Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

ここからどこへ

誰も知らない、ここからどこへ行くのかを
なのに、人はみな この港から船出するのを心待ちにする
誰も知らない、この海がどこへ続くかを
なのに、人はみな この海の彼方を目指して船出する


心の中は砂漠よりも乾いているというのに
振り返ると砂を噛む重いばかり蘇るのに
手を握ると零れていくものが多すぎるのに
踏みしめる大地さえも揺らぐと感じるのに


だからなのか、やはりなのか
あるはずのない海を蜃気楼の彼方に求めるのか
たまになのか、いつもなのか
あるはずのない海に憧れ、旅を続けている


その時私は何だった? 人だった?
その時私はこどもだった? おとなだった?
その時私は若かった? 年老いていた?
その時私は知っていた? 知らなかった?


ここからどこへ行くのか、誰も知らない
尋ねても誰も知らない、いまだ見たことのない海
あるはずのない海で、溺れる人のように
泳ぎ方を知らない人のように 無謀に飛び込み


冒険とはそういうものかもしれないけれど、
港にもなれず、海にもなり切れない私は、
船を作って船出するべきか、考えているうちに
ここからどこかへ行く気持ちを失いかけている


だから、誰も傷つけない、傷つけられない
見出せないから見つけられる あるはずのない海を
母の懐を、心のうねりを越えて探しに行くのだ
波涛を越えて探しに行くのだ


あるはずのない海を

ヒーリング・シー

ヒーリング・シー

ヒーリング・ウォーター

ヒーリング・ウォーター