Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

鶴橋を行く

久々に出張です。で、今日はじめて訪れた「昼の鶴橋」。
そう、いつも焼肉を食べるのに寄るのは夜。
昼間の町の姿を見たことがない。商店街も。
何だか、迷路で帰りは迷って商店街をグルグルしました。
特に、鶴橋本通り商店街からJR鶴橋駅までどこをどうやら。
なかなか写真を撮る時間が無くて残念。


やはり印象的なのは、目にも鮮やかな韓国風の衣装や寝具。
結婚衣装は特に素敵。その色使いが独特です。
そして、キムチキムチキムチ、焼肉焼肉焼肉。チヂミチヂミ。
1人で食べる訳には行かないので、ほんの少しずつお土産に。
1リットルのマッコリも、1週間以内に飲みきってと言われ、
今の私では自信が無いので弱気になって買えず、
帰宅してから後悔している次第。


おまけに、研修が終わってから買物しようにも、
殆どの店が閉まっている商店街。真昼間に買物したかった。
夜開いているのは、観光客相手の焼肉店がほとんど。
地元の人相手の地元の店は閉まっていて・・・。
それでも、哀しい歴史の話を聞きながら、
鶴橋からコリアタウンを散策した半日弱。


 



済州島出身の人が多いという、生野のコリアタウン
最近のNew Comerとは、そのルーツを異にするらしい。
戦前、労働力として強制的に連れて来られた世代、
様々な形で60・70年代頃に入国してきた世代、そして現在。
実際の在日の8割は、ルーツを朝鮮に持ちながら、
両親共に、という訳ではないそうだ。
混血という国際化が進んでいると言うのだが、
外見上はわからない。本名を名乗っていなければ尚更。

 

食べ物と韓流ドラマだけが身近で、それ以上のことを知らない。
お隣の国のことについて、知らなさ過ぎる私達。
四半世紀も前のこと、お料理体験コーナーで、
ナムルとチヂミを初めて作って以来、
時間だけが流れていったのに、歴史的なことや、
それ以上のきちんとしたことを、何一つ知らないまま。


若い、アメリカ帰りの心理学教室の助手の先生は、
自分の経験を生かして、マイノリティのカウンセリングを
専門にしたいと話していた。マイノリティ・・・。
そういう会話をしたのが10年以上前。
それまでの私の生活の中には、マイノリティという言葉は
殆ど聞かれない言葉、単なる「少数派」の訳語ぐらいだった頃。


マジョリティとされる「多数派」は、
意識化された団結力を持たない「無意識の多数派」であって、
世の中と関わろうとしないマジョリティだったりする。
置かれている環境によって逆転するマイノリティとマジョリティ。
今日、講義の中ではマジョリティを力づける教育ができなくて、
マイノリティにエネルギーを注ぎ込むことは難しいと・・・。
確かに、底の抜けた船に乗っていては誰も彼もが沈む。


マジョリティの中でもマイノリティの中でも、
意識化された目標、理想、アイディンティティを求める層は
その世界の中でより強い力を求める。
全体の中でも部分の中でも、強い者がより強くなり
弱い者がより虐げられる。
でも、そういう意識は普段の生活から締め出されている。


「コミュニケーション力とは、自分が直面した課題を
 他者の力も借りて解決する能力」


つくづく考えさせられる言葉だった。
社会からの刺激に呼応する力を、マジョリティが持たない、
育てることができないという教育力の低さの中では、
マイノリティも自分を出すというのが難しい。
第3者の力を借りずして、煮詰まった関係性の中に
居続ける事はしんどいことだと。


職場での人間関係でもそうだし、仕事全般についても当てはまる。
全て、硬直したもしくはなあなあで流れ流されている関係で、
必要な対決は避け、不必要な葛藤が生まれ、
非生産的な関係性だけが助長されるような、
カリキュラムが張り巡らされている気がする日々。
意識すれば苦しくなるから、考えないようにしていても。

 

国籍・民族・人権・差別 キーワードがくるくる回る中で、
自分は美味しいものを食べて恩恵を受けるだけじゃ駄目だと、
改めて考えてはみるものの・・・。
猪飼野、御幸森天神宮を通り過ぎる時に祈った。
とにもかくにも、少しでも分かり合えるようにと。
分かち合えるようにと。本当の意味での「共生」の為に。  


駅に辿り着くまでに私が買ったもの。チャンジャ、魚の皮のキムチ、
蛸キムチ、するめキムチ、明太キムチ、カシワの酢豚風、
一口とんかつ、マッコリ。(でも、これは土佐の菊水が作っている)
今、少しずつ味見しながら書いている。
遠くて近い国、近くて遠い国の美味しいものを頂きながら、
今日も夜は更けていく。

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