Festina Lente2

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夏休み初日「ピアノの森」

午前 娘、学童。私、腹部エコー。家人、大学病院。
正午 家人の誕生日ゆえ、病院から離れて、フランス料理のランチ。
ちょっとゆったりと豪華に大人の時間。お誕生日おめでとう。
午後 ワイパーの壊れた私のムーブを車屋へ。
家人と店の人はついでにタイヤも交換ということになり、
とり合えず、作業中帰宅。歩いて帰って暑い暑い。


夕方 治った車はふわふわした走り心地で気持ちが良いという。
娘を学童から拾って、家人の希望で初めての映画館へ。
前もってチケットを買って、ゆっくり夕食。
和食のバイキングなので、お惣菜が沢山会ってうれしい。
娘も元気よく食べている。凄い食欲。


19:30 難波パークスシネマで「ピアノの森」を観る。
少し気乗りがしなかった娘も、十分楽しめたよう。
家人は知らない漫画が原作なので、興味津々。
私は、純粋にアシュケナージのピアノが聴けて満足。


家人のアジトへ帰宅。22:30。少し無理をしたせいか、
なかなか坂道が登れない。体重が変わらないのに、
検査値だけが悪化していく、それでなくても更年期。
眠れない、美味しくない、面白くない、読めない、理解できない、
見えない、はかどらない、わからない、感じない、などなど。
そんなマイナー悪循環をコマ切れにしながら、
半健康人ではなく、やや半病人で生活する日々。


今日はせめて、・・・ピアノを思い出して
ハードな夏休み初日。お休みなさい。

ピアノの森 オリジナル・サウンドトラック

ピアノの森 オリジナル・サウンドトラック

ピアノの森 1 (モーニングKC (1429))

ピアノの森 1 (モーニングKC (1429))


何か1つを学ぶ者は、楽しいばかりではなく、いつも苦しい。
ライバルとはいえ、自分を刺激してくれる存在があれば、
自分を客観的に見直すことができて、成長に繋がる。
そんな思春期の頃をみずみずしく描く、「ピアノの森」。
かつて、ピアノを学んだものには懐かしく、
音楽を志す者は共通の思いを抱く。
友情、葛藤、師と巡り合うという僥倖、偶然。
そういうものに浸りながら、月光に照らされた森のピアノを聴く。

  
映画のアニメーション、
絵柄そのものは好きなタイプではないので、
感情移入するには時間が掛かったし、
設定そのものも2人の対比を鮮明にするために、
少々現実離れしたものだったから、それも疲れた。
私が純粋に心引かれたのは、2人の少年の葛藤、
ピアニストになるために「嫌いなピアノと戦う」主人公と、
楽譜も何も知らずに、大好きなピアノを純粋に弾く海(カイ)の
二つに分断された音楽の魂だ。


音楽が魂を揺るがす存在だと知っているのに、
音楽が、感動を呼び覚ますものだと知っているのに
素晴らしい環境で音楽を学びながら、ピアノを始め、
自分の環境、運命に感謝よりも束縛を感じて、
音楽を愛することなく、厳しい練習だけを繰り返す修平。


楽譜の読み方も知らず、音楽の基礎も何も知らず、
ハンマーの重いコンサートグランドピアノを、
おもちゃやゆりかごの変わりに育った海。
気持ちのいい音、月光の森のふさわしい音を出すために
心の赴くままに音を紡ぎ出す、それは音楽の理想の姿だ。


物語にお決まりの対照的な存在、プラスアルファ、
森のピアノの元の持ち主、かつてのピアニストの存在。
音楽の魂のDNAは、その能力を発揮する導き手を必要とする。
人は、失ったものの代わりを見出さない限り癒されない。
今持てるものに思い及ばないものは、その先へは進めない。
鉄則を踏まえた単純なストーリーを、
素晴らしいピアノの音が支える。


ウラジミール・アシュケナージはその名を知られた、
名ピアニスト、指揮者。私の世代が憧れた音楽家だ。
もう、ピアノを弾かなくなって久しいけれど、
まさか、日本の音楽アニメに引っ張り出されてきたとは。
もちろん、このアニメを担当したマッドハウスは、
「幻魔対戦」の時に、キース・エマーソンが音楽担当だったから、
それなりにこういう作品にご縁があるのかも。


音楽が持つ深みを表すには、人物の描写が魅力的ではないけれど、
それはアニメの絵柄の好みで、私がどうこう言うことではないだろう。
この映画を観て、ピアノっていいなあ。
音楽って素敵だなあ、弾いてみたいなあと思えれば、成功。
「のだめ・・・」の成功で音楽づいているから、
製作可能なアニメだったと言えるだろうけれど、
夏休みに子供に見せる映画としては、まずまず。


私は、ピアノが楽しくなり始めた小学校2年生を思い出した。
バイエルを卒業し、ツェルニーに悪戦苦闘しながら
エリーゼのために」「乙女の祈り」が弾けるようになり、
ソナチネソナタからモーツアルトを引き始めた4年生。
楽譜よりも先に、レコードを聞かせてメロディーを
摑ませてくれた先生・・・。遠い昔の自分の世界。


ピアノの森」は、自分の心の中の音楽の森を、
確かに少し思い出させてくれた。