Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

あれこれと

・・・仕事のことを考えている。
人は、1日のうちに、仕事でどれだけの人と接するのか。
私は普段、大体、日々平均200〜300人程度と接している。
むろん日によって変動するが。いわゆる「人疲れ」する環境。
事務的なこと、対応、その日のカリキュラム、段取りで、忙しい。
ああすれば、こうすれば、どう言えば、と頭の中はくるくる回転。
サクサクこなしているようで、なかなか簡単には済まない1日。


病院のスタッフは、1日のうちどれだけの人と接するのか?
むろん、役割分担にも拠るんだろうから、一概には言えない。
病室は、けっこう出入りが激しい。ドアは1日中開けっ放しだ。
それでも、普段の私の職場環境からすれば、静かなものだが。
3F、約40人が入院している。手分けして、巡回して、朝昼晩。
コールがあればその度、それ以外に点滴、氷枕、湿布、etc.
介助。3度の食事、お茶、下の世話から入れ歯の歯磨きまで。
週1度のシーツ等カバー類の交換、週2回の入浴日。
お絞りを配り、モップをかけ、ごみを集め、リハビリ室に運び・・・。
延べ人数ににすると、凄い。すべて立ち仕事。
記録をとり、医師に連絡し、回復室のモニターを見て、・・・。
人と接して、声をかけ、物の上げ下ろし、運搬清掃整備、大変・・・!


どんな仕事も、体力気力が充実していないと、こなせない。
エアーのクッションが入った、ちょいお高めのナースシューズを
私も職場で愛用しているけれど、(基本的に立ち仕事だから)
私は現在、自分で動ける患者だが、あくまで自分の最低限の身の回り。
家事労働・仕事の「戦力」になるまでに、もう少し時間が必要。


あれは、7月のボーナスが出た後の、出張の時だった。
10年ぶりぐらいに、とある大阪のデパートに立ち寄ってみた。
きらびやかな店内にボーっと佇んでいる私は、格好のカモだったろう。
あっというまに、常日頃、目にしたことも手に取ったことも無い、
超お高い外国ブランドの、化粧品のコーナーに座らされていたのだった。
懐具合があったかかったので、つい気が大きくなっていたのか、
雰囲気に飲まれてしまっていたのか、セールストークを聞かされていた。
ふと、職業意識が芽生えて、美容部員である販売員に尋ねた。
「1日に何時間勤務して、何人ぐらいのお客様と接していますか?」
答を聞いて眩暈がした。思わず心の中で殴ったのは、言うまでもない。



10時から7時まで、平均5、6人多くても7、8人相手に
化粧品販売、お肌のお手入れ、美容の知識をご説明するのだと言う。
大都会のど真ん中のデパートの、超高級外国ブランド化粧品売り場の
店員1人の平均接客人数は、これでも採算が取れているというわけだ。
1時間に1人捕まえて商売すれば、お仕事としては成立。
口紅1本5000円、クリーム一つで1万円は軽く超える。
一人当たりに約1万円見込み、それ以上は売りつけているはずだから、
(もとい、経済的に余裕のあるお客様が、立ち寄るコーナーである)
1日10万円売り上げ見込みとして、単純計算月24日勤務で240万。


そんなふうに下世話な考えが巡って、眩暈がした。
むろん、こういう職業は、半ばカウンセリングも兼ねているので、
客層・年齢に合った話術、話題、お肌の手入れ、売込み、
かなり神経を使う仕事だ、という事は熟知している。
イメージ戦略の賜物とも言うべき化粧品・美容業界、
デパート担当はその花形、カリスマ店員の活躍する激戦区、
外資系は個人の売り上げがお給料に直結する、出来高能力給だということは
百も承知だが・・・。その、接客する人数の少なさに感嘆した。
(そして、自分の仕事・給料内容を思い、凹んだ)


ありえない、日常生活ではありえない、そんな人数。
「お客様、せっかくの色白のお肌が(お世辞)、もったいのうございます。
 マッサージの後(そんな時間ないって)
 こちらのクリームで水分補給をして、
 肌理(きめ)を整えましたら、
 (お肌の曲がり角は、とっくに曲がりくねって、鍾乳洞!)
 毛穴やたるみも改善されて(その気にさせるなって)
 見違えるような(嘘嘘嘘)・・・云々」


え? 私がどうしたって? 腹を立てて席を立ったって?
いえいえ、気が弱いので、言われるまま1.5万分ぐらいの商品を買って
使う間もなく、部屋のどこかに転がっていますよ。
退院したら復帰までの数日、物は試し、お手入れに使ってみますかね?
お肌はガサガサ、空調で乾燥しきってボロボロ。小皺も増えた。
ヘアマニキュアもはげ、否が応でも白髪が目立つ。
脆い土台に拍車をかけて、修理困難な状況。修復可能か?
仕事への姿勢や、体力だけではなく、
立て直さなければならないものが、たくさんある。(笑)

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