く。
「設備投資、先行投資が大変だから検診にはここに来てね」
えーと、ポルシェ一台分、幾らするんだろう。
車に詳しくない私にはよくわからないが、
むちゃくちゃお高いということだけはわかる。


昼食抜きで検診を受けて、とても空腹。
雨が降りそうな、夕立が着そうな曇り空。
最近流行のイートインのコンビニで遅めの昼食を取る。
買ったものを食べられるという。
何故かまた、タテハ蝶がひらひらと・・・。
頭の中を飛んでいく。
心の中に閉じ込められた蝶の姿。
どこに飛んで行きたいというのだろう。


どこにも自由に飛べはしない。
また、職場に戻って抜けた時間の穴埋めすべく、残業。
蝶のように飛んではいけない。
飛び回ることもできない。
先撮りマンモの日。

マンモグラフィー検診・診断常備アトラス

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