サマープディングをあなたと

１週間遅れの結婚記念日の店は、以前から一緒に来たかった店。
家人の勤め先から歩いてすぐの、北浜レトロ。
英国式のティールーム。ここの紅茶は美味しい。
まだアフタヌーンティーセットを試したことはないが、
それは娘と楽しもうと思っている。
お店の人が好意で立ててくれた蝋燭。
バースデーケーキになったみたい。

そして、味わって欲しいのはこの季節ならではの
イギリスのデザート、サマープディング。
結婚記念日、１４年目は引っ越し前の慌ただしさ。
あなたの背広姿を大阪の町で見るのは、しばらく無いか。
たまの出張帰りに、市内で落ち合い食事や映画。
そんな時間もいつかは終わりが来る。
転勤族の別居結婚。
１週間遅れの結婚記念日は、甘酸っぱいサマープディングをあなたと。

何しろケーキセットを付き合ってくれる人、
二個のケーキでもOKと言ってくれたかつてのデート。
下戸だった家人はいつの間にか少し飲む人に。
それはそれでいいけれど、何でも食べてくれるのが嬉しい。
料理のし甲斐がある。でも、オーブンのない家に住んでいる私たち。
圧力釜を持っていても。

家人は美食家ではないが、その割に外食は好きだ。
というか、高校卒業以来家庭料理を毎日食べる、
なんて生活をしたことがない。
かれこれ３０年以上、自炊か外食かの毎日。
その割に、お洒落な店も食べ物屋も知ってそうで知らない。
私が市内に勤めていたら、半径１キロ以内の美味しい店は、
チェックして片っ端から食べて回るのでは？　
そんな気がしてしまう。

それくらい、家人の勤め場所は美味しい店が多い。
ビジネス街は概ねお洒落な店、おじさん御用達飲みや、
女子会デート用レストラン、等々よりどりみどり。
ランチ用、立ち飲み、隠れ家バー、老舗商談用割烹、
若い頃は興味がなかったが、３０代を過ぎて、
仕事一辺倒からちょっと当たりを見回せるようになると、
はまってしまった美味しんぼの道、食い道楽。

初めはカクテルブックを片手に､同時進行でイタリアン、
フレンチ、一番敷居が高いのは和食の店。
お金が無い時の味方、バイキング。
ちょっと一服したい時の喫茶店。
出張が増え、町に出る機会が増えると、宴会用の店も覚え、
それなりに舌も肥え･･･。