サンタが来ない訳

○○ちゃんは、いいなあ。サンタさんが毎年来てくれて。
いつも枕元に一杯プレゼントがあるもんねえ。
お菓子だって持ってきてくれるし、服も靴も、いいなあ。
何気なく娘に呟いた。
「お母さんのところにはどうしてサンタさんが来ないのかなあ」
「ちゃんと、お布団で寝ていないからだよ。枕元に置こうと思っても
お母さんいつもいないもん」・・・すみません、娘よ。
君の側に添い寝をしなくなって、この所、ご不満でしょう。
読み聞かせも減ったしね。実に実に申し訳ない。
確かにサンタにとって、かーちゃんは・・・「いい子ではない」

君の学校の連絡帳のサインも、よく忘れる。
宿題の点検もしてない。大体、自分でしてよ。
ハンカチハナカミの確認。あ、いまどきの子はティッシュね。
自分で持って行ってね。お弁当、それは作るけれど。
あー、お風呂自分で入って。歯磨きの仕上げ磨きはOK.
ピアノの練習は発表会前だけ、見る。
水泳、この頃は付いていっていない、ごめん。
図書館の本。ごめん、君のカードでママは仕事の本を借りた。

確かにかーちゃんの基本的生活習慣は、めちゃくちゃです。
朝、風呂に入る。（シャワーを浴びている。徹夜明けが多いから）
朝食、実にいい加減。あるものを食べる。パンでもご飯でも果物でも。
出勤、遅刻ぎりぎりに出かける。
昼食。今の職場に転勤してから、出前を取ることが増えた。
食堂はこの業界いま一つの所で、まだましな部類なのだが。

仕事。できないと思われるのが嫌だから必死だけれど、
達成感やプライドを持てるかと問われると、はなはだ疑問。
転勤後、それは一層ひどい。気の持ちようであるとは思うが。
体を壊してまでする価値があるのか？
生活費を稼ぐという大義名分が無かったら、
仮にも専門職であるという思いが無かったら、持たない。

　　　　　　　　　　　　　　　
掃除は苦手だ。片付けると余計に場所がわからなくなるから
使うものはできるだけ視野に入れておく。
書類は積んでといて、期限が過ぎれば捨てる。
以前は大事にとっておいたが、結局束で捨てるか、
束ねずに捨てるかの違いだと思うようになった。
これも、転勤後顕著になった、ずぼら整理。

好き嫌いは無いが、間食は大好き。太るなあ。料理は好き。
食べるのも作るのも好きだが、目下の悩みは時間が無い。
後片付けは嫌い。でも、書類と違って皿茶碗は水屋に仕舞う。
出しっぱなしは嫌い。昔のように優雅にお茶を楽しむことも
ケーキやクッキーを焼くことも無くなった。
せめて、年末年始のお休みの時には、「おせち」ではなくて、
二人でお菓子作りでもしよう。

勉強、大好きだが、もちろん自分の好きな勉強が好き。
「好きこそ物の上手なれ」は、言い訳に過ぎない。
書きたいものが沢山ある。読みたいものも。
まとめなければならない書類も、調べなければならないことも。
みんなみんな中途半端だ。無言でわめきながら仕事兼読書。

真夜中の映画。去年から覚えたこの悪習に、まだまだ浸りたい。
外の空気を吸って、一人で15分間のドライブ。
大好きなBGM.　目の前に広がる大空間。異世界。
え、冬のバーゲンなんて行かないよ。人ごみはノロが怖い。
誰も居ない真夜中の映画館でいいよ。
仕事が無い時は、映画館で過ごしたい。
今は仮眠の合間に、テレビとパソコンの夜だが。
　　　　　　　　　　

来ないはずだ。サンタは来ない。こんな生活をしている
かーちゃんの所には。なまはげが10人ぐらい来ても、
サンタは来てくれそうに無い。
どこで寝ているかわからない、そんな生活。
いつ入浴しているのか、いつ、親子でいるのか、
どれくらい君と話しているのかわからない、生活。
君の言うとおり、かーちゃんにサンタは不要。

神様、丈夫な体と時間を下さい・・・。それさえあれば、
後は、自力で乗り切れる・・・様な気がします。

不機嫌なメアリー・ポピンズ―イギリス小説と映画から読む「階級」 (平凡社新書)

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