揉める進路指導
世間ではこの所、定番のような尊属殺人の事件が起きる。
一つは介護の問題絡みであり、私の仕事に近いものとしては、
進路絡みの家庭内でのいざこざ。
友人、知人、同僚、職場内でも持ち込まれるこの相談は、
進路を決めなくてはならない本人中心に、家族が揺れる大問題だ。
大家族はいい事ばかりではない。かといって核家族が理想でもない。
何かことが起きてからコミュニケーションを取ろうとするのではなく、
普段から話ができていることが大切なのだが、実際は・・・。
親子の断絶は、親を飛び越えて祖父母の介入でややこしくなったりする。
金も口も出す最近のお付き合いだから、肉親同士は歯に衣着せぬ
言いたい放題になっていて、ヤマアラシほどの距離も取れない。
お互いを針で刺し放題の様相を呈する。
そして親の因果が子に報い・・・。
問題はこじれてから持ち込まれることが多い。
こじれる前に小出しにということがない。
力関係で一方的に押し切られたり、
スポンサー(お金の出所)次第で転んだり、
本人の気持ちや意志をないがしろにした意向で動く時も多い。
仕事も、通院先も、就職も、進学も、それぞれに壁がある。
未来へのビジョンが必要になる。利害関係が露わになる。
昔のラジオ番組じゃないけれど、「お話出て来い」、
「ここ掘れワンワン」状態で後から色々出てくる。
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まず、本人の在り方。若いからぶれていたり、理想に走っていたり、
最初から逃げていたり、まあ、それは珍しくない。
気持ちと能力的なものが一致していないのは当たり前。
やりたいことがはっきりしている方が珍しく、
何をどうしていいのかわからない状態が増えた。
自分に何が向いているかわからない。したいこともない。
しんどいことや辛いことはやりたくないという者が、増えている。
しいて言えば、内外での友人関係では「いじめ」が一つの壁。
将来に向けては、「成績」(もしくはそれに代わる能力)がもう一つの壁。
お受験か、受験かの違いで壁がある。
本人が方向定まらぬ故に、壁もそれに合わせて複雑怪奇に変化。
プラスα、家庭内での人間関係。
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保護者の側の定番。
親が子供に夢を託す。子供が親の期待をどう受け止めるか。
親のしていること(できていること)を望むのか、
親がしなかったこと(できなかったこと)を望むのか、
親の代理の人生を子供に背負わそうとする定番。
これが、親ではなくて一家の、一族の、祖父母のとなると・・・。
リアルな相談で多いのは、「○○の職業に就くように進学」を強制する形。
子供は反発、しかし学費は親が握っている。
親の意見は至極全う(に聞こえる)。定職定収入。(低収入は困る)
学歴社会や教養主義はどこかで崩壊しているから、中間層の若者は
流れに乗ることに不満を感じながらも、流される。
自分の気持ちを話しても、大人の価値観から弾き飛ばされ、
自分の夢を語っても、ろくでもない誇大妄想だとけなされ、
自分で学費を稼ごうとしても、バイトしている暇があれば勉強しろと言われ、
要は周囲の期待と価値に合致していないと、存在価値が認めてもらえない。
そういう場合が多い。
逆に一見物分りのよい親が「好きにさせてやります、学費もあります」
しかし、それ以上は関わりになりたくない、責任も持ちたくない。
自分で決めれば何か失敗があっても、責められる事はない。
自由を相手に与えているようで、ネグレクトに近い放任の時もある。
実に家庭の在り方は様々だ。ひどい場合は、学校側に一任、
適当な所を紹介、決めて下さいという場合も。
何かあれば、学校の責任だ。
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という訳で、悩み事は尽きない。相談事も尽きない。
少なくとも、哀しい事件が起きないように。
友人、知人、同僚、私も職場でできることは限られているけれども、
もつれた糸を全てほぐす事はできないけれども、
どうにかこうにか。
かつて進路相談では、NEXT STATIONを決めるのだと言われた。
駅から出発のイメージがあったのだろうか。
駅に行けば電車が来て乗っていけば自動的にどこかへ行くのではと
安易な期待は無かっただろうか。
それほどに、未来に対する日本の青少年のビジョンは貧しく、
具体的なものから程遠く、自分の意思から乖離しているようだ。
現在お上の申す所の「キャリアカウンセリング」に、
名称は代わろうとも、問題の核心は同じ。
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余りにも夢もビジョンも無い青少年と、
安定を夢み、人生を仮託する親とのせめぎあい。
コミュニケーション不足からくる、感情的なこじれの爆発。
雷親父の一発で雨が降って、それで収まるというものではない
現実が・・・重い。
家族の物語は、本人も含めて家族の進路指導は、
「王様の耳はロバの耳」と叫んで、穴に埋めるだけでは終わらない。
雷雨、大雨警報、土砂崩れ、大水、洪水、決壊、浸水。
同じことが、家庭内でも心の中でも起きる。
・・・そして、事件になる。
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