Festina Lente2

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自由と選択

助産師の方を招いての勉強会。
参加者は、主婦・医学生・元塾講師・医師・介護福祉士・教員
とにかく様々。何にしろみんな熱心はな熱心なのだが、
高級めいた話し合いで終わっているように思える。
まあ、レポート提出が義務付けられているわけでもなく、
ミニ講演会、ミニ勉強会だから仕方ないかもしれない。
だが、どこまで必要な知識を身に付けられるのか、わからない。
好きに自分の意見を言うだけでは、勉強にはならない。
一方的に聞くだけでも、何にもならない。
というか、人様の様々な意見を聴くのは、
かなり精神的な体力を必要とする。


reproductive health / rights を語るためには、
まず、確かに知ることから始めなくてはならないのだけれど、
私とそれほど年も違わないような感じの人が、
「どうして最近の人は子供を持とうとしないのでしょう」と
怒りをぶつけるように話し始めるので、疲れる。
まあ、実際怒っているようだが。
何だか、どうして子供を持たないのでしょう、
どうして子供を一人しか産まないのでしょうと
暗に責められているような気になってしまう。


私達の世代は選択肢は無かった。
若い頃子供を持たないで生きるという
選択肢があることなど知らなかった、と言うけれど本当かしら?
(「私達」と言われると一緒にされているようで、更に辛い)
知らなかった以前にそういうことを
疑問に思って考えようとはしてこなかっただけでは?
本日は「子供を持つ自由持たない自由」について考える日。
しかし、「最近の若い人は子供を作ろうとしない」と
大上段に構えて話し始める人がいると、
さっきまで講師が語っていた内容が、
どれだけ受け入れられているのか、よくわからなくなる。

産む・産まない・産めない (講談社現代新書)

産む・産まない・産めない (講談社現代新書)

未妊―「産む」と決められない (生活人新書)

未妊―「産む」と決められない (生活人新書)


結婚したら子供を持つべきだ、子供は二人以上持つべきだ、
子供が欲しくない、作る気も無いのにどうして結婚するのか、
そういう意見が年配の人から出ると、「ああ、やっぱり」と
思うと同時に、何だかがっくり力が抜ける気がする。
持つ持たないは個人の自由だし、
産みたくても産めない人も沢山いるし、
相変わらず、子供に関して不完全な生産機械人生を
生きているような発言を聞かされるのは、辛い。


結果的に二人目不妊は、私のせいばかりではなかったけれど、
世間の目から見れば欠陥商品扱い。今の若い方はどうだろうか。
私はクリスマスケーキ(25歳)を過ぎた頃から、
見合いをしろとうるさく言われ、
27を過ぎらた職場で「結婚する気が無い人間」と言われ、
30を過ぎたら「人には言えない欠陥がある体」と言われ、
同じような大学の同級生は、「後妻の口しか紹介が無いの」と
嘆いていた。彼女は一人っ子で、見合いに苦労していた。


自分の人生を選択し、生きていくことは楽ではない。
ある意味、大多数の人や時代の流れと違うと苛酷でさえある。
そして、その多数決に従って生きようとする限り、
いや従わないで自分を貫こうとすればするほど、
基準値から外れると、学校の中よりも過激な
「いじめ」と「差別」が待っている。
女の敵は女だと思いたくもなる瞬間。


苦しみぬいた人生を送った金子みすゞだから、
「みんなちがって、みんないい」と言い切ったのだ。
苛酷な夫婦関係、男女関係、世間との関係の中から
「みんなちがって、みんないい」を振絞るように口にしたのだ。
私はそう思っている。
子供を持つ自由、持たない自由。産む自由、産まない自由
選択するためにはそれを保障する自由が必要だ。
しかし、世代も時代も「自由」に関しては冷たい。

童謡詩人 金子みすゞ―いのちとこころの宇宙

童謡詩人 金子みすゞ―いのちとこころの宇宙


勉強会では政策や子育て支援や、施設・設備面の充実、
経済的なことを中心に世の中を変える発言はあっても、
何故か、幼稚園小学校から必要な性教育・人権教育が
どのような人間関係を望み、人と付き合い、
どのように他者を認め、自分を認めてもらうように努力するか、
そのために必要な教育面について触れる発言は、殆ど無かった。


ハード面、設備とお金の問題だけで不妊家庭内暴力が、
少子化問題が解決する訳ではないというのに・・・。
今日の勉強会の辛さは、
「私達は高度経済成長期に複数の子育てをして、頑張って来たのに
 あんた達、若い世代は何考えて生きているのよ」と
暗に責められたような気がしてしまったから。
これは、単に私の個人的な受け取り方だけではないだろう。


講師の方も、答えは見つからない。せめて、
一人一人を大切にしてお付き合いして生きるという姿勢を
それぞれが自覚して持つしかないのだとおっしゃっていた。
「時により過ぐれば民の嘆きなり 八代竜王雨やめたまえ」
ではないが、少子化問題
「子供が産める可能性のある女性の問題」であるかのような、
「若い世代は産まない選択肢も認められていていいわね、
 (私達にはそんな自由は無かった、選択肢も無かったのに)」と
いう発言(意見という名の圧力)から、逃れたいとさえ思う。
この雨に差す傘はないのだから。


そんな勉強会で、ちょっと疲れた。
終わってからユッケビビンバでマッコリを煽り、
検診に向けてお布団に入ったのに、寝付けず金縛り。
・・・やっぱり、疲れていた。

二人目産みません産めません―女が子どもを産まない本当の理由

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産まない理由 今まで誰にも言えなかった私たちのホンネ

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