Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

武士の一分

今年最後の映画の日を、真夜中12時からのレイトショーで楽しむ。
キムタクは好きでは無いけれど、ちょっと渋めに「武士の一分」
藤沢周平の原作をどのように演じるのか、気になったから。
それほど余り期待はしていなかったけれど、
一応音楽は、老いたりといえども富田勲
脇を固める面々は、緒方拳をはじめ芸達者なおじさん達だ。
まあ、キムタクをかっこよく描く映画だから、ある程度さっぴいて
日本的な情緒に、ホンの少し浸ってきた。

ストーリーはわかりきった、殆どクサいくらいの展開。
お決まりのラブ・ストーリーでハッピー・エンド。
現実ではあり得ない、主人公有利な果し合い。
青少年には見せられない醜いシーンは極力省き、上品な映像。
役者の数・セットは抑えて、制作費節約。
音楽は尺八、和風、殆ど流さない。
雨、風、小鳥の鳴き声が効果音。


面白かったのはユーモラスに描かれた、お毒見役の場面。
使用人をいい加減馬鹿にしながらの、夫婦の会話。
おばさんおばさんした役柄の桃井かおり
要所要所を深刻になりすぎないよう、配慮。
思いのほか所作動作に厳しく手入れがされていて、
さすが、演出に気を遣っているのがわかる。
山田洋次監督のこだわりが見え隠れ。
         

足袋をはたくシーン、私の父が子供の頃まで使っていたという
箱膳での食事、火鉢、火熨斗で袴を手入れする場面、
「陰影礼賛」を髣髴とさせる、色と光と影。
敵役が思いの外あっさりと倒されるので、その辺がちょっとね。
でも、まあ、いい。月の初めから不幸に終わる映画よりも、
ささやかながら、残された幸せを満喫できる展開の方が。


ちなみに、パンフは800円。今日の電車の中のお供です。
まだ、読んでいません。けっこうページ数があるから。
中身を読むと、文章が書けなくなっちゃうからね。
ということで、ネタバレ無しで書けたかな?

新装版 隠し剣秋風抄 (文春文庫)

新装版 隠し剣秋風抄 (文春文庫)

たそがれ清兵衛 (新潮文庫)

たそがれ清兵衛 (新潮文庫)