Festina Lente2

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10/1(日)入院10日目(覚え書き)

午後2時半。家人と娘来る。ママが隠しておいた漫画を持ってきた。
『外科医 東盛玲の所見 妖怪の復活篇』おいおい、参ったなあ。
それは、ステレオの後ろの本棚に隠しておいたのに。
「○○ちゃん、怖くなかった?」と訊くと、面白かったらしい。
「おかあさん、人面瘡には抗癌剤が効くんだね」「え? どうして?」
「この漫画も、ブラックジャックにも人面瘡が出てて治療してたよ」
うーん、娘よ。ママの本棚から漫画を読むようになったのはいいが、
その知識には少々誤りがある。熱傷瘢痕癌なんだが。(笑)
シャワーの間、二人はいったん図書館へ。帰ってきてから
ママのベッドで、マインスイーパとスパイダソリティアをして
笑点」を観て帰っていった。ママのベッドは子供部屋か?


血液検査の結果次第で退院だから、
多分今日が病院にお泊りする最後。
慣れ親しんだ自分のベッドとお別れするかと思うと、ちょっと寂しい。
今日やっと、うつ伏せで寝てみても、苦しさが減ってきた感じ。
この静かで穏やかな環境にすっかり慣れてしまい、
喧騒の中に帰るのが怖い。
バリアフリーの、心地よい静かなヒーリングmusicが流れる廊下。
(家は段差だらけ、車の騒音・振動がひどく空気も悪い)
不思議なことに、大部屋の鼾や物音なんて全然気にならない。
みんなの寝言も楽しい。(ちょっと悪趣味かな)
とうとうネームプレートに血液型も主治医名も書かれないまま、10日間。
ま、いいけどね。内科ってことさえ、はっきりしてれば。


ノートPC に向かうために、体を起こしているのは結構リハビリになった。
久しぶりのシャワー1度目は、さすがに疲れてクラクラした。
以前、ペインに入院した10年以上前、洗面所で下向いただけで
貧血で目の前が真っ暗になって、咄嗟にしゃがみこんだものの、
全く動けなくなった事があった。産後、トイレでも同様の貧血になった。
だから今回は、これでも、注意しておとなしく過ごした方なのだ。


本は思いのほか読めなかった。思うように、頭が働かない。
一つはこの1年で老眼が進んできたこと。
眼科では、まだ老眼鏡は早いというものの、メガネの調整が必要。
ブログの原稿を書くのが精一杯の、ボケ防止みたいな感じ。
点滴が抜けてからは、ロビーに下りて新聞も読んでみたが
さっぱりも頭に記事が入らない。困った。


3年半前、風邪の治療の服薬点滴で、
かえって容態が悪化したことがあった。
元看護師の社宅の奥さんは、夜に救急で総合病院に運んでくれた。
CRPは20もあった。薬剤性の肝炎になりかけていた。
即入院と言われたのに、翌朝勤務地に戻った。
ホームドクターは3ヶ月かけて様子を見ようと、薬を処方し、
肝臓は正常値を示すようになった。結局仕事は休まずに、何とか続けた。
今、思えばかなり無茶をした。
地の底に引きずりこまれるような、あの時のだるさは忘れられない。


今回、痛みに耐えるのは、難しかった。嘔吐も高熱も無かったが。
「そけい部に痛みや違和感を感じたら、
         リンパに黴菌が来ているから注意」
大学の保健の講義内容が蘇った。記憶は定かではないが。
座って仕事がしにくい、何日か続いた違和感に不安を覚えた。
それも、他の兆候も、仕事の疲れだと思おうとしていた。
これが、そもそもの間違い。
仕事の予定通りに動こうとしていた事が。
抗生剤の点滴を受けても、翌日のCRPが倍になったと知った時、
帯状疱疹の時よりも、痛みは少なくても「これは危ない」と思った。


痛みを我慢するのは、やめた。知っている先生にも会った。そして入院。
週明けまで我慢し続けていたら、(我慢できたかな)大事だったかも。
薬疹も出たけれど、3つめの抗生剤ですぐに散らせて良かった。
これからも使えない抗生剤がわかったしね。
(マキシピーム・セファメジン)ちゃんと覚えておかなくちゃ。
これくらいで済んで良かった。
転勤3年目は、いつも入院しているような気がする。
というより、新しい職場に慣れるのに、丸々3年はかかるという事か。


諸事全般、我慢しているつもりは無かった(と思っていたのだろう)
が、いつもの痛みだとやり過ごしてきたのは、危険だ。
これが、感覚が麻痺しているということだろうか。
良く言えば、自分を持っている。悪く言えば、融通がきかない。
そういうことなのだろう。ぽっきり折れるという事は。
これでも年とともに、穏やかになってきた方なのだが。
子供を産んでから、丸くなったのだが。
家人の病気から、忍耐と諦観を学んだはずだったのだが。
「現状維持は退化の第1歩」であることに、今だに拘泥している私。
このままで、いたくない。このままで、終わりたくない。
何かが、足りない。いつも、物足りなく思う。
「知足」という事がない。
理想と現実のギャップに、体も心も追いつかない。

退院後を、自己管理できるか、大きな課題。