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戦争映画を背景に

DVDあふれる今でも、学生にとっては、映画は高価な娯楽だ。
昔々、高校時代、誕生日祝いに友人たちが100円ずつ出し合って
映画のチケットを買ってくれたことがある。
で、放課後、みんなで観にいったのは
カッコーの巣の上で」なかなか渋いでしょ。
後年、舞台でもこれを見た。
心理学・精神医学方面や病院ものへの興味は、
既に、この頃から芽生えていたのかもしれない。

カッコーの巣の上で スペシャル・エディション [DVD]

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それは、学園祭とか学校祭とかいうものではなく、高校の文化祭だった。
視聴覚教室で必ず映画上映会があった。誰の好みかわからないが、
ある日職員室前を始めとして、あちこちに、ポスターが貼られる。
高校に映画研究会があったかどうか、覚えていないのだが。
「ジョニーは戦場へ行った」「サンダカン八番娼館」。
あとは、何だったか覚えていない。
3年間のうち、「サンダカン八番娼館」1本だけ見た。

サンダカン八番娼館 望郷 [DVD]

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この年になっても思うのだが、この作品の選択って、
結構きついものがある。
高校の文化祭で、上映するようなものなんだろうか?
私が保守的なのかな? おくてだったのかな?
まあ、こちらにはいい刺激になったのだけれど、
それでも目が点?!になって鑑賞した記憶がある。
ノンポリでボーっとしている文学少女には
実際問題、知らないことが多すぎたのだ。

ジョニーは戦場へ行った [DVD]

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「ジョニーは戦場へ行った」に関しては、午前の部で見た友達が
いやあ、あれは見るのはやめた方が・・・と言ったので、
勇気が出なかった。(今から思うと、ぜひ見ておくべきだった)
大学時代、学祭にはノータッチ。映画研究会の上映1本だけ観た。
僕の村は戦場だった」・・・階段教室は閑散としていた。
改めて振り返ると、学内での私の映画鑑賞暦って・・・、
暗い。(様な気がする)

僕の村は戦場だった [DVD]

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さて、「父親たちの星条旗」だが、ネタばれになるからストーリーは書かない。
それよりも、パンフレットの仕上がりと内容が気になる。
無名性を前面に出すのは、記録映画としての側面を持たせるためだとしても、
映画の内容の割に、パンフの説明が今一つでしっくり来ない。
クリント・イーストウッドの発言があるのは当たり前で、それ以上に周囲の
発言・論評があってもいいのではないかと思うのだが、
巧妙にそぎ落とされているような気がしてならない。気にしすぎか?

父親たちの星条旗

父親たちの星条旗


アメリカの選挙戦を背景にしているからか? 
戦争鼓舞に関する情報操作の虚しさ、資金集めの実態、
民衆が、敢えて見ようとも知ろうともしなかった真実を
奇しくも運命によって背負わされた人間と、時代との相克を、
アメリカ側からの観点で作っているにもかかわらず、
資料的な情報提供も曖昧だ。
まるで、これ以上述べたくないかのようだ。自分たちの汚点を。
唯一、日本側のこの抵抗姿勢をベトコンが真似をして、
アメリカは最終的に敗北に追い込まれたのだという解説には、
なるほど・・・と思ったが。


作品のパンフそのものに、匿名性を持たせている訳じゃあるまいし、
大手新聞のサイン記事を要求するわけじゃないけれど、でも何か変・・・。
何かが隠されているような気がして、変な感じがする。
うまく言えないけれど。
ニューヨークタイムスで、46週間もベストセラーに入ったこの原作に、
答えは隠れていたのだろうか・・・。それにしても、
この映画に対する何かが、巧妙に隠されている気がしてならない。


クリント・イーストウッドは発言する権利もあるし、
そういう立場に、ある。しかし、それ以外の人々は、
アメリカ側は、有識者は、大衆は・・・。
俳優側のコメントも、インパクトに乏しい。
日本側への配慮なのか、アメリカ側の作戦なのか、
単に、映画会社の方針なのか。
似たような文章を、同じような切り口を並べ替えて、
載せているだけの印象が強い様に感じる、今回のパンフ。
それとも12月公開の映画と抱き合わせなので、
少々コメントを控えておかないと
次作のパンフレットの内容に抵触するのか?


ミリオンダラー・ベイビー 」の時は、
クリント・イーストウッドの特集か?
と思うくらい、細かい内容まで丁寧に作られていて、
映画の内容そのものよりも、クリント彼自身を知ってもらうための本?
と思えるくらいのパンフレットだった記憶がある。

ミリオンダラー・ベイビー [DVD]

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もっとも、あの映画の内容は非常に重いものだから、
映画そのものの内容に迫って、単純に表現・
論評できないということもあったかもしれない。
しかし、あそこまで監督に焦点を当てて、
パンフレットを製作するのだろうかと
びっくりした記憶が、まだ新しい。


今回は人ではなくて、戦争そのものが焦点だから? 
硫黄島だから? 時代だから? 
もう少し、戦争そのものにも焦点を当てて、
もっと若い人にも(まあ、私だって戦後生まれだし)わかるように、
パンフレットを編集してもいいんじゃないの? 
と思ってしまうのは・・・?
何か変、何か違和感を感じるのに、きちんと見えてこない、
そんな自分自身が、もどかしい。


眠くて、でも、眠れなくて、頭の中に火花。

地獄の黙示録 特別完全版 [DVD]

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硫黄島の砂 [DVD]

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