Festina Lente2

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ジョブズ氏って誰?

アップルコンピューターのユーザーでもなく、
パソコンオタクでもない、単なる端末機の使用者である人間、
そんな私にとっては、大騒ぎしているニュースがわからない。
ショックを受けている人もいるらしいが、それはおそらく、
私が大学生の頃、ビートルズジョン・レノンが射殺されて、
ちょっと落ち込んでいたのを見たボランティア仲間の同僚が、
「そんな外国人のミュージシャンの訃報が、
どれだけ自分の生活に影響があるんだ?」と訊いてきた時と、
少しばかり似ているのかも知れないと、感じたりする今日。


そう、ジョブズ氏って誰? スティーブン・ジョブズ氏が体調悪く、
仕事から手を引いたんだって。そんなニュースは耳の底に残っている。
ああ、本当に悪かったんだね、亡くなったんだってね。
あのアップルのお偉いさん。そうなのか。
そういう感覚。残念ながら、ケータイも使わない私には、
Iパッドだかポッドだか、音楽のダウンロードもしないし、
動画のアップもしない私には、何だか別の世界の人。


世界中に影響を与えたかも知れないけれど、
その影響は創造的な部分と同時に破壊的なものを持っていて、
どちらかというと便利さと同時に破壊されて復元できないものを、
どのように拾い集めていくのかに関心がある私にとっては、
新しい創り上げていった「創造主」としての孤独や欺瞞、虚勢や強引さは、
自分の身に降りかかってくる当然のことだったのだろうとしか思えず。


世界中が大騒ぎしているらしいけれど、
私にとってはマイケル・ジャクソンの訃報の方がインパクト。
歴史に残る人、そうなの? という感じ。
先駆者? 確かにそうかも知れないけれど、
それはその恩恵を充分に感じている人にとってで、
アップルを使いこなす、アップルを含めて先天技術の恩恵に与り、
充分使いこなしている人間に比べて、かなり時代遅れの
インターネットは覗いてみるものの、アップルきじゅんからすると、
アーミッシュ」的存在の私は、外の世界の話。


彼の訃報は、一見平凡な名前。
おっと、名字の中にも「仕事」を含んでいるんだね。
因果な名前だね。そんな感覚しか持てない。
Steven Paul Jobs、ね。仕事が余程好きだったんだね。
アップルでの仕事は天職だったんだね。
禁断の知恵の木の実、アップルが商標のアップル社。
パウロの名前を抱く、コンピューター業界の聖なる布教者。

スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション

スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション

ジョブズ・ウェイ 世界を変えるリーダーシップ

ジョブズ・ウェイ 世界を変えるリーダーシップ

あれは、いつのことだったか。マッキントッシュのパソコンを触った頃。
あれは、いつのことだったか。ダイナブック
あれは、いつのことだったか、職場での共同購入パソコン。
今は個人的には4代目のパソコンだが、今まで何台を使ってきたことだろう。
職場で、家で、外で、仕事で、プライベートで。


蒔かぬ種は生えぬ。一粒の麦死なずんば。
何事にも先人がいるように、この業界にもそう。
そして、本来ならばもっと長生きしてもいいはずなのに、
この年齢で亡くなってしまうなんてと、惜しまれながら亡くなる。
花咲かじいさんの如く、世界を変える、花を咲かせる才のあるものは、
このようにして世の中に下り来て、去っていくもの。
花神」とは、人より早く咲き出でて散りゆくもの。


彼がそうだとは、私には実感はない。
けれども熱を帯びる訃報記事のあれこれは、彼を褒めそやし、
持てはやし、コンビニには早くも本が並び、
ジョブズ関連のニュースは「価値ある話題」のように流される。
素晴らしい宣伝効果。訃報でさえも、企業を支えるCM。
カリスマのニュースは全世界を駆け巡り、
キーを叩く多くの者の胸を熱くし、なにがしかの思いを巡らせ、
私のように、距離を置くもにさえも「誰?」と考えさせる。
凄い影響力だこと。


リンゴ印の人。禁断の知恵の木の実を人々に食べさせた、
その影響力を持って、世界がどのように変わるか、
良く想像できても悪く思うことは恣意的に避けていたはず。
未来を夢見る人間は、リスクよりも冒険を尊び、
出来なかったことが出来るようになるプラスだけを尊重するから。
でも、そうではないことを知る前に、
そうではない部分を思い知らされる前に、
あなたは逝ってしまうんだね。
ある意味、良いタイミングで。


そんなふうに感じてしまう、皮肉屋の私。
恩恵に与る以前に、その騒ぎを疎ましく思う私。
申し訳ないが、それが正直な感想。
一人の人の死として、悼むことは出来ても、
リンゴ印の創業者だからという理由で、悼むことは出来ない私。

スティーブ・ジョブズ I

スティーブ・ジョブズ I

スティーブ・ジョブズ II

スティーブ・ジョブズ II