Festina Lente2

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骨震える退院日の夜

僅か2週間で退院で大丈夫かと危ぶんでいたが、
高齢者でも開放骨折や複雑骨折でもないのだから、
感染症の危機を脱した今、ベッドを塞ぐわけには行かない。
よくわかっているが、この状態で一般家屋で生活できるのか、
いささか不安だがどうしようもない。
とりあえず、昼食だけは済ませておいてくれると思っていたら、
オーダーから漏れていたという。
大学病院は退院日は昼食をオーダーしないのだろうか。
以前の退院の時もそうだったような。
退院はいつでも午前中に出来るとでも?


いやいや、苛立ってはいけない。
でも、自分が骨折の経験があるとしても、
踵や足首、大腿骨に金属を入れたことがある訳でもなし。
家人が退院するのは嬉しいが、
家では十分なケアが出来るわけではない。
家は病院ではない。私も娘も付き添っていられるはずもない。
私は仕事、娘は学校。


夜。ゆっくり食事が出来る? 入浴。それは叶わない。
抜糸は一昨日。水曜日まで入浴できない。
さて、家の中は寒い。病院内は28度。家の中は10度以下。
真夏の病室から真冬の家へ。
家人の退院はリスクだらけだ。
両松葉杖が使えるようになったけれど、
杖無しに歩けるわけではない。
全てはこれから次第。全ては、リハビリは、それから先は。

大腿骨骨折モデル

大腿骨骨折モデル


着替えようとしただけで、ほんの少し耐性を崩しただけで、
ベッドではなく布団の上で姿勢を変えようとしただけで、
軽いショックを起こしたのか、衝撃が走ったのか、
震えが止まらない、痛みと痛みへの恐れと、寒さと、
一旦震えてしまうと止まらない動揺が、痛みを増幅させる。


どうすればいいものか、分からないまま、傍にいる。
傍にいる以外どうしたらいいのかわからないから、
痛みは、ショックは、恐怖感で増幅される。
どうしたらいいか分からないけれど、慌ててもどうにもならない。
それだけは分かる。


横になって時間が経って、痛みの中で、じっとしている。
暫くすると、痛みが薄れるよりも先に、疲れから眠りに落ちる。
それを見ていると、前途多難な一日の終わりを実感する。
全く短いようで長い一日。
ボルタレンもすぐには利かない。
心理的にも物理的にも痛みが増幅されたとしても、
私は傍で見ているだけ。


明日からは、出来るだけ動くようにね。
家にいて、何が出来るか。
考えて。
退院、おめでとうは言わない。
安全か、前進か、改善か。
晴れて退院なれど、全てが何もかも上手くいくとは。
安易に喜んで入られない、私。

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