Festina Lente2

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愛を召しませ 心臓を 

自分事では慶事はないのだが、昨年のように
行事目白押しの忙しさの挙句の果て、入院!
なんぞすることなく、今年は娘の運動会を無事迎えられそうである。
さて、本業ではない頼まれ事、あれこれ。 
椿事というほどではないけれど・・・? という日々。


それでも、人の死にまつわる相談ごとには、自分の心が揺れる。
家出の話は、心が落ち着かない。
親子の双方の気持ちを思い、辛い。
諸事情あって、元気に生まれた子供を見せに来られても、
こちらも手放しで心穏やかという訳にはいかない。
仕事上とはいえ、何だかんだと1日、心騒ぐ日々。
何事も聞いていないような振りをして、過ごすことができない。


このような時だからこそ、
ブログの上で知った慶事は、私の心を明るくする。
普段忘れていた柔らかい感情を、思い出させる。
ちょうどそんな折、この春ひょんなことから知り合った
二周りも若い書道教師から、色紙一枚仰せつかった。
気楽に書いてみて下さいと言われても、ねえ。
あ、でもこの機会に少しぐらい書いてみてもいいかな。
ちょっとした展示の、枯れ木も山の賑わい。いやいや、
普段筆なんぞ握ったことがないので、一字だけということで
勘弁して頂いたのだが、その一字、何をものすか・・・。


  


慶事にかこつけ「愛」という一字を書く為、お手本を所望。
すると、若い彼女が申し訳なさそうに口を開く。
「心」という字が入っているけれど、構いませんかと訊くのだ。
そりゃ私だって、「愛」と「恋」の違いぐらい知っている。
下ネタにもなる恋、下心があるから恋。
愛は、真ん中に心があるから心の臓、真心からの愛。
心、何かいけないことでも?


象形文字だから、実は古い形はこう書くんです、と言う。
若い子達は、心臓なのよ、右心室と左心室なのよと言っても、
下ネタにしちゃうんです。
だから、少し崩すだけの字が無難ですと言う。
下ネタにする気はないけれど、恋でどきどき心ドキドキ以上に
ドキドキする所が関係するわけだな?

  


なるほど。うら若き乙女がお手本を書き渋った訳がわかる。
誤解されるので書きたくないんだという。
心室心室、心臓の形がこういうものだったとは。
いや、今の今まで本当に、そういう「心」の字の形が
あったとは知らなかったんですけれど。
愛という漢字の「心」に、これを書かないといけないとなると、
確かにちょっと面倒。墨もけっこういる。
書くたびに雑念が入りそうな気がしないでもない。
いや、冗談、冗談ですが。

     

昔の人は、「死」が身近にあったから、からだの中も見ただろう。
体のドキドキについて考えただろう。
何が自分の中に脈打つか、思いを巡らせただろう。
熱い血潮が心を沸き立たせるということの意味を、
自然に即して考えただろう。そう、漢字は象形文字
いにしえびとの、観察と思索の賜物。

        

まあ、私はほんの少し崩しただけで書きました。色紙2枚、「愛」
お見せすることはできるほどではありませんので残念ですが。
何しろ、1日1時間3日間しか練習しなかったし。
でも、娘のことでちょっと苛々していた私には、いい時間だったかも。


心を込めて、愛を召しませ、心の臓からの愛を。
真心からの愛を。