大英博物館古代ギリシア展
娘と二人きり、久しぶりの神戸。
何度来ても、どういう訳か迷ってしまう神戸。
年のせいで方向音痴になったのかもしれない?
今朝からの雨模様で出かける気分がそがれていたが、ここでめげてはならじ、
今日行かないと見る機会を逸すると強引に午後から出かける。
歩き回れない家人はパスということで、いざ神戸は三宮。
遅めのランチタイムから始まる母と娘の時間。
こういう時、いかにさっとめぼしい店を見つけるか、
食いしん坊なかーちゃんの目利きの見せ所。
中華街まで行かずとも、お手頃に食べられる中華粥の店。
入り口と店の構えを見て即断即決。私は美肌用、娘は点心。
もはやティータイムと言ってもいい時間帯。客は私たちが最後。
午後の日差しが薄暗い店内を照らしている。
最初はお出かけを渋っていた娘だが、胃袋が満たされると動く気になったよう。
目指せ、神戸市立博物館。本日はイギリスまで行けないからここで見る、
ギリシャローマコレクションの数々・・・。
神戸の町並みは大阪と違って上品。おまけに人が少ない。
歩きやすい。おしゃれ。その雰囲気の違いが如実な博物館界隈。
ちょっと不思議な彫刻も小さなお社のお隣にあったりする。
やっと到着。毎回歩いて来るというのに、迷うのは何故?
ギリシア神話とローマ神話、神様の呼称の微妙な違いが、
ようやくわかりかけてきている娘。さて、今日はどうかな?
去年の『パーシーとオリンポスの神々』よりも、反応できるかな?
まあ、何と言っても本邦初公開のこれはしっかり見て頂かないと。
≪円盤投げ(ディスコボロス)≫全方向から観察OKの展示。
ポスターのゼウス像は余りにもかわいいミニサイズ、点数はほどよく、
日曜の午後なので空いていて、雨上がりで足の鈍かった博物館は、
いつもとは打って変わって混雑を免れての鑑賞タイム。
遅めに出かけてきたのでちょっと押せ押せで、ゆっくり観られなかったのが残念。
音声案内テープがいつもと違って使いにくく、いい加減利用者にアンケート取って、
負担の軽い仕様に統一してくれたらと、心の中で舌打ち。
内容そのものは子どもにもわかりやすいものだったけれど・・・。
それでも間近に観る作品群に久しぶりに心現れる。
現実の仕事を忘れて、こういうものに対峙していると、
タイムスリップのみならず、わくわく神話伝説に耽溺した子ども時代、
生まれて初めて海外旅行の最初の訪問地、ギリシア。
白く輝く大理石、パルテノン、青い海、様々な思い出が蘇る。
実家の部屋には、こういうポスターを中学生の時から貼っていた私。
抽象的なものから具体的なものまで、彫刻の「ちょ」にも縁がないけれど、
観ることだけは大好き人間の、デジカメなど無い時代の学生にとって、
別世界に浸ることの出来た写真ポスターや図版、絵はがきは、
大切な思い出、展覧会の記録。後から見返す時間もそれほど無いのに、
ついつい買い込んでしまう。最近は宅配サービスもあるカタログ類。
ただただ均整の取れた美しさに、子どもの頃抱いたような単純な憧れ、
ドキドキわくわく感を覚えつつ、あるものはオリジナル、
あるものはローマ時代のコピー、そういうことをちらりと考える。
高校世界史で習ったっけ。ローマに征服されたギリシアは、
文化のではローマを征服したと。確かに、そうなんだよね・・・。
オリンピック競技の解説ではリアルなDVD画像も用意されていた。
市民である「男性」の世界、バラ族めいたお付き合いのありよう、
そんなことまでさりげなく解説されている展示に、時代の変化を感じる。
昔と異なり、オープンな解説だよねと思ってしまう。
もっとも、子どもの頃は解説されていてもよく理解できなかったのかも。
今時の小学生は、「ボーイズラブ」なんて言葉も知っているけれど。
その証拠に、今まで何度連れて来ても、お洒落な神戸に反応しなかった娘、
その町並みや店構えに思う所があったよう。やたらと興奮している。
高級ブランド品の店もさることながら、ショーウィンドウや道行く人、
どことなしか違う、その雰囲気も感じ取れるようになってきたらしい。
そして、「お茶の値段が高いね。大阪と違うね」と。
はいはい、歩き疲れたね。待っているとーちゃんは怒るかもしれないけれど、
帰りに一服、セルフサービスでも味は間違いないここで。
母と娘のティータイムは夕食の時間に食い込んでいる。
さあ、とーちゃんが待っている。帰ろうね。
神戸・ギリシアから我が家の台所へ。
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