花は咲けども
痛みと付き合うには気分を紛らわせつつ、仕事をすることが一番。
本格的に新年度が始まって、軌道に乗り始めたか、
そんなソメイヨシノから山桜への移行期、葉桜から八重桜の時期、
気持ちは幾分、自然の景色に支えられながら、
「和風」のひと時を追い求めている。
ブログの先輩のところで、
桜以外の春の花が紹介されていた。
その卓越した写真を見ていると、色彩がまことに和風。
和柄の着物を見ているような、そんな気持ちにさせられる。
花の名前もゆかしくて、うぐいすかぐら、おとめつばき、
みつばつつじ、もみじいちご、かいどう、ぼけ。
どこにも出かけられないし、着物の知識なんて無いけれど、
洋風ではなくて和風に暮らして、花々の色彩を楽しみたい、
そんな気持ちにさせられる。派手で明るい色合いを今一つ控えめに、
トーンダウンした春を楽しみたい。
せめて電脳玉手箱であちこちで掛けて見る限りでは。
時間があれば、私なりに撮ってみた写真をお見せしたいが、
コンパクトデジカメの世界の出る幕はない、美しい写真が溢れる、
この季節の電脳玉手箱。写真ブログは華やかで楽しい。
山紫水明の季節は朝ドラでさえも、春めいている。
『梅ちゃん先生』なるもので、いかにも春スタートのお話。
もっともこちらは焼け野原の東京の戦後からスタートしているけれど。
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職場というところは、殺伐としていて
仕事に関係の無い無駄口を叩く暇が無い。
人の異動、入れ替えだけが季節感だとは侘しい限り。
ほんの少し気分転換にと、撮りためていた写真を焼いて、
身の回りに飾ったりなんぞしてみるのだが、
風流というよりも暇人と思われているだろう。
窓の向こうには味気の無い建物が並ぶ。
ここに転勤して来てから、周囲の田んぼは全て潰され住宅地になった。
敷地内の緑は春だけに花が美しいが、経費削減の波はここにも及ぶ。
花の手入れをしてくれていた人が定年で去り、誰も余裕無く・・・。
今年咲いた花たちは、来年同じように咲くことは無いだろう。
新しく来た人は、仕事を仕事として割り切ってやっているので、
きれいにしよう、明るくしよう、育てよう、手入れしようという気持ちは無い。
お掃除をする人、手入れをする人が変わると、途端に建物は薄汚れ始める。
これが、新年度の感慨の一つ。
この春去っていった彼女は、お茶の葉は缶にしまうに限ると、
お茶箱を手元において仕事の合間の一服を楽しんでいた。
職場環境を花を飾愛で育て・・・、そういう人が一人減ると、
世界は殺伐としてくる。
人が変わり、仕事場の玄関口、植え込み、ちょっとした場所に、
緑があったり花が咲いていたりしていた、当たり前の春の景色を、
手入れしてくれていた人がいなくなって2週間余り。
景色は暖かい春色の中で憂いを増す。
八重桜はそっと風に揺れる。
明日も明後日も続く毎日の中の、一日の憂い。
花は咲けども植えた人はいない。
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