Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

パイレーツもこれで最後か

続編というものは難しい。惰性で見てしまうが、大抵1作目が一番いい。
例外もある。個人的な好みで言えば、『ロード・オブ・ザ・リング』は
物語の細やかな枝葉末節を切り捨てていたとは言え、3作ともよく頑張った。
家人の好きな『ダイ・ハード』も『スパイダーマン』も微妙と言えば、微妙。
ご多分にもれず、『パイレーツ・オブ・カリビアン』の3作目、
「ワールド・エンド」も、主人公達に根強いファンがいなければ、
同じストーリーだったらこれほど受けていたか、というか
2匹目のドジョウ狙いを3匹目に引き伸ばしたかどうか、わからない。


ジョニー・デップのカリスマ性、その癖のある個性が受ける。
彼でなければ、この役はこなせないという御仁だ。
普通じゃない雰囲気の役どころ、というものをこなすのが実にうまい。
オーランド・ブルームは『指輪物語3部作』のエルフ役からこの方、
古典的な衣装が似合う。『キングダム・オブ・ヘブン』の時もそうだった。
『パイレーツ3部作』は、彼が映画界でのし上がっていく為にいい場所だった。
キーラ・ナイトレイは『キング・アーサー』や『プライドと偏見』で見せた
強い女性、戦うヒロインが良く似合う。年齢の割に。


それに、ファンが群がってくるのに好都合な音楽。
あの印象的な主題曲がいいよね、サントラ聞こうかなって気になる。
映画の続編は、テーマ曲を大切に扱うに限る。
監督が変わろうが、美術担当者が変わろうが。
だんだん苦しくなってきた『ハリポタ』だって、『スーパーマン』だって
音楽で物語のイメージを繋いでいる、いや、繋ぎとめているのだ。

パイレーツ・オブ・カリビアン:ワールド・エンド オリジナル・サウンドトラック

パイレーツ・オブ・カリビアン:ワールド・エンド オリジナル・サウンドトラック

金曜日、先輩が見たという映画を私も観た。
もっとも、時間が取れれば観ようとは思っていた。
だって、長いんだもん、上映時間。
体調のせいで、レイトショーはしんどくなってきている私。
職免を有効に使わせてもらった。

さて2作目、「デッドマンズ・チェスト」辺りになってくると、
アイディア満載のびっくり箱に仕立てるのに躍起になってきて、
この後どう収拾つけるつもりだと思っていたら、
案の定、死者を蘇らせるパターン、敗者復活戦、
いまいち定義しきれない海の女神カリプソの出現、
さまよえるオランダ人の伝説を使いたい、
大渦巻、巨大イカ、帆船、海戦、海賊、恋人、宝探し、
何でもありにしたくてしたくて、風呂敷を広げて、
最終的には、ファンタジーの定番に戻りやがったって感じ。
そう、ブックエンド形式、最初に戻るの定型。


だって、またブラックパール号から置き去りにされた、
迷子のツバメ船長があたふたするシーンに戻って、ラストシーン。
ジャックの物語は、略奪の基本は失われた所有物奪回にあるという
当たり前すぎるメビウスの輪に戻っている。
陸(おか)に上がって、女に現を抜かしている間に、
部下を横取りされ、船を失くし、海賊らしくなる。
海の上でなければ発揮できない、自分探しみたいなものだ。


恋が実りかけて、間を裂かれ、成就するかに見えて
引き裂かれて悲劇を成就、観客のハッピーエンドを裏切り、
クレジットが終わった後で、御伽噺的10年に1度の逢瀬。
七夕さまより惨い運命にもめげない、絆と跡継ぎを強調して、
「そして物語は続く・・・」の感じを演出。
それにしても、気の短い観客は音楽をクレジットと共に味あわずに
さっさと席を立っていったので、ヒーローヒロインを見損なったな。
やっぱり映画は余韻が大切。骨はしゃぶろう、いやいや。


はらはらどきどき感はあるけれど、荒唐無稽すぎて、
どうせ、どんでん返しは何でもありでしょうと思うと、
醒めた目で見てしまわざるをえない、今回も浸りきるのは難しかった。
パイレーツ・オブ・カリビアン』みんなお疲れ様。

海賊の歴史:カリブ海、地中海から、アジアの海まで (「知の再発見」双書)

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図説 海賊大全

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