Festina Lente2

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世界で一番長いへその緒

「ヘリコプター・ペアレンツ」という言葉をご存じですか?
なんでも、「世界で一番長いへその緒」でつながっているという
親子だそうです。(バーチャルで想像すると怖い)
いい意味で、生命がつながっているのならば、
物理的にライフラインが確保されているように、
支援が行き届いているならば、問題はないのですが、
このへその緒でつながっている親子関係
なかなか問題が多いようです。


仕事柄、心理的にも物理的にも、こんなに接近し合って、
今時の親子は苦しくないのだろうか? 
と心配してしまうのですが、(よけいなお世話?)
そんなふうに考える方が古いのかな? 
まあ、葛藤を感じない方が楽だから、(無意識にでも)
意識しないで済む方を選んで、偽善的に「いい親」「いい子」を
お互い選んで、実は、やっと生きているのかもしれないしね…。


その「つけ」、後になって結構、「尾ひれ」がついてきて
怖いんですけれど・・・。モラトリアム、パラサイトシングル、
アダルトチルドレンネオテニー
いろんな言い方・分類・定義づけがされていますが…。
これって親の問題なのか、子供の問題なのか、どちらかなあ。
それこそ、卵が先か、鶏が先か、かな?
・・・ほんと、親子どんぶり。はぁ・・・。

たんぽぽヘリコプター (まど・みちお 詩のえほん)

たんぽぽヘリコプター (まど・みちお 詩のえほん)


今朝 通勤途中のNHKで聞いた面白いニュース。
「ヘリコプター・ペアレンツ」なるものの存在。
いつまで経っても、子供の上空に張り付いて、見張り続ける親。
(つまり、ホバリングでべったりってわけね)
2000年代からアメリカで頻繁に使われている用語だという。
教育の現場に長くいるが、こういう表現は知らなかった。
現実がそういう状態だと、とうの昔から承知だが。


「世界で一番長いへその緒」で結ばれている親子は
何でもメールで連絡し合って、(双方向なのか?)
大学側にクレームを付けてくるのだという。
別に、このような親子の存在は、大学に限ったことではない。
幼稚園・小学校レベルの面倒見の良さを、中学どころか、
高校にまで求め、それが予想(危惧)通り、大学レベルにまで
到達しただけのことなのだ。
今更、何も驚くことではあるまいに、である。


(友人曰く、高校の定期考査で、机の中の物を持って帰るように
指導したら、担任の先生は厳しく言わなかったのに、
副担の先生が持って帰らせようとした、外は雨なのに
ひどい先生だ、と親からFAXが校長室に直で来る世の中だ)

何と言っても、駅弁大学の時代は遠く去り、大学全入時代
少子化を背景に、「お客様」はとことん強気でいらっしゃる
「金の成る木」だ。・・・現実の生徒・学生数より、
大学側の募集人員の方が多いのだから、
お客様気分の親子が、多大な要求を突きつけてきても
不思議ではあるまい。
(小・中・高校生が教師に向かって、
お前らの給料はこっちが払っているんだから、
言うことをきけ、好きにさせろと暴れてはじけるのは、
珍しい光景ではない。きっと、親が家で子供に
そう言って聞かせているのだろう・・・)
払った学費分、言いたいことは言わせてもらおうと
いう論理なのだが、
彼らが、学生(生徒)としての分をわきまえて、
今まで頑張ってきたかというと、それは別問題。
能力が伸びなかったのは、指導する側の問題であり、
努力できなかったのは、与えられた環境のせいなのだ。
「非」は決して、自分たちにあるのではなく、周囲にある。
省みる点は、自分たちにあるのではなく、周囲にある。
完璧に整えられた環境で、提供した金額に見合うだけの
「納得」を要求する親に育てられた「子供」が、
どういうものであるか、
・・・考えたくないが、現実は避けられない。


「教育の現場」で、義務を果たすことよりも
権利を要求することばかり覚えてきた結果がこれなのだ。
クレームを付けることが、自分達を守ることだと思っている、
それが「親の義務」だと言わんばかりの人間が、
自分自身の不安の解消を求めて、子供を監視し続ける体制が
いつまで延長されているのか。(許されると思っているのか)
この未成熟な社会の在り方、現在において顕著ではないか。
かつてこの国が、革命という言葉を使わずに
「維新」を乗り切った時、国家100年の計として教育を位置づけて、
若者が、この国の未来を背負って立つな壮大な夢を描いて
西国立志編」のような「青春」を夢見て、
学ぼうとしているわけではないのだ。

受け入れる大学側のキャッチフレーズは、
「生活指導」と「就職指導」だという。
如何に充実した指導が行き届いているか・・・、
アピールすることが戦略だという。
ちまたのオープンキャンパスでは、低空飛行の親子を撃墜するのに
躍起になっていることだろう。
(それは滑走路に誘導するという「表向き」を遙かに超えて、
凄まじい・・・軟着陸してくれるとは限らないんだから)


そんなことを考えながら、出勤。
機械の入替で、全てのコンピューターが外部とつながらない。
せっかくこの言葉、調べたてみたいと思ったのに。
やれやれ。モバイルじゃないへその緒は、
簡単に切れるのになあ。

西国立志編 (講談社学術文庫)

西国立志編 (講談社学術文庫)