Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

フラガール

元気をもらいに気分転換。念願の「フラガール」へ。
なんといっても、車で30分以内に行けるシネコンが3つ。
一番近い所は10分で行ける。今日はレディスデー!!!
家人も娘ももう一度観たい! というほどの作品だからね。
自分の幼い頃過ごした社宅と似た木造の家。毛糸のセーター。
福島方言も、宮城県人2世の自分にとっては
親の言葉に聞こえて懐かしい。
でも、いわきの言葉は東北の方言でも、海よりの発音だなあ・・・。
山側は、また少し違うんだよねー。


炭鉱のリストラ風景が、オイルショック後の父のリストラと重なる。
紡績関係の工場はあっという間に縮小され、単身赴任をたらい回し、
役職名だけはあっても、部下からの突き上げを食らっても何もできず、
結局首を切られる前に、自分から辞職せざるを得ない立場に
追い込まれていた父のリストラと、自分の進学の
苦い思い出を髣髴させるシーン。
再生の道を探る組織と、従来の組織のせめぎ合いを見ると切ない。
昔のように「職場=仕事=人生=家庭」と
ゆるぎなく直結している訳ではなくても、
概ね、構造的には変わらないのだから。影響は、絶対受けるのだから。


時代や場所は変わっても、いろいろ考えさせられて、
昭和生まれとしては、本当に「うっ」となってしまうシーンが多い。
仕事をし続けて、この年齢になれば、なおさら。


松雪泰子。酔いつぶれても、なお、踊る姿は美しいダンサー。
踊る時は教師である前にダンサーであろうとしていた、まどか先生。
お金のためと割り切って、自分の人生を背負って、
背負いきれなくて、半ばやけになっている。
何だか、切なくて、ちょっと身につまされる。
優しくされることに慣れていない女が、炭鉱の娘たちと一体になって
母とも姉ともいえる愛情を持って、教師として成長していく姿、
「よろしくお願いします」と、頭(こうべ)を垂れる姿に
企画を成功させるために奮闘する部長、岸部一徳が、
「いい女になったなあ、先生」を声をかける場面が、
何とも言えなかった。


岸部さんって本当に不思議な役者。
ほんといい味出しているんだ、この役。
ひょうきんな役柄も、はにかんだ生真面目さも、一徹な静けさも、
時には何を考えているんだかわからない、
不気味で得体の知れない雰囲気も、
       さらりと演じ分ける役者さんだなあ。
方言で、平山まどか役の松雪を罵倒するシーンは面白かったが、
松雪同様、私にも何を言っているのかさっぱりもわからなかった。
迫力は伝わってきたけれど。


主人公の紀美子が母親に向かって、「自分の人生何だから」
「親と同じ人生を歩みたくない」と叫ぶ姿にも共感。
でも、母親の立場からしてみると、
自分の人生を真っ向から否定されたようで、辛かったのもわかる。
富司純子の母親はせりふよりも、歩き方と眼差しで
気持ち・年齢・職業を表現していて良かった。
その足取り(の演技)が、人生をしみじみ感じさせた。
どちらの世代の気持ちも痛いほど良くわかって、感情移入。
女として、母として、娘として、葛藤。


親友早苗の「今まで生きてきた中で、一番楽しかった」
「いい夢を見られた」という言葉にも泣ける。
でも、人生、このせりふを言える時は、実際、そうそうない。
心から望んでも、叶えられない夢は多い。
夢を見て、夢が打ち砕かれる瞬間、人は選択する。自分の人生を。
人は、選択せざるを得ない。


夢をつかむこと。
人は変われること。
努力する、ひたむきな姿は美しいこと。
学ぶ者から教えられ、教えることでさらに学び、
お互いが成長する、その進化する関係に、心が強く動かされる。
いつも、そうありたいと願って、
私も、夢を見ているから。

フラガール オリジナル・サウンドトラック

フラガール オリジナル・サウンドトラック