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ちばてつや原画展

言わずと知れた大御所、知る人ぞ知る、ちばてつや
若い世代はともかく、私の世代には懐かしさ一杯。
何しろ、手塚治虫が逝き、石ノ森章太郎が去って、
ずっと活躍を続けている漫画家、現役、大家と言えば、
ちばてつやさいとうたかを水木しげる松本零士
あと、誰を上げればいいだろう。


  


原画展を見る度に、人間、長生きしなきゃいかんなあと思う。
半世紀生きてみて、何も残さなかった人生。
形のないものに齷齪してきた毎日だけに、
色も形も物語もあるものを生み出した人々に敬意を払わざるを得ない。
それも、戦争を乗り越え、引き上げ者として生き抜き、
ペン一本で様々な世界を生み出した、そのバイタリティに。


  


というわけで、メインは『明日のジョー』。
連載第1回目から強烈だった、少年マガジン黄金期の漫画。
リアルタイムで読んだ子供時代、思春期の作品ほど影響が大きいものは無い。
当時の大人が漫画の功罪云々をどのように言ったとしても、
雑誌で読み、TVで見て、単行本をお宝にし、(大人買いができるようになり)、
改めて寄せては返す波の如くブームとなる、アニメ世界の商法に翻弄されても、
灯りに惹かれる蛾のように、見たくなる原画展。


  


『ハリスの風』『明日のジョー』それ以外は、雑誌で読んだものの、
鮮明なストーリーが頭に残っているわけではない。
ただ、少女漫画誌で連載されたものでの初々しい人物像、
微妙な心の動き、健気で強い心の通った、そんなキャラクターは、
いつしか心の中に根付いたことは間違いない。


  


ゴルフや相撲を題材にした作品も、題名こそ知っていても、
もう連載を待ち焦がれて読む年齢でもなく、仕事に追われ、
週刊誌からは遠ざかり、お気に入りの作品のみ単行本で買うようになり。
それでも、やはり懐かしい作品達。
その背景には、漫画を介してやりとり交流のあった友人達。
青春の思い出がある。
そして、少年マガジンを買ってくれたのは父だった。



今の私よりも遙かに若かった父は、仕事の合間の息抜きに読んだのか、
子供の喜ぶ顔見たさに買ったのか。
少女雑誌ではなく、毎週読むことが出来た少年雑誌が、
私の心を作っていったのは、間違いない事実で。
その背景に、様々な作家がいて、その一人がちばてつやなのは
喜ぶべきことなのだ・・・と、年齢層の高い展覧会を観てしみじみ思う。


ちばてつや--漫画家生活55周年記念号(文藝別冊)

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ボクの満州―漫画家たちの敗戦体験

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