家の中の起きない面々

娘の宵っ張りは私に似たものだろうが、朝起きて来ないのは家人に似たのだろう。
子供は親の良いところよりも悪い所を引き継ぐと言うが、まさにその通り。
私だって朝寝坊をしたいと思うことは山ほどあるが、毎日の仕事がある。
休日は家事がある。好き勝手していたら、掃除洗濯食生活はむちゃくちゃで、
それでなくても、結婚前から主夫が欲しいと思っていたくらいなのに、
子供も夫も「眠り姫」状態で爆睡中とはこれ如何に。
かーちゃんが寝くたれるのは、仕事が終わって帰宅、食後だけだぞよ。
ドンだけ仮眠で生活を回しているか、わかっておるのか。

骨折した足が痛くてよく眠れないと言う家人は、
退院当日の夜、超呻いて？？？？と私を不安がらせたが、
夜中に様子を見ていると、鼾をかいてすやすや寝ている。
眠れないというのは、まんじりともできないと言う意味ではないのか。
突っ込みたくなる気持ちを1週間が過ぎても抱えている。
「塀の中の懲りない面々」ではなく、「ウチの中の起きない面々」、
かさ高くなってしまった娘と家人の朝寝坊に、
食事も布団干しも掃除機も滞り、苛立ちばかりが募る私の休日の朝。

日本の食事が個食になるわけだよ。こいつら起きないもん。
毎日不登校の子供がいたら、好きな時に起きてご飯を食べられたら
お母さん食事の用意をする気力を失うよね。
土日、これで過ごされたら買い物に行く気力もなくなる。
みんな、カップ麺でもすすれば。
かーちゃんは、フルタイムで午前中を飛ばす。

あなたを変える家事塾300のメソッド

ぐっすり ふしぎと眠くなる音楽-Good Sleeping Music-

「君のご飯だよ」と台所で作業しながら声を掛けると、
「君とはなんだ、年下に使う言葉ではないか」と不貞腐れる。
「年下じゃん」にべもなくあしらう私。
「会社で部長にそういう言葉遣いをしたらどんなことになるか」
「ここは会社じゃない(それにあなたは部長じゃない）、ウチの中」
「君などと言う言い方は、1000年も前の言い方だろう」
「文学を御存じない、あーら我が君というでしょ」笑いながらあしらう私。

リハビリとは自分の意思で行うものだ。起こされるまで寝ている、
そんな甘えた気持ちで日常生活を送る人間のすることじゃない。
私は入院中に尋ねたはずだ、何度も。転院先の紹介は無いのか？
リハビリが出来る通所通院は駄目なのかと。
「普通の生活の中でリハビリをするのが一番だそうだ」
そう言って、退院してきたのはどこの誰だ？

病院内にいた時のほうがきちんと起き、食事をし、生活していただろう。
かつて命のやり取りがあった時、病名も分からぬままの検査期間、
食事の介助さえ医師から｢甘やかし過ぎである」と言われたかつての私、
命の危険が無くなった今は、当然甘やかし厳禁である。
前々日、残業を3時間こなして帰宅、仮眠を取ってほぼ徹夜で仕事、
出勤、帰宅、午後から娘の授業参観中、居眠りして倒れそうなのを
必死に我慢し、保護者懇談をこなし帰って来て、その翌日の土曜。

朝一日起きてきて、今日はどれくらい歩こう、どんな動作をしよう、
そういう計画は無いのかね、君には。
優しく接することが出来るのは、それなりのことがあってのこと。
優しく出来ないのは、それなりのことがあってのこと。
休日の今日は勉強会を二つも休み、（休ませてもらい）
給食のおばさんか私はと思うくらい台所にいる。
さすがに娘は布団を干して取り入れて寝床を造っている私に、
「よろめいているよ、大丈夫」と声を掛けてくるる。

「手がカサカサだね」・・・そうなんだよ、踵もね。
「クリームをつければいいだろう」そういう合の手だけは早いね。
クリームなんて一回つけても、一日何回水を触っていると思う。
すぐに取れるよ。付けるのが勿体無いくらい、ね。
そういい返したくなる気持ちを抑えて、小さなため息をつく。

畑の冬瓜、割れた大根、くず野菜を煮込んでスープにし、
冷蔵庫や軒先を片付けていく。あるもので食べる、家族の時間。
あるものを消費する、家計のやりくり。
お給料分、入院費で飛んでいってしまった。
医療保険があったとしても、お休み分、これからの分、
どこかで節約しなければ。

睡眠時間を削っても起きている夜中。聴きたい音楽、読みたい本。
書き散らしたい事柄。仮眠の彼方に何があるか、
痩せるための成長ホルモンは枯渇してしまったに違いない、
こんな生活では自分の体に悪いとは思うけれど・・・。
深夜ライプチヒバッハ音楽祭2010、ルツェルン音楽祭2010を聞きながら、
かつて歩いた街角の思い出に浸る。

いつもより働いた日、不本意な一日を過ごした日、
何もせず寝てしまうと自分の時間が無かったと、
却って落ち込むから、一人で過ごす時間を夜中に持つ。
深夜がゴールデンタイム。
眠ることも必要だが、それだけでは心が満たされない。
我が侭に聞こえるだろうけれど、家族があっての私。
一人になる時間があっての私。

起きない面々、それなりに睡眠時間が必要なのかもしれないけれど、
かーちゃんだって寝たいけれど、寝てしまうと何もできない、
かーちゃんの時間は仮眠の後しか無いんだよ、朝までね。
一日が３０時間あれば。いや、あっても同じか。
グースカ眠っていられる君たちが羨ましい。

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