Festina Lente2

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『GIジョー2 リベンジ』を見ながら

TOHOレディスデー。『GIジョー2 リベンジ』を観に行く。
こういう映画は頭を使わないで済むので、気分がすっきりする。
気分はすっきりするが、前作1の内容を知らないので、
内容的にはもやもやが残る。


アクションそのものはどうせ、勧善懲悪ものなので
安心してみていられるのだが、いかんせん、
日本の忍者を題材にしていたり、武道の精神を仏教の修行と混同していたり、
訳のわからない東洋風のアイテムを盛り込んだビルや部屋のインテリア、
ちぐはぐな調度の数々を見ると、西洋人のアクションものに
まだこんなファンタジーがあるのかとうんざりさせられる。


007のボンドガールや絡んでくる悪女に
今も昔もエキゾチックな雰囲気を盛り込んでますよと言わんばかりに、
東洋ルーツの謎の美女やアシスタントを配置して、
結局はあっさり殺して画面上で使い捨てにするのと
あんまり変わらないなあと思ってしまう。


巨大なチャンバラ、壮大なごっこ遊び、お金を掛けた武道ファンタジー
「斬った張った」も「やっとう」も、
ワイヤーアクションやCG処理の中では、たかが知れている。
鍛え上げた肉体には敬意を表するが、画面助用では肉弾戦の素材、
単なるパーツ扱いだ。


こうなると、役者の顔の表情、ちょっとした台詞の言い方にしか
小技を見出せなくなる。難儀なことよなあと思いながらも、
流されるままストーリーは展開していくので、頭は使わなくていい。
精神的なプレッシャーもない。勧善懲悪ものだもの。


私の頭の中には戦う兵士が全て匿名のGIジョーだったという、
それも迷彩服を着たおもちゃのイメージしか残っていない。
世界を救うために多くの無名のGIジョーが生まれては消えていく設定、
そういうものを伏線に持って来て、いかにも世界平和のために
某国が命を張って戦っていますというイメージを
改めてすり込まれるほど、若くて柔らかい脳細胞を持ち合わせていない。


某国の軍事的政治的戦略というものは、
どんな所でも世界平和のためと称して許される、
勝てば官軍の世界のルールに則って、
自国のリーダーシップや権力、メンツを保とうとしているのだから、
それを鵜呑みにするほど若くはないというだけの話。
それでも、何もかも正当化する中華思想よりはましか?
そんなたわいもないことを思いながら、水無月半ばの夜は更ける。


平和な日本? レディスデーの夜。
ちっとも平和ではない戦いに明け暮れる日常を、
ヒーローが無ければ夜も日も明けない設定を鑑賞した夜。
火薬も爆弾もヘリも作戦も裏切りも濡れ衣も復讐も、
主要な人物が悪党と入れ替わっていたといういつものパターンも、
漫画原作の世界のお決まりのストーリー。


古参の肉体派俳優が、若手を引っ張る。
もしくはもったいを付ける、箔を付ける、重みを持たせる映画。
世代交代は目前。俳優の世界も、物語世界も、
二重写しになって、自分の老いを省みる鏡のよう。
やれやれ。

 
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