Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

2次会はカラオケ

8月最後の金曜日、慌ただしく暮れていく。
いつもとは異なり、のんびりテレビを見るということもない、本日。
気がつけば、夏の終わり。暦の上では秋だというけれど、どこが立秋
ガンガンの暑さの中で、やっと週末。
ささやかな職場の打ち上げで飲む異国のビール。
辛みの強いエスニック料理、懐かしい顔ぶれ。思わぬ話題。
弾みで2次会まで出てしまう、自分の状態が怖い。これでいいのか。
やらなくてはならないことから逃げている、
苛々しなくてもいいようになのか、
後に苛々を溜め込んでいるのか、我ながら難儀だ。


こんな時期に歓送迎会。
しかし、全員の予定が合わないのでこうなってしまう。
こんな時期に? と呆れる方も多いかもしれないが、昨年もそうだった。
雨上がりの月を眺めながら、祭りのための走り込みをしている
青年団の声をBGMに、岸和田は五風荘なる雅びな場所で宴を開いたのだった。


今年の歓送迎会は今年でずいぶん趣が違う。
これは幹事のせいだろうか、好みか値段か、駅から離れた場所の、
随分寂れたようにも見えなくもない、まあ、来たことはある店。
何しろこの辺で有名なというか、エスニック系の店なら大抵調べて、
出張を利用して味見するのはお約束の私。


海外旅行など幾久しく行かない我が家の外食の定番、
エスニック料理。タイ・モロッコインドネシアベトナムラオス
そういう国々・地域のエキゾチックな味覚にはまってというか、
刺激を求めて食する楽しみとは異なり、職場の宴会でタイ料理とは。
・・・味は辛くて美味しいけれど、また、場の雰囲気が雰囲気なので。


色々とお話したいこともあったけれど、お世話になったことなど。
席が遠くて狭い店内、立って歩いてお注ぎするようなスペースもなし。
これでは少々不本意とは思えども、仕事の関係で1時間弱遅刻して、
やっと参加の私だから、無理に動かず取り置いてくれていた料理をがっつく。
幸い堅苦しい挨拶もなく、今年の臨時、若い「女の子」は、
この春定年で去って行ったオッチャンの隣にしっかり座らされ…。
いえいえ、セクハラでも何でもなく、新旧の人間が隣合せ顔合わせは普通。

タイの街角ごはん―本場の味レシピ

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おうちでタイの屋台ごはん

おうちでタイの屋台ごはん


夜はあっという間にお開きの時間を迎える。
年長者が帰る算段をしている時に、若手は料理を追加していたという、
胃袋(年の差?)の大きさの差を感じさせる、オチもあったが。
若手といっても20代と30代が一人ずつしかいない部署。
次の世代がいなくて、あとはみんな定年まで一桁を残すものばかり。
こういう職場って今どき普通なんだろうか、珍しくもないものか。
高齢化社会を絵に描いたような人員構成。
そんな中で、なかなか2次会は難しい。
子供が小さい我が家と異なり、体力的にも気力的にも2次会の流れ、
そういうものは持ちにくい部署ではある。


仕事が忙しい合間を縫って、街中まで出てきてお付き合い。
体調がどうのこうの、仕事の進み具合がどうのこうのでは済まないお付き合い。
これを逃せば、再び会えるかどうかわからないから時間を都合するお付き合い。
されど、残ったのは4人。もっとも若手ともう一人の転勤者と私。
殆ど座席の関係で話すことなどなかった私たち。
何となく名残惜しい気持ちがそのまま、普段ならあり得ない珍しい2次会に。


え? いやあ、年ですもの。飲みはしません、飲み直しなんぞ。
それでなくても服薬、節制して胃腸を労わっておりますのに。
(そのくせ辛い料理はいいのかという突っ込みは置いておいて)
そう、転勤していった彼は大のカラオケファン。
新しい機械なんぞ大嫌いだと、私同様ケータイを持たない彼は、
音楽を聴くため、新しいレパートリーを増やすためにのみ、
新しい機器に楽曲を携えて絶えず聞く、口ずさむ、練習する、
そういう鍛錬を欠かさない人。
…もっとも録音担当は娘さん、らしい。


あり得ない2次会。ダークホースが1人。最も若手の学卒女子は、
昭和世代の親に仕込まれ、昭和の歌が大得意。
私が学生時代の歌でも難なく歌いこなし、見事見事。
ああ、歌の才能もこういう形で「家庭内教育」?
家族カラオケも珍しくない時代。家の中にBGMがあって当たり前の時代。
各々がお気に入りの曲を携えて移動するのが通常の世代。
音楽は1人で部屋でじっくり聞くでもなく、騒がしい喧噪のなかでも、
イヤホンに守られ、普段から常にある世代。


エアチェックで必死で録音したテープが絡まって千切れたりした経験など、
話してもわからない世代。黒電話も知らないし、テープそのものも珍しい。
生まれた時からCDが当たり前、今やCDなど買わなくてもダウンロード世代。
なので、丸々アルバムを聞いてみたなんてことはせずに、音楽を選り好み。
されど、昔のアルバムが見つからないなんて嘆くこともせず、
それもどんどんダウンロード。有料無料のサイトがある上に、
最近の機器は歌詞まで表示してくれるらしいから、
私のような化石世代には到底追いつけない速度で音楽を受け入れ、
覚え、歌い、披露することにてらいがない。
やれやれ、若いってこういうことなのねえ・・・。


ということで、30代も唖然としながら20代を見守る時代。
私のような世代がどうして唖然とせずにいられましょう。
そんな思いも苦々しいというより、夏の終わりの思い出として溶けていく、
そんな真夜中シンデレラタイム直前のお開きとなった2次会。
こんなメンバー、あり得ない、あり得ない。
こんな時間、お付き合い、あり得ないあり得ない。
そんな花金の夜。

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