心の小窓をあける季節
待降節がやってきた。1日1日、アドベントカレンダーの小窓をあけて、
クリスマスを心待ちにする。そう、12月がやってきた。
先生も走るという師走がやってきた。だから、私はとても忙しい。
1年が過ぎようとしている。駆け足だったこの1年。これからも?
生きている事が忙しい、生きている事が嬉しく哀しくも忙しい。
この日々、この毎日、この年の暮れ。
去年、病室を飾ったクリスマスツリーの
パッチワークがぶら下がる、居間。
私の炬燵部屋。娘が保育園年中さんの時に作った、
紙粘土のクリスマスリース。年長さんで作った、
ペットボトルの中のキリスト生誕場面のクリスマスの雪景色。
これも家人の個室に飾って、看護師さんが褒めてくれた。
2階には友人が送ってくれた、スノーマンのクリスマス壁掛け。
去年は、とうとうクリスマスツリーを飾ることは無かった。
今年は・・・どうするかなあ。
最近お邪魔させていただいているブログでは、
フィリピンのクリスマスの熱狂的な飾りつけが、綴られていた。
あの、熱に浮かされたような飾り付けの日々を我が家は持たない。
最近、近所に立ち始めたマンションや建売住宅の、
派手派手な、でも、見ているとやっぱり楽しい、クリスマス電飾。
世間の流行から少々取り残された気分で、
でも、小さいながらも新しい景色が見える、小窓をあける。
心の中に見える景色を比べながら。
この時期になると思い出す、家族のお話。二つ。
「愛の一家」asin:B000J7IG0A
少年少女世界の名作文学ドイツ編。アグネス・ザッパー作。
異国の家族の心温まるお話、飾り付けにリンゴをぶら下げる
いまだ見ぬ異国のクリスマスツリーの挿絵に憧れた。
バイオリンの練習、流星群を見るための夜の外出。
もう一つは余りにも有名なエーリッヒ・ケストナーの
「飛ぶ教室」のクリスマス休暇の場面。帰省の電車賃が無くて
帰りたくても帰れなくて、黙っている男の子。
家で息子のことを思って泣いている両親。
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子供心にも「色んなクリスマスがあるのだ」と知って、
日本の片隅で、タイツにお菓子を詰めてもらっていた女の子は、
おばさんになっても、この「落差」を忘れられずに生きている。
だから、家に帰れなくて嬉しがっているハリー・ポッターの
クリスマス休暇の描写は、ちょっと新鮮だったかな。
そうか、自由に仲間内で過ごすクリスマスもあるんだなって。
折しもTVでは「ALWAYS 3丁目の夕日」で、
万年筆を届けに来たサンタは、戦争で娘と妻を亡くした医者。
プレゼントを貰ったのは、身寄りの無い少年。
売れない三文文士の心尽くしのプレゼント。雪景色。
まだ、私が生まれる前の東京が舞台。
去年、家族全員でこの映画を見たっけ。
幾つになっても、クリスマスプレゼントっていいなあ。
大晦日の切符を雇い主から貰って戸惑う、むっちゃん。
妻を得る夢が敗れた男、借金を背負って身売りする女、
身寄りの無い少年に、突然の迎え。雪景色の中、物語は急展開。
映画はいつでも人生が凝縮された「小窓」だ。
辛いことでも、嫌なことでも、楽しいこと、嬉しいことと同じように
自分の上を、自分の家族の上を通り過ぎていく、
この当たり前の不思議。
12月がやってきた。
生きている事が忙しい、生きている事が嬉しく哀しくも忙しい。
この日々、この毎日、この年の暮れ。
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