Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

ボストン美術館展 

グーグルは小林一茶の生誕250年記念。
そんな昔の人なのに、ちょっと身近に感じてしまうのは仕事のせい。


しかし、現実は旅に出ることは出来ない。
三里に灸を据えることも。
で、休日出勤のあと、市内に出て明日までのボストン美術館展に滑り込む。
実際は雨でめげた。しかし、今日までだから頑張って見るぞ。


予想通り思ったほど混んではいなかったものの、
ある意味雨で行く所がないから、ここに来ました的な感じの方々も。
公園でゆっくり出来なくて、雨宿り代わりに入館というか。
雷も鳴ったことだしね。


というわけで、日本美術の至宝を見に行く。
今、ボストンで手厚く保護されている美術品達を。


改めてフェノロサに感謝すると共に、当時の混乱した日本が、
これらの美術品を手放してしまったのだなあと、がっくりする。
国内にあったらどんな運命を辿ってしまったのか、想像に難くない。
国のアイデンティティが揺れた時代だから仕方がないかも知れないが。


エジプトやその他の歴史ある国々が、自分の国のものを返せと
世界中の美術館に文句を言って回っているのも分からないではない。
しかし、そのエジプトも現在政治問題で国が荒れているから、
美術品が無事でいられるかどうか、危ぶまれているけれど。


そう、罪もない職人の技術で培われた、収められた、創り上げられた
様々な有形無形のものは、あっという間に消え去ってしまう。
人為的なことで。自然による破壊よりも人為的なことで消滅する。
そんなことを思いながら、迫力のある龍を目にする。
吉備真備の絵巻物は面白かった。
最近は特に絵巻物の魅力が分かってきたような気がする。
展示の仕方が良くなったからだろう。


今回は、ラストに飾られた蘇我蕭白が良かったか。
若冲は次第に見慣れてきたので、今まで余りじっくり見なかった画家、
一気に見せてくれている作品に目が行くのかも知れない。
今回は随分土産物コーナーも充実していて、ちょっとびっくり。
あれもこれも欲しくなってしまうが、ファイル以外、何をどこに使うのだと
冷静になって考える。どうもいけない。
バーゲン会場と同じで、沢山の品物を目にすると買いたくなってしまう。


ボストン。まだ行ったことのない遙かなるボストン。
そこにはまだ見たことのない日本の美術品、工芸品が沢山眠っている。
里帰りしてきた品々は、明後日にはもうこの地を離れてしまう。


まだ見ぬものを、明日をも知れぬ命をかけて、
俳句を詠むために目指して歩いた芭蕉
私は、どこにも歩いて行けない。
土砂降りの雨はいつの間にか上がり、
雷も止んでしまったけれど。

美術の杜 vol.28―BM ボストン美術館日本美術の至宝

美術の杜 vol.28―BM ボストン美術館日本美術の至宝