Festina Lente2

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明日の通院は代診

明日は家人が大学病院の整形外科に行く日。
だから、病院に近いこちらの家にやってくる日。
だと思っていたら、メールが入った。珍しい。
あれ? 先生が都合悪くなって予約を変更して欲しいって?
2ヶ月も前に決まっていたのに、何があったのかなあ。
学会の時期かな? 急用かな。


でも、家人も会社の仕事の段取りを付けて有給休暇を取った後。
いきなり前日に予約変更と言われてもと、食い下がったそう。
そう、代診というものがあるからね。
そのためにカルテにきちんと記載しているはずだからね。
誰が見ても読んでもいいようになっているはずだから。
何しろ救急車で運ばれて、痛くて難儀している家人と、
おろおろしている家族を目の前にして医師は言った。
こんな骨折ぐらいで大学病院に来てもらっては困る、と。
こんな怪我は整形外科医なら誰でも診れる、と。


一般の人間にとっては、大腿骨骨折は大怪我。
日常茶飯事のありふれた怪我ではない。
医師の目から見た病気や怪我を受け止める感覚とは、違う。
なのに、「誰でも診ることの出来る」怪我だから、
「大腿骨骨折の専門医などいない」と言われて、
「膝の専門医」の主治医は、淡々と書類上の手続きを踏み、
手術を行い、その後、家族の私たちとは会うことも無く
2週間でリハビリの手配も無く家人を退院させた。
その際、傷口を見に来た別の医師は、
「失敗して跡が大きく残ったしまった」と言ったそうな。


本来ならばもっと傷口は小さく綺麗だったのだろうか?
家人が男だったら、傷跡は平気だと言うのか?
女性だったら、かなり気にするだろうけれど、男性だからいいのか?
失敗して跡が大きく残ったとはどういうこと?
若い人ならばともかく中年の人間に、傷跡など残っても平気だと?


家人が怪我をして入院した当時の記憶が蘇ってきて、気分が悪い。
今更、調べる手立ても何も無い、
過ぎ去ったこととして受け止めなくてはならない?
あれこれ悩んだことも、医師の一挙手一投足に不安になったことも、
瞬間解凍された「不安で不穏な記憶」となって、心の中をざわつかせる。


大腿骨頸部骨折―何を考え、どう対処するか (実践MOOK・理学療法プラクティス)

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大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン

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休みを新たに取ることが出来ない家人は、結局代診を受けることに。
「主治医が誰でも診れる怪我だと言ったので」
代わりの人をお願いすることになったそう。結局予定通り、
家人は夜遅くにやって来た。
明日は私も忙しい。みんな一様に忙しいのに、
2週間も前に用意した書類を読みもせず、「スイッチのボタンを押す」
だけの説明を求めるような周囲に、うんざりして意地悪をしたくなっている。


痛みはもちろん、体重を掛けて歩くことが難しく、杖をつく毎日を、
怪我をしたのだから当たり前、また、いつものように、
「普通に生活していたら直る」と言うつもりだったのだろうか。
あの、主治医が明日診察だったなら。
仕事の合間に、余計なことを考えずにいようと思っても、
「骨折ぐらいで来られては困る」と言われたことが、何ヶ月経っても頭の中に響く。


救急車でやって来た患者に、ERで受け付けられた後に、
処置室に運ばれてから、家族全員前にして、そう言った医師に、
とにもかくにも会わずに済むわけだから、と思い直す。
別の先生が見てくれることになるのだから。
難しい、ペーパーを書く際の症例になるような怪我で泣ければ、
怪我人は受け入れて貰えないとしたら、大変。
手術前、動かない痛む足に喘いでいるのに、
「入浴しろ」という指示が出される。トイレにも行けないのに。


そんな先生と2ヶ月ぶりに会っても、何を言われるかわからない。
心の底で呟いている私がいる。家人はもっと思うことがあるだろう。
4ヵ月半経った。半年経てば歩けるようになると言われたが、
一生杖を使って? それともリハビリ次第で杖なしで?
「普通に生活していれば歩けるようになる」なんて、せりふ、
自分が同じ怪我してもそう思うのかな。


忘れていた疑問、くすぶっている思い、苛立ちを思い出して、
午後から夕方に掛けて、どんより仕事をしてしまった。
一病息災で通院している分に関しては、低め安定でよしと思ってきたが、
プラス更に、歩行が不自由となると話は別。
あれこれ、考えても甲斐の無いことに思い巡らし、
当たる所があるわけでなし。明日は代診。
家人の通院に、変に力が入ってしまう前夜。


明日の仕事の流れも、気になる気になる。
気になることばかり。

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