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日本製の鉛筆削り

日本の鉛筆削りはたいした物なんだそうだ。
メイドインジャパンの誇りを背負って立つ優れもの。
何しろ、某色鉛筆を削る専用の鉛筆削りに採用。
無論単品でも販売されている。
筆箱にも入るこの手の小さな鉛筆削りは便利だ。
しかし、最近では海外からの輸入品も多い。
信頼の置ける鉛筆削りの条件。
削った後の鉛筆が折れないこと。


小学校の時が一番鉛筆を持っただろう。
色鉛筆も一番使ったはず。
手動式の鉛筆削りはよく削れたが、電動式はひどかった。
やたら芯の先が長くぴんぴんに削れるものの、
力を入れるとすぐに折れてしまう。
上手く字が掛けない。
赤鉛筆や色鉛筆に至っては、削る後から後から折れる。


振動がいけないのか、刃が悪いのか。
とにかく電動機械の鉛筆削りは芯どころか、
鉛筆そのものの減り方が早いばかり。
芯を大切に使うという発想がなくて、
鉛筆の無駄な消費に繋がると、子供心にも苛立ったものだ。
何しろ鉛筆は貴重品で、好きな絵柄を選んで買って、
ダースで買うなどということは到底出来ず、
何かの折に頂く場合でなければ色柄が揃うことは無かった。


私の引き出しには、いまだにコーリンやトンボユニが眠っている。
小学校に上がった娘にやろうかと思っていたが、
結局今風の柄の鉛筆を使っているので、無地の無骨な緑色や、
エンジ色の鉛筆はそのまま私の机の中で眠ったままだ。
これを削るのは昔ながらの手動式のぐるぐる回す鉛筆削りか、
夕方のニュースでちらりと見た、筆箱に入る小さな鉛筆削り。
あれは自分で芯の尖り具合が分かるからいい。


メーカーは小さな会社だが、半世紀以上のロングセラーを、
ベテラン社員が刃に手で触れて削り具合を見ながら、
丁寧に作っているらしい。クーピーに入っている、専用削り器。
あの会社だという。そこが目指しているのは、眉墨を折らない削り器。
柔らかく油分の多い芯を損なわずに削ることが目標だそう。
今時の子供はどれ程鉛筆を大切にしているか分からないが、
文字を書き易い鉛筆の芯の削り具合というものが、必ずある。


自分の持ち方、筆圧、字を書く早さ、その癖を総合して、
自分の文字が出来上がる。その時の書き具合を左右するのが、
鉛筆そのものの芯の弾力性、濃さ、柔らかさであり、
削り具合、芯の削られ方そのものだ。
鉛筆をぐるぐる回しながら削りかすの模様を眺めていたあの頃。
自分は自分の文字と一体化し、鉛筆の芯の中に、
自分の心が封じ込められているような、
そんな気持ちさえして、硬筆の時間を過ごし、
色を塗り、原稿用紙を綴ったものだ。


鉛筆の世界を、芯を支える鉛筆削り。
そんな出来事物事はどこに?
世界を広げるための鉛筆一本、それはいずこ?
最近では書いても書いても片方だけ減ることのない、
芯が均等に削れて書きやすいシャープペンシルもあるとか。
常に尖った書き易い芯の出具合を備えるそうだ。


それは各人の筆圧に応じて、折れずに使えるシャーペンなのだろうか。
最近はワープロ機能を使ってパソコンで文章を書くので、
手紙も書かず、鉛筆も使わず、指先で打つことだけが、
文字を綴る主流になりつつあることが怖い。
自分が折れない鉛筆の芯になるために、
自分の心身の贅肉ををそぎ落としてくれるような、
そんな鉛筆削りが欲しい。


手軽に持ち運びできる小さな鉛筆削りのように、
自分を切れ過ぎないよう程よく研いでくれる、
心身を削りたての鉛筆のように仕立ててくれる、
折れない自分を創ってくれる、そんな鉛筆削りに相当する、
「何か」を心待ちにしている、師走朔日の今日。

三菱鉛筆 鉛筆 ユニ HB 1ダース UHB

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三菱鉛筆 鉛筆 ユニ マークシート用 HB 1ダース UMSHB

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