Festina Lente2

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織姫達のビフォーアフター

さて、本日は七夕。
朝から雨の上がった門の前に飾りを立てて来ました。
何しろ民俗学の伝統にのっとった「天道(てんとう)花」
神の依代(よりしろ)を山と飾った上に、
願い事の短冊を付けまくっているのだ。
梅雨の晴れ間をぬって、お日様に見せなければ意味が無い。


11月から続いた勉強会も今日で一区切り、夏休みに入る。
9月からの本格的始動に取り組むまでの、しばしの別れ。
それにしても、昼組夜組みから毎週の土曜日の勉強会まで。
始まる前は長いなあと思っていたけれど、
済んでしまえばあっという間。
というか、毎日が飛ぶように過ぎていく。
(それだけ年取ったということか)
この日記を書いていなければ、毎日何があったか、
自分が何を考えたか、わからなかったろう。


といっても、職場の記録を書く等といいう、
ストレスの溜まる仕事三昧の記録にしたくは無かったし・・・。
家庭内も、楽しいこともあれば落ち込むことも山とあるし。
気持ちに山を書きたい時もあれば、谷を綴りたい時もある。
その時の自分に任せた。公式ブログでも何でもないし。
ポリシーの無い自分らしい、「意識の流れ」で構わないやと。


で、今織姫現役織姫、かつて織姫、自称織姫
本日の勉強会は、フリートークで9ヶ月間を振り返った。
さしずめ、七夕にちなんで織姫のビフォーアフター

七夕と人形

七夕と人形

おとなのための読みきかせ童話集―やさしさの贈り物

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七夕の紙衣と人形

七夕の紙衣と人形


天帝の娘、織女、清らかな姫星、聖域で機織る仕事は神事を司る。
女性の一生も、7歳までは神のうち、そしていったん事あれば、
生贄にされても仕方の無い処女、神の花嫁。
初潮が過ぎれば身も心も俗世間の仲間入りで、結婚も可。


いつまでも孤高の処女星でい続けるとは限らず、
さりとて最高の彦星に巡り合える保証が訳ではなく。
御伽噺の世界でも現世でも、織姫のビフォーアフターを左右する
ファクターは親と相方、そして世の中の在り方だ。


20代から60代まで、未婚、既婚、1人暮らし、夫婦、
何を思って、何をきっかけに、ここに集まってきたのか。
専業主婦も、仕事を持っている人間も、学生も、
自分の人生を折り続けて来たはずなのに、
黙って機を織るだけではすまない何かが、
機に織り込めない何かが、
機を断ってしまいたいほどの何かが、
胸に巣食っているというのだろうか。


それぞれが語る、今の私、今の気持ち、これからどうしたいか。
スタッフも、この1年近くの流れ、変化、驚き、発見を語る。
病を押して、手術を経て、痛みに耐えて、家族と諍い、
怒りを抑えきれず、修羅場を経て、孤独に耐えて、
子育てを終えて、夫婦で向かい合って、家族を看取って、
地域に根ざして、仕事で行き詰って、・・・十人十色。


だけど、どこまで本音が語れるだろう。
どこまでが自分の知っている自分で、知らない自分なのか。
スタッフによれば私もまた変わったという。
けれど私は、それほど変わった感じは持ってはいない。
主観と客観。私が変化していったとすれば、
ブログを毎日書き続けて、駄文の中に自分を逃した
(ある意味垂れ流しにした部分も)反面、
人のブログから受けた影響が大きかったと思う。


勉強会で事例を学ぶと共に、直接聞く話、交わされる意見、
何気ない日常生活の会話ではなくて、
学ぶ意図を持って意識された中で、紡がれる話に
胸打たれ、認識を新たにし、怒りに震え、とめどなく落ち込み、
やるせなさで辛くなり、どうしようもないと無力感に浸り。
それでも、様々な形で学ぶ事に意味がある集い。


神事を司るのは、生と性を司るのは、地母神
母なる女神の前身、乙女は輝かしい神事の衣も、
嬰児(みどりご)のむつきも、弔いの帷子(かたびら)も
自らの手で織らねばならない。
季節は移ろい、自らの星霜を重ねつつも、
自分の暦をめくり、家族の歴史を彩り、人生を綴り、
機を織り続けなくてはならない。


織姫は、命じられるままに織り続ける存在ではない。
ひとときの逢瀬を楽しみ、仕事に戻るだけが全てではない。
織姫が紡ぎ織る一反一反が、その後仕立てられていくように、
自分の「人と なり」を織り上げていくのだから、
自らのビフォーアフターを人任せにはできない。


自分の言葉で。自分らしい生き方で。
星に願いを語るだけではなく、思いを託すだけではなく。


・・・お母さん、恒星と惑星はどう違うの?
そこに託される無数のメタファーに、
小さき織姫の生き方が決まる。
隠されたカリキュラムに惑わされないように、
刷り込みや、通念に振り回されないように、
娘よ、私よりももっと自由におなり、
娘よ、私よりももっと思慮深く、
受身ではなく、勢いではなく。


娘よ、私達の小さな織姫。

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