Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

太陽の塔と万博公園の花火

小学生の時、遠足で訪れたことのある万博公園
夜のエキスポランドへやって来たのは初めてだ。
芸術は爆発だ!」の岡本太郎で知られる太陽の塔が、
昼間とは違う、静かなたたずまいで出迎えてくれる。


転勤が無かったならば、考えられなかった一家団欒。
病の淵から戻ってきた家人と共に、娘と3人で
ささやかな花火のショーを見ながら、
私は、昔、教科書で習ったせりふを思い出していた。


「私は花火の事を考へてゐたのです。
      我々の生(ヴイ)のやうな花火の事を。」
            (芥川龍之介『舞踏会』より)

http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/28_15270.html
からの引用。
1年前、草加公園で縁日を楽しみ、ねっころがって
何千発もの花火を、最初から最後まで楽しんだ。
転勤で、各地の花火を見てきた私たち。
鳴門、徳島、阿南、小松島、岡崎、越谷、草加…。


しかし、今年のエキスポランドの花火ほど、
私にとって、特別だったものはない。
人混みとは無縁の、7時を過ぎてから夕涼みがてらの遊園地。
4つの病院を転々とし、半年に渡る入院と
現在の通院のおかげで成り立っている、一家3人の現在。
「今、ここで」を、心から味わうことができる。
隣に人の暖かさを感じながら、花火を見上げている。

ともすれば、これは現実ではなくて、
マトリックス』の中のように、仮想現実ではないか?
と思うこともしばしば。
それほどまでに非現実的な、一家団欒の構図。
見事なまでに繕われた、「今、現在」を思うたびに、
「過去」が顔を出してきて、不安を突きつけてくる。
私はいつも意識する。
私はいつも意識せざるを得ない。


誰がこの幸福を支えてくれているのか。
何がこの幸福を支えてくれているのか。
そして、この幸福がいつまで続くのか。
いや、決して高望みはするまい。
期待しすぎると、辛くなる。
でも、忘れてはならない。
今を生きること。感謝の気持ちを持ち続けること。