桜吹雪のMRI

久方の光のどけき春の日に　しづ心なく花の散るらむ

桜吹雪の美しい午後、私は頭痛と眩暈を抱えていた。
先週の水曜日に押入れの整理で、したたかに右後頭部打撲。
まあ、こぶも引っ込んだし吐き気も無いしと思っていたけれど、
起床時から何だかおかしい。
首周りがシャリシャリ音がするような感じ。
でも、この症状は副鼻腔炎が悪化した時もあったんだよね。
眩暈・頭痛・ふわふわした感じ、酔ったような気分の悪さ。

仕事を続けた。こういうときに限って、書類仕事。
エクセル画面を眺めなければならない。ううう。
パソコンを置く場所が変わって、手元が薄暗い。
ブラインドで打てるとは言え、他の資料がよく見えない。
なかばイライラしつつ早めに仕上げて、HPを探した。
診て貰おうと思ったのは、先週「脳！」の展示を見たせいかも。

みそひと文字の抒情詩―古今和歌集の和歌表現を解きほぐす

原色小倉百人一首―古典短歌の精髄をカラーで再現 (シグマベスト)

古典の森へ―田辺聖子の誘う (集英社文庫)

いつも行く、住んでいる近所の駅の整形外科を避けた。
したたかに、後頭部を打っているのが気になったせいだ。
もしかしたら鞭打ち、頚椎捻挫、時間も経ってることだし。
大したことないはず。いやいや・・・。肩凝りがひどいせいかも。
色々思い巡らしながら、パソコンで検索。
職場から車で15分、駐車場はショッピングセンター内で何時間でも無料、
晩御飯の買い物もついでに出来る、というのがネックだった。
むろん、設備の新しいクリニックだったし・・・。

「多分、頚椎捻挫だと思うけれど、念のためにMRIを」
先月は母のMRI、付き添ったことだし、頚椎は何度も取ったことはある。
気楽にOKしたのが運のツキだった。
検査後、2時間待っても順番が来ない。どんどん夜は更けていく。
帰宅時間はとっくに過ぎた。家に連絡を入れる。
娘は殊勝にも、晩御飯を食べて、ピアノの練習も一人でした。
もはや、21時前。やっと呼ばれた。

ところが診察室に招き入れられても、先生が来ない。？？？
お陰で私は生まれて初めて、こともあろうに、長時間
たった一人でまじまじと、診察室を観察する機会に恵まれた。
せんせー、机の上のパソコン画像、前の人の画像・・・
そのままなんだけれど、出したままどこ行っちゃったの？
パソコンはDELLだな。机の下のノートはLavie、
何故かアマゾン川のDVDが乗っかっている。
仕事中の「癒しグッズ」かな？

よーく見れば、本棚に鎮座ましますワシントンマニュアルの横は
「奥の細道」DVDだ。映画は「コンタクト」「ジュラシックパーク」
その他諸々。ちょっと傾向がわかる類。
脳神経外科関連の書棚の横にある絵画ポスターは、
遠目でよくわからないけれど、小磯良平の絵じゃないかなあ。
待合室には環境ビデオ。漫画は一条ゆかりの「有閑倶楽部」に、
誰だっけ、「ドクターK」ってか・・・。
この先生、世代が近いかも・・・。

やっとこさ現れた、先生もお疲れですよね、間違いなく。
先生に言われた。「待っている間、眠くなったでしょう。」
そりゃね、お腹が空きましたですよ。
で、案の定、X線写真、首の骨、真っ直ぐ・・・。
「随分、筋肉が硬直していますね」「気分、随分悪かったでしょう」
真っ直ぐなだけで安心・・・、MRI見ても、何ともなさそうだし。

・・・いや、そんなことは無い。写真で見ても、
素人目にも、やっぱり副鼻腔炎、悪化している。
それどころじゃない。「桜吹雪」までは行かなくても、
はっきりわかる白い点々・・・。私の脳の断面。
知識で知っているのと、自分のを見るのは訳が違う。
「あなたの年齢でこういう状態は５％ほどなんですが・・・。」
はい？　いくら年女でも、こういう５％には入りたくない。

突然、体の片側の腕や脚に筋力低下や麻痺が起こる　△
突然、特に片方の眼がかすんだり、視力が失われる　△
突然、錯乱が起こり、
　　　話すことも相手の話を理解することも困難になる　×
バランスと協調運動が失われ、転倒する ×
明らかな理由がないのに突然ひどい頭痛が起こる　△
体の片側の腕や脚の感覚が異常になったり、失われる　△

うーん、やだね。疲れているから、では済まなくなると。
結婚してからスポーツはしていない。
それまでテニスを10年以上していたけれど。
妊娠、出産後、体重は以前よりやせたのに、
転勤してから、臨月に迫る勢い。不健康なストレス太り。
人間ドックの血液検査は脂質・肝臓に関する項目はＣだった。

睡眠時間も少ない。思い当たることは沢山あるが、
ここでこんな桜吹雪にまでは至らぬまでも、白い点々。
「意地悪なようですが、ここもここも、ここも、・・・」
あー、白髪を数えるみたいに、そんなに数えなくてもいいです。
肉眼ではっきり見える、大きいのだけで片手の数越えたのは
わかってますってー。こういうものを、本日見ようとは。
見つかってもおかしくない脳年齢だってことは、
わかってますってー。

「ちょっと別の検査結果を見て、治療してみましょうか」と
言われてしまいましたぜ、おい・・・私。
（頚動脈のエコーで血流を見るそうです）
年女の誕生日まで、12日。2週間を切った晩のことでした。
やれやれ、親知らずが噛めるようになったと思ったのに。
（前歯はまだ仮の差し歯で、
　　　　インプラントにする勇気が無いのですが）
さて、副鼻腔炎もさることながら、頭の中身は？

帰宅。新学期の真新しい教科書に名前を書いてあげて、
一緒に入浴。ごめんねー、遅くなって。
お母さん、やっぱりボケボケで病院だわー。
ま、この歳になると当たり前のメンテナンスなのか。
しづ心なく、不安はあれど食欲は亡くならない。（笑）
夜の11時に夕食を食べる、真夜中の私だったのでした。

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